運命の出会い—白銀の女帝と若き戦姫 1
「??・・!!」
ようやく失禁していたことに気が付くレイミ。謎彼女は指を口に当てにやにやしながら今にも噴出しそうにして見つめている。
「ふむ、年頃の娘の失禁とは実にいいものだな、うふふ」
レイミ、恥ずかしさと怒りで体中が熱くなり震えが来るのを感じる。
「うっ、うわああああん! 」
泣き叫びながら謎彼女をぽかぽかと殴りつけるのであった。
「ばかあああああっ! 」
あまりの剣幕にさすがにたじろぐ彼女。
「わかった、わかった、ごめん、落ち着け、なっ」
数時後、川のほとりに居る2人。
何をしているかと思えばレイミ下着とスラックスを洗濯している。その辺の木の枝に干しつつ、(ううっ下がスースーする・・)このままでは涼し過ぎる上に見えてしまうので上着の一着を下半身に巻き付けることにする。
そして、川原の石の上にむすっとした表情で腰掛けつつ、熾した火にあたっている。側に何食わぬ顔で座っている謎彼女をチラ見しつつ、
(何なのこいつ・・助けてくれたのはありがたいけれど・・)
殺された部下たちや、今の己の置かれた境遇を思い出すと無性に悲しくなり涙が出て来る。
「レイミとか言うたな、お前、そんなに泣くなよ」
謎彼女レイミに近づき話しかけて来る。
「パンツ濡らして悲しいのは分かるがな」
レイミ、愕然。「!!」
「よかったら私のを貸してやろうか? 」
貸すって・・?もしかして下着を?
「い、いえ、結構です、人様の下着なんて・・」
謎彼女それを無視し
「ほら、こん中から好きなの選んでいいぞ」
自分の荷物から数枚の下着を取り出し、広げて並べたのだった。しかし・・どれもこれも異様に布面積が少なかったり、やたら派手な色使いだったり、そのような際どい代物ばかりだ。中には肝心な部分に穴の開いている物まであったりする。
・・何だこれは・・? それでも一応手に取ってはみるレイミなのであった。
「あのー、もう少し何というか・・実用的なものを・・」
何のかんの言いつつ、無いよりはましであろう、その中より一枚の下着を手に取り穿いてみることにする。
「帰ったら洗って返しますから・・」
謎彼女事投げなく、
「あーいいよ、別にそのまま返して」
気が付いたらすっかり日が落ちているのであった。
「もう疲れたな、今日はこの辺で野宿だ、いいな? 」
レイミどうにも落ち着かないふうで、
「いや、早く戻らないと」「お父様や皆が心配しているだろうし」
謎彼女半ば呆れ顔で
「お前な、ここの夜の森の恐ろしさは昼間の比じゃないぞ、さっきのカス野郎共なんぞより余程恐ろしいのがウヨウヨしているんだが」
耳を澄ましてみると「ヒョーーーー」だの「クェーーッケケケ」だの不気味な叫び声や、なにやらブツブツ呟くようなまるで墓場の底から聞こえてくるようなうめき声のようなものまで聞える。
「それでもいいと言うのなら別に止めないが」
「またちびっても知らんぞー、いや、ちびる程度じゃ済まないな」
むろん単なる脅しではないことはレイミにも分かってはいた。
「分かってるよ・・でも私・・」
「防御障壁を張っておくから安心しろ」
謎彼女、野営地の四隅になにかを置いていく。防御障壁用の魔法石であろう。そして懐からボトルのようなものを取り出しふたを開け口を付ける。酒なのだろう。
「飲むか?」レイミにボトルを突き出す。
無言で首を振るレイミ。
「そうか・・私は疲れたから寝るぞ。さっきのアレで"気"を使い過ぎたわ・・」
一方的にまくし立てた挙句横になる謎彼女であった。
「そういえば、あなたの名前聞いていなかった、・・あの、あなたは・・? 」
謎彼女、かすかな寝息を立てている。
(・・ほんとに何なの、この人は? )
レイミ、憤慨しつつも寝ている彼女の顔を覗き込んでみる。
「もしかしてこの人、私に気を使ってわざと変な事言ったりしたのかな・・・まさかね」
(はあ・・やっぱり綺麗な顔しているなあ・・・唇も頬っぺたも柔らかそうだ・・)
つい唇に触れてみたり頬を撫でてみるレイミ。
(ほんとに柔らかいわ)
顔から体の方に視線を移してみる。
(それにスタイルもいいし)
ドキドキと高鳴るレイミの心音、少し呼吸が荒くなるのも感じる。
(何、この胸は)
つい自分の物と見比べ、思わずため息が出てしまう。
(はあ・・私ももう少し欲しいなあ・・)
震える指先でぷにっとつつく。
(あ、気持ちいいわ、これ)ぷにぷにぷにぷに(楽しい・・)
「う、う~ん」「ああー酒足んねーぞ、持ってこぉぃ・・」
(寝言かよ、あーびっくりした・・)
はっ!?何やってんだ、私・・。
レイミ、我に返る。
「そ、そーだ、私も寝ないと・・」
夜は更けていく・・。