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第34話「妹キャラの攻略は甘やかすことが多かった」


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残りの休暇は1日だけイルシャと過ごし、残りは全てアーニャと一緒だった。

まあいつも通りと言えばそうではあるのだが、なかなかイルシャと1日一緒に居るのは新鮮だ。

アーニャの許可が出たのを良いことに普段以上に距離が近く、何度も身体を密着されたりで精神的には辛かったけどな。

謎の成分補給のためだと自分に言い聞かせてなんとか理性を保ったものの、これがあと数日続くとたぶん保つのは無理だと思う。


そして今日は休暇の最終日。

最終確認として牛丼屋に再び訪れ、明日からの流れをまとめた紙を渡しておいた。

基本的にはアルシェとダッカスの指示に従って動いてもらうことになるが、どちらかが休みの日はその代わりを務めることになる。

朝昼晩と長時間の勤務になってしまうことを心配していたが、交代制でうまくやってくれるとのことだ。

店を休業としてもらえたのがかなり助かっているらしい。


何度も言うが、ブラック企業にするつもりはないからな。

皆が無理なく働いて納得のいくお給料を受け取り、笑顔で暮らせるようにするための政策だ。

一時の国益の減少なんて気にしてはいけないのだ。

小麦畑が完成すれば、今よりももっと裕福にできる。

そのお金で新たな事業も含め、国での仕事も増えていくことになる。

経営していく立場として、現状を捨ててでも明るい未来を見据えただけだよ。


現代日本ではその現状を捨てきれない経営者はたくさんいる。

人手が足りないのに新店をいくつもオープンしたり、取引先を増やしたりな。

世に蔓延るブラック企業の多さが、それを証明している。

店や取引先が増えることで会社全体の売り上げはあがるかもしれないが、社内で働く側としては不満は間違いなく大きくなる。

労働時間の長期化や公休の減少など、割をくうのは労働者なのだ。

それを超前向きな社訓とかで洗脳して、やりがいや充実感などにすり替えているだけに過ぎない。


まあこれは全部、就職活動をしていてこの会社のここは嫌だなと感じた俺の持論だけどな。

俺はこの政策をそうならないようにするというだけで、それ以外に深い意味はない。

実際に社訓とか関係なしにやりがいを感じて頑張っている人たちも居るだろうし、否定するつもりは一切ないよ。


現代の知識を知っているのは俺だけだし、フェルト王国の未来をより良くしていければそれでいい。

そのためには現状の利益もある程度は捨てることも重要だ。

それで成り立つ戦国という時代だからこそできることではある。

なので比較するのは間違えているとは思うけど、反面教師にはできるからする。

ただそれだけだ。



-----ホリィ視点


結局タロー様に頂いた休暇はシェイミちゃんと遊んでばっかりだったなあ。

羽根を伸ばせたとはいえ、最近では鍛錬も疎かになってきちゃった。

最終日の今日くらいは剣でも振っておこう。

そう心に決めて訓練用の木剣をお借りしてお城の庭に行くと先客が居た。


「あれ、ホリィも訓練ッスか?」


「ジャークが剣を振ってるところ久しぶりに見たわ。」


同い年で農家出身のジャーク・フラウペント。

私と同じように家でこのまま過ごすことに不満を持って、道場を自ら叩いたのよね。

剣の腕は私と同じくらいだけど、アナスタシア様やスクードさんといったセンスの塊の前ではどうしても霞んでしまう。

だからこそ他の、特に農業という部分で隊の大きな役割を持っている。

それに比べて私は何も持ってないなあ。


せっかくだし勝負でもしようという提案に乗っかり、道場以来の真剣勝負。

以前ナージャさんとも互角に戦えていただけあり、結構自信はあった。

そして道場でも勝ち越していた相手。

それでも結果は完敗。

私の攻撃はことごとく躱され、どんどん打ち込まれた。

いつの間にこんなに差が開いてしまったんだろう。

地面に転がり空を見上げながらそんな悔しさに苛まれていると、ジャークが手を差し伸べてくれた。


「ホリィ、さては最近鍛錬サボってたッスね?

僕は道場を出てから今に至るまで1日もサボったことはないッス。

だから今日の結果はその差だと思うッスよ。」


それは勝てないわけだ。

私が団子を食べている時も、シェイミちゃんと遊んでいる時も、きっとジャークは隠れて努力を続けていたのだろう。

なんでと聞くまでもないか。

久しく忘れていた気持ちが、私にもあるから。


「タロー様に拾ってもらって、僕の人生は一気に変わりましたから。

あの人への恩を返すため、護るためならどんな努力も惜しまないッスよ。

お、噂をすれば。」


その言葉に顔を上げると、手をつなぎながら笑顔でアナスタシア様と一緒に城に入っていくタロー様が居た。

いつからかは分からないけれど最近はあの人の傍に、隊に所属しているだけで満足してしまっていた。

道場で拾ってくれた時は、その恩を一生かけて返すつもりでいたのになあ。


あれだけ国民のことを想い。

王と自身が掲げるように笑顔で居られて。

将来困ることのないほどお金も稼いで。

自分が率先して動くことで周りも動かして。

そして家族を何よりも大切にする。


こんな凄い人の近くに居て甘えてしまった。

この人を護ることで恩を返したいという気持ちを忘れてしまっていたんだ。


「ありがとうジャーク、おかげで目が覚めたわ。

お礼に毎日鍛錬に付き合うから、するときは声をかけてくれないかしら?」


「それは願ってもないッスね!

道場に居た頃からホリィのその真剣な目、好きッスよ。」


「あら、それは口説いてるの?

タロー様くらいの甲斐性がないと私は着いて行く気はないわよ。」


「あっはは、それはたぶんこの世でタロー様しか相手にできねッスね。」


2人でそんな会話で笑いあう。

恥ずかしいから直接は言えないけど、心の中でお礼だけは言っておくわね。


ありがとう、ジャーク。

私も毎日楽しそうに笑う貴方のこと、道場の頃からずっと見ていたのよ。


もちろん、今もね。



-----通常視点


「へくしっ」


「タロー大丈夫?このタイミングで風邪なんか引かれたら大変よ。

今日は早めに休みましょうね。」


「うーん、誰かが噂してるだけだと思うんだけどな。

まあ確かに風邪は引きたくないから、そうさせてもらおうかな。」


「まあもしひいてもアタシが付きっきりで看病するから安心してね。」


「それは俺もだよ。その時は是非ともお願いします。」



-----


翌朝。

早めに寝たおかげか、身体の調子がすこぶる良い。

アーニャも俺にくっついて身体を温めると言い、同じ時間に布団に入ってくれた。

おかげで朝から元気いっぱいだ、色んな意味で。


日課のストレッチを終え、着替えて作業場へと向かう。

既に牛丼屋からのお手伝いが来てくれており、アルシェとダッカスの指示のもと手分けして配膳までこなしていた。

教える最初は負担は増えるかもしれないが、おかげで自分たちの休みを回せるようになるからな。

2人にはそのあたりも説明して承諾をもらっているし、楽しそうに調理している姿を見て安心した。

アルシェの指示の上手さはクレープ屋で知っていたけど、同じようにダッカスもできている。


「アルシェとダッカスが店を切り盛りしたら、とんでもなく繁盛するお店になるんじゃないか?」


「まああの2人そろそろ結婚するみたいだし、将来的にはそういうのもあるんじゃないかしら。」


「えっ、そうなの?!」


そもそもお付き合いしていることも知らなかったのだけど。

これも日本に居た頃に人付き合いを避けていた弊害なのか。

そういったことに気付ける能力が俺には皆無なのかもしれない。

部下のことだから一応は把握して、その時はお祝いしてあげたいところなのだけどなあ。

アーニャはそういうところは敏感なようで、意外と内情は知っているみたいだ。


「誰にも言わないでよ?

あの2人は元々互いに惹かれ合っていたけど、孤児だったということもあって付き合い始めたのはわりと最近なのよ。

それこそお城での稼ぎをもらい始めた後くらいかな。

ジャークとホリィは互いに言ってないだけで、たぶん両想いね。

ルミエとシェイミは・・・・・・まあ、うん。」


ジャークとホリィもなのか。

というか、ジト目で見られましても。


「妹のように可愛がっているだけなんだけどな。

出会った頃から色々な知識を教えて、結果が出る度に頭を撫でて褒めてあげたくらいだぞ?」


「子どもの頃からそんなことされてたら憧れるに決まってるじゃない。」


・・・・・・確かにエロゲの妹キャラの攻略は甘やかすことが多かった気がする・・・!

もちろんそれだけというわけではないけど。

その弊害として、無意識に撫でたり褒めたりする選択肢を選んでしまっていたということか。

いやまあ嫌われるよりは全然いいんだが。


「はあ、あと5年のうちにあの子たちに良い出会いがあると良いわね。」


ため息交じりで言わないでくれ。

まあ俺としては可愛がっている子たちだし、好かれるのはやぶさかではないけどさ。

結婚したいかと言われるとたぶんノーなんだよな。

傷つけたくないから、アーニャの言う通り良い出会いがあるといいけど。

そんな会話をしていると、アルシェたちの方から何かを持ってテクテク歩いてくるエリーゼ。


「タロー、おにぎり作った。」


お世辞にも綺麗な形とは言えないお米の塊を俺に突き出し、じっと見上げてくる。

食べろってことでしょうか。

それを受け取って食べると、首を傾けて「美味しい?」と聞いてきたので、頭を撫でて答える。


「うん、とっても美味しいぞ。

ありがとうな、エリー。」


「ん、まずは胃袋からってアルシェが言ってた。」


子どもに何を教えてるんだアルシェ。

後でちょっと話し合いをさせてもらうとしよう。

そのやり取りにアーニャがまた溜息をつく。


「タローの子どもに対する女たらしっぷりは、色々と心配になるわ・・・。」


頑張ったのだから褒めているだけなんだけどな。

お嫁さんにロリコン疑惑のまなざしを浴びせられてしまった。


どうしてこうなった。

決してロリコンではないのに。



ブックマーク登録ありがとうございます・・・!

いつものように頂けていて感謝感激です。

今後も楽しいと感じていただけるようなお話を書いていけたらいいな。


拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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