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晴れた日には  作者: kei
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市民無線免許制度廃止について

私論を交えて突然降ってわいた市民無線免許制度廃止について、当時のラジオの製作誌を元に考察していきます。


 参考資料 ラジオの製作 1982年 CB:市民無線活用講座 皆川隆行


1.市民無線免許制度廃止が公になったのは昭和56年12月19日の新聞記事と言われている。

自由化についての記事の中に、


 トランシーバーの一種である市民ラジオの無線局の開設免許は廃止する。

市民ラジオの免許=市民ラジオに係わる無線局については、技術基準適合性を確保するための措置を継続し、開設免許を廃止。


というのが出てくる。これが、市民無線の免許制度廃止の第一報。

この時点では案だったのが、とんとん拍子に決まり昭和58年1月1日より、免許制度廃止の技適制度に移行というのも急な話である。

 普通、答申案からこんなに早いものだろうか?

 答申案に「民間等からの改善要望が多い」とあり、当時の市民無線愛好家は申請手数料を高くしないでほしい(昭和57年当時1台あたり4,000円)という要望を出していた模様ですが、免許制度を廃止してほしいとまでは言っていない。

 

ここで、「民間等からの改善要望が多い」とあるのですが、当時のいわゆるパブリックコメント制度がどうだったかはしりませんが、いまでこそデジタル簡易無線、特定小電力などのシステムが存在しますが、この当時は11mバンドの市民無線のみが簡易な業務でホビー的に使えるものであったことは事実。

  パーソナル無線はもうすこし後ですよ。

 なおかつアマチュア無線のような使い方を好まなかった人たち(業務で使う方々、当時の郵政省関係者)の標的になった可能性は高いかと。これについては、皆川氏の当時の電監当局者とのやりとりで当時の考え方が見えてきます。

 また、当時FCC規格機の国内流入(FCC規格すらパスしない機種も)にて社会問題化しておりました。現在でこそ27.005MHzぐらいにしかいませんが(たまに27.8MHzあたりにいますが)、当時は26/27MHz全域におりました。


2.法案通過 

 電波法の一部改正案要綱を自民部会了承 昭和57年3月3日 朝日新聞記事

この記事をのせた朝日新聞記事の3日後の3月5日、閣議にかけられここで了承。

閣議通過。

  早すぎないか?

もめるような法案でもないというのはわかるのですが、答申案から3ヶ月でホイホイ法案が閣議決定するようなものなのか?


3.当時の電波監理局(郵政省)の考え  引用 ラジオの製作1982年6月号

 質問者は故皆川隆行氏 めぐろE55


Q1 市民ラジオ免許制度廃止を打ち出したのはなぜか?

A1 臨時行政調査会が出したものなのでネライははっきりしません。しかし国家財政を節約するための合理化・簡素化の一部として出てきたと思います。  

Q2 免許の申請はいつまで受け付けるのですか。また免許取得者の58年1月1日  以降の取り扱いはどうなるのですか?

A2 細かい点については、これからです。まだ(4月上旬現在)法案が成立していないので、どうするかの実務に入るわけにはいかないのです。

ですから局免はなくなるということだけは言えますが、それ以上の手続きなどは法案が国会を通過し、成立してからの発表となります。

Q3 通例では、手続きなどの細部の基準は半年ぐらいかかると言われていますが、夏休み頃までは免許申請を受け付けますか?

A3 前にいったようなわけで、はっきり申し上げられませんが、みなし規定でやっていくことも考えられます。

Q4 免許廃止後も型式検定をうけたもの(検定合格トランシーバー)は自由に使える。また免許を受けたトランシーバーも自由に使えるということになりますか?

A4 免許を受けたものはそのまま使っても良いという解釈はできます。また、呼出符号コールサインについてはそのまま使おうと使うまいと自由でしょう。ただ、免許が入らないと決定後については「技術適合証明」を受けるという方式が取られるでしょう。

Q5省略

Q6 5月17日で成立ということになりますが、メーカーの指導を行わなければならないでしょう。これはいつ頃から?

A6 成立後の準備段階でメーカーさんへの指導をお願いしていくわけですが、昭和58年1月1日には間に合うようにと考えています。技術基準適合証明機がいつから店頭に出るかはメーカーさんの生産の関係もありはっきりいえません。

  Q7,8,9省略

Q10 パワーを上げよ、PTT方式を、外部アンテナを・・といった希望がありますが、どう考えていますか。

A10 要望のあることは知っていますが、いまどうこうと答えられません。ただ、行政庁というのは世の中の動きをニラミながら動くわけですから、ニーズ次第では・・とはいえます。ただ、要望のあることはわかっていますが、現在ではアマチュア局にそうしたものが許されており、コクな言い方かもしれませんが、どうしてもという人は当面こちらを活用してくださいということでやっていただきたいと考えています。

                            引用おわり


市民無線免許制度廃止に土光臨調がかかわっていたことになるが、

答申案から制度廃止まで約1年とは驚きの白さ!いや早さ!である。

単に免許制度(事務処理)を廃止するだけではなく、免許+検定制度からたった1年で技術適合制度に移行させるわけですよ。郵政省電波管理局もですが、メーカーさんはさぞかし泡を食ったことでしょう。

行革待ったなし!なご時勢でも、これはどうしたものか?です。


4.請願権

請願権について読者の意見としてでておりましたが、それを用いて地元等の代議士の

紹介で出したとしても、

”免許制度を廃止して誰が損をするの?逆に手軽に使えるでしょ?買ってすぐに電波だせるよ!”と門前払いだったのでは?

たとえば無線を趣味として代議士に相談に行ったとしてもこのような回答が返ってくるのがオチではなかったと考える。(そんなのやらないで、アマチュア無線やったほうがいいよ~と返されるかも)

まあ、市民無線を趣味としている代議士に相談すれば、多少効果あったのでしょうが

あの当時にそんな代議士が存在したのかな?

実際、請願にうごいた人がいるのかどうかは(ラ製読む限り)わからない。あくまでも読者の”こうしたほうがいい””こういう方法がある”という意見が載ったのみ。

 廃止によるデメリット  

免許制度によって発行された免許状・免許証が得られなくなる。

実際、廃止直前申請者がかなり出たという。

 (後に、電監コールサイン所持者と廃止後の自作コールサイン者との間でいろいろあったと聞きますが。)


今ならば、定期的に電波の有効利用の観点からパブリックコメントで意見要望が寄せられておりますが、その行政手続法が導入されたのが平成の世になってからである。

請願権を行使して騒いでもよほどのことがない限り、行革の勢いを変えることはできなかったでしょう。

総務省のパブコメが実際役立っているか?は不明ですけどね。


それと、故皆川氏の電監訪問での係官とのやりとりで「そういうことをしたければそっちでどうぞ」というような記述がある通り、正直のところCBerの存在はまじでめんどくさかったのだろう。


 5.昭和58年1月1日以降の取り扱いについて  82年9月号


この時点では予測でしたが、ほぼ正解。

 引用 ラジオの製作 82年9月号 211ページ               

1.免許の発給 昭和57年12月まで受け付け発給される可能性がある。

昭和57年12月31日まで受け付け

2.トランシーバーの技術基準適合証明について:58年1月1日から免許がいらなくなるが、技術基準適合証明を受けた機種のみ、免許を持たずに使える。

  トランシーバーの基準適合を調べるのは電監ではなく民間団体に依頼することになりそう。検査検定協会が代行する可能性が高い。

 そうなりましたね。

3.現在免許されたトランシーバー:昭和58年1月1日までに適合証明を受けたことをはっきりさせることができない(たとえば証明シールを貼る)ので、有効免許状をもってしばらく証明にかえる。このことは昭和58年1月1日以降も『免許状を保管・所持する』ということになりそうなので、「免許がいらなくなった」と免許状を捨てたりしないようにしなければならない。

いわゆる『みなし技適』です。

4.技術基準適合機の発表について:まだはっきりしていないが、昭和58年1月1日すぐには難しそうである。

  すぐにはででなかったはずです。


PTTマイク機については、松下RJ580D 技適仕様が初だったかと思います。

そもそも、、免許制度時代にRJ580にしてもICB770,R5にしても業務用と考えると?です。

ベースキャンプ用という『言い訳のようなもの』をすれば、まあ、、いっか!ですね。

ん?R5のラジオ受信機能?それはまあ、、昼飯食うときにラジオとか聞くじゃないですかあ、、

でなにを言っているのかなkeiちゃん?


6.土光臨調について

『これが行革だ 臨調答申の手引き(付)全文』監修 土光敏夫 昭和57年

 サンケイ出版

を読んだけども、市民ラジオの開設免許廃止のことなんて書いてないよ。公務員はこうあるべきとか、国鉄、電電公社、専売公社のこととかあるけど、ないんだよね。

部会メンバーを見ても電波関係というのはいないような感じです。(知らないだけ?)

おかしいですね。


以上がいまから約40年前の市民無線免許制度廃止の顛末です。

筆者は免許制度廃止後に開局した組ですので。。


え?パーソナル無線?それについては触れません。あれは半民半官なところにアウトソーシングです。

あれについて考察すると80,90年代のラジオライフをそろえなければなりません。

あれについてはいろいろややこしいテーマだと思います。

ココはあくまでも、市民無線免許制度廃止についてでしたので。


                                 kei


市民無線免許制度廃止に関する資料としてはラジオの製作ぐらいしかないと思うのですよね。。

かつては日本のCB無線にも外部アンテナが付けられたんですよ。


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