退屈な彼女
彼女は退屈していた。
仕事が終わりまっすぐ帰宅した週末の夜、彼女は家事全般を済ませ意味もなくテレビを眺めていた。
特別な用事も、友人からの誘いもない週末。働き出してからはこのような生活が多くなった。毎朝出勤して、仕事をして、帰宅して、寝る、これの繰り返しだ。そこに学生時代のような華々しさは一切なく、空虚な毎日の一方で化粧のみが濃くなっていく。
彼女は昔の記憶に思いを馳せ始める。大学生のころは毎日が輝いていた。疲れを知らず、若さに溢れ、自由に満ちていた。男遊びをしていた時期もあった。今でこそ縁のない話であるが、そのようなことをしていた自分の過去に彼女は虚しさを覚えた。
あの頃に戻れたら、そう彼女は考える。もしあの頃のような生活ができたら退屈をしないのでは、などと馬鹿げた思考が頭の中で繰り返される。彼女は居ても立っても居られなくなった。すでに落とした化粧を昔の勘を頼りにナチュラルに施し、最近では出番のなかった露出の多い服に着替える。今の彼女は後先のことなど考えてはいられない。
こうして彼女は、出かけることにした。