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赤の世界

染まる。染まる。染まる。


身体も視界も全てが赤く、紅く、朱く染まる。


張り付きぬめる、生暖かい感触。


鉄臭い匂い。


横たわる先程まで人だった肉塊。


その何もかもが精神すらも侵し、紅が全てを飲み込んでゆく。


自分と世界の境界が曖昧になってゆくのを感じる最中、一つの声が耳に届く。



『あら?貴方…素敵ね。とっても真っ赤よ。私とお揃いね?』




銀色だ。



それは血と臓物に彩られた赤い世界に降り立つ銀色だった。


銀色は自らも紅く染まりながら、嬉しそうに微笑んでいた。


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