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第19話「夢のマイホーム購入」


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その夜、アーニャと自分たちの家を購入しようという話をして了承を得た。

まあここでは思う存分いちゃつくことができないからな。

新婚という立場上、それは正直耐えられん。

まさか16歳にしてマイホーム購入とは思わなかった。

現世では徹夜でオンラインゲームをして、かろうじて学校に行き授業中に寝ていた年齢だ。

そんな年齢で結婚をし、家を買い、他の女性からのアプローチも受けている。


なんだこれは。

エロゲの主人公じゃあるまいし、こんなことは実際に有り得るとは思っていなかった。

この世界に来てからの6年間の努力が実りに実り、その成果の対価と言っては大袈裟すぎるが・・・

それほどまでに認められている事実が、やはり嬉しい。

これからも俺にできることを精一杯やり、結果につなげていこう。



翌日、イルシャに仲介してもらい土地や物件を管理している方を紹介してもらった。

こんなことなら以前に隊の家を購入したときに、もっと詳しく教えておいてもらえばよかったな。

すでにある物件だと築年数が古いものや、あまり大きくないものばかりで決め手に欠ける。

もしくは隊の家からだいぶ離れてしまう。

ということでその近くの土地を購入し、新しく家を建てることにしよう。

これからずっと使っていくしな。


フリードという後方の脅威がなくなった今、カッツェとフェルトは戦場の最前線と言っていいだろう。

最前線から離れるつもりはなかったし、隊の本拠地の近くに居ることでコミュニケーションも密に取れる。

なのでカッツェ内に家を買おう、とアーニャと話して決めたのだ。


間取りは今後のことも考えて部屋の数は多いほうがいい。

隊の皆を招待することもあるだろうから、リビングも広めにしないといけない。

そして何よりシャンドラ様が来られることがあれば、見すぼらしい家に娘を住まわせていると思われたくないからな。

散々使い道がなかった個人資産の使いどころというわけだ。


かなり広い土地を購入し、家の希望を全て伝えると3か月はかかりそうだとのことだ。

外観はどんな感じにというくだりでアーニャと少々意見が食い違ったが、あまり派手にはしたくないという俺の意見が尊重された。

若干街はずれとはいえ、こんなところにいきなり城みたいな建物が建ったらびびるだろう。

なので普通の家を少々豪華にした程度、という落としどころで落ち着いた。

全財産の7割近くを今回のマイホーム購入に費やしてしまったが、アーニャとの新婚生活のためと思えば痛くも痒くもない。


だがひとまずは仲介所企業をさらに軌道に乗せるために尽力していこう。

以前と比べてずいぶんと暮らしが豊かになったように見えるが、まだまだだ。

フェルトでの農業の発展、フリードという大国の物流の難しさ。

改善の余地は山ほどあるのだ。

ここで満足してはいられない。



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カッツェの発展は他の2国よりも早く、早くも手の打ちどころがなくなってきた。

鉱山に囲まれているのでそこからの物資の提供が早く、そしてシャーリーを筆頭にその部下たちが迅速に仕事をこなしてくれている。

それを仲介所に売りそのお金でまた必要な物資を購入し、というサイクルが凄まじい回転をしている。

おかげで街のいたるところでガラス製の工芸品を売っていたり、木の器しか使わないレストラン事業がおしゃれだと盛り上がったりと素晴らしい経済効果が生まれた。

あとは東西の両国とのパイプ役になれれば、カッツェでの仕事はひと段落と言っていいだろう。


視察も兼ねてアーニャと共に件のおしゃれなレストランでのんびり食事をしていると、窓の外を何かを探しながら走るホリィの姿が目に入った。

何事かと立ち上がり店の外に出てホリィを呼び止める。


「タロー様、探しましたよ!ビスープ王国から使者の方がお見えです。」


「分かった、すぐに行く。」


フェルト王国の北方に位置しているビスープ王国。

大陸最大のカーテルナ山を有し、大自然に囲まれた静かな国だ。

だが戦という観点から話すと、弱小国だろう。

フェルト王国よりはマシだとは思うが、カッツェには及ばないといったところだ。

そんな国からの使者が来るとは、いったい何事だろうか。


店に戻りアーニャに事情を話し、会計を済まして一緒にカッツェ城に向かう。

せっかく2人きりで楽しく過ごしていたというのに。

まあ立場上仕方のないことではあるんだけどな。



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「これはこれはタマタロー殿、クロース川でのご活躍は聞き及んでるヨ。

わたくし盟主ガルージャ・ヘイドリー・ビスープが右腕、シジョウ・トラシーベですヨ。」


カッツェ城に到着早々、緑色の中華風の服にあごひげを伸ばした小太りのおじさんに挨拶された。

格好と喋りかたから、日本語をしゃべる中国の方かと勘違いしそうになった。

両手を逆の腕の袖に突っ込んでお辞儀とか、もはや狙ってねえかそれ。


「今日は盟主の意向で我が国と友好関係を築いてほしくて来たヨ。」


語尾が凄い気になって内容が頭に入ってこないところだった。

同盟ではなく、友好関係か。

確かに今のうちの戦力で言えばビスープ王国を攻めたら一瞬で落とせそうではある。

同盟を結ぶには実力が見合っていないと分かっているのだろう。

それぞれに利点があれば、友好関係を結ぶのはアリだろうな。

シウバ様の傍に寄ると、小さな声で相談された。


「先にフェルト王国に行ったのだが、外交関係はタローに一任していると言われたらしくてな。

急な呼び出しで済まないが、手を貸してくれぬか。」


「そういうことでしたら喜んで。

まずは互いの利点を確認しましょう。

罠の可能性も捨てきれはしないですから、慎重に話しを進めていこうと思います。」


その言葉に頷いたシウバ様がトラシーベに向かい合う。

互いの利点を問うと、トラシーベはすぐに回答した。

まとめるとビスープ王国からは牛丼屋で使用する肉や、その他食料を今よりも安価で提供する。

代わりにもしビスープ王国が攻め込まれた場合の戦力的な手助けや、政策のノウハウを教えてほしいというものだった。


こういったやりとりがあると見越して答えを用意してきたということか。

盟主の右腕なだけはあり、なかなかに用意周到だな。

食料の値下げは大いに助かる。

実際牛丼屋の利益のうち30~40%は仕入れにかかってしまっているからな。

それを下げられるのであれば万々歳だ。

だが政策のノウハウを教えたところで実行できるほどの人員や労力があるのだろうか。

情報を他国に流さないとも言いきれない。

ルミエとナージャに相談しながら決めたいところだな。


「条件は把握しました。

この場で返答できずに申し訳ありませんが、一晩だけお返事に時間をください。

シウバ様、お手数ですが彼に部屋の用意をお願い致します。」


両者の承諾を得て、その場は解散となった。

城の外で待っていたホリィに、至急ルミエとナージャを家に集めるように伝えて先に戻ることにした。


帰り際、アーニャと手をつなぎながら考える。

ビスープ王国は3方向に入口がある。

1つはイルシャと闘った森をまっすぐ抜けた先。

2つ目は日本で言う関東から中部地方あたりの位置を治めている大国、アグナ・ナカジョウ同盟国から山を2つ超えた場所。

そして最後にフリード傘下のジョルト王国から、カーテルナ山を越えて入ること。


正直山に囲まれているのが幸いして攻められていないという印象だ。

わざわざ弱小国1つのために大群をわざわざ山の中をゆっくり進むなんてことはしないだろう。

故にビスープ王国を攻めるとしたらフェルト王国またはカッツェ帝国から森を抜けるのがベストだろう。

なので攻められる恐れをなくしておこう、と取れるわけだ。

ということは攻められた時の手助けというのは正直あまり気にしなくてもいいだろう。

フェルト・カッツェ同盟国が攻めない限りは、自然が守ってくれているのだから。


だったら話しは早い。

ルミエとナージャと共に信頼して大丈夫かを判断するだけだな。

まあ、そちらの問題の方が考えるのは大変そうだけど。


「ふふ、タローの考え事している時の顔って結構カッコいいのよね。」


「え、それは普段そんなにカッコよくないってこと?」


「ええっと・・・その・・・カッコよくなくなくなくない・・・わよ?」


どっちなんだそれは。

もう結婚してるんだから、それくらいはハッキリ言ってもよくなくなくなくない・・・?


そんな会話で2人して笑いあいながら家へと帰ってきた。




拙い作品ですが、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします!

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