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二人の旅行の始まりです。

私の村には少し変わった人がいます。

自分は転生者だっ!などと意味のわからないことを言っているのです。

ちゅーにびょうという病気なのだと旅の人から聞いたことがあります。

危険な病気だったらいけないのです。何度も医者に診てもらうように言ったのですが一向に行こうとしてくれません。

ですが、頭がおかしいだけじゃないんです。次から次へと色んなアイデアを出すのです。だけど、すごいアイデアもあれば、よくわからない事を言いはじめることもあります。


「なにをしているのです?タケルお兄ちゃん。」


この人の名前はガイウス・カルオネロなのですが

俺のマナはタケルだっ!とか言っていて、誰にも相手にされていなかったので私だけはタケルお兄ちゃんと呼んであげることにしました。


「あぁ、リーンか。魚を釣りに行く所だ。一緒に来るか?」


「いく」


いつも釣りをしている川に着きました。

魚が釣れるまで二人でボーッとしている時間は密かな私の楽しみです。

いつもみたいにボーッとしているとタケルお兄ちゃんがまたおかしな事を言い始めました。


「そういえば、そろそろ村を出て英雄になる時期だな。」


どうしたのでしょう。英雄なんてお話の中の存在なのです。もうそろそろ成人するのにまだ英雄に憧れているのでしょうか?私にはわかりません。


「来月15歳になって成人の儀を受けるから、その後に旅立つか。」


「私もついていく。」


タケルお兄ちゃん一人だけだとすごく心配です。仕方がないので私もついていきます。


「リーン お前はまだ11歳なんだから、危ないだろ?」


こういう時には聞こえないふりをしていればいいのです。


「あ、こいつっ、耳を塞ぎやがったなー!」




そんなこんなで、釣りを終え村に戻りました。

家に帰った後両親にタケルお兄ちゃんが、村を出るから着いていきたいと相談しました。

二人ともなぜかニコニコして不気味です。ですが了解を得ることができました。




今日はタケルお兄ちゃん成人の儀の日です。


「この者、ガイウス・カルオネロを成人として認める。」


その後に色々めんどくさそうなことがたくさんありましたが無事終わりました。



「タケルお兄ちゃん、いつ村を出るの?」


「明日の朝には出ようかと思ってるよ。何で?」


「私も着いていくから準備が必要」


「ダメだよ。ちゃんと親御さんの了解がなきゃ。」


「大丈夫。貰ってる。」


その時、私の両親が近づいてきました。



「ガイウス、立派になったな。お前にならうちの娘を任せられる。大切にしてくれ。」


「ガイウスちゃん。リーンをよろしくね。」



タケルお兄ちゃんの顔が強張っていたのです。

なんだか考えた後諦めた顔になりました。


「わかりました。リーンは責任を持って預かります。」



そんなこんなで無事着いていけることになって良かったのです。



村を出発する日の朝


「リーン、本当についてくるのか?危ないかもしれないぞ?」


「しつこい。もう決まったこと。」


タケルお兄ちゃんとの二人旅に私は内心ワクワクです。

村を出発する時驚いたことが一つあるのです!

頭がおかしいタケルお兄ちゃんのためになんと村中の人が見送りに来てくれたのです。


「じゃあな、みんな!英雄になって戻ってくるから、その時はよろしくっ!」


見送りに来ていた人たちが一気に静まり返ってしまいました。

可哀想な目で見てくる人や、涙を流している人もいます。

ちゅーにびょうは今日も絶好調のようです。


私たちはそんな雰囲気の中、村を後にしました。


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