入学式
【六年前】
「僕の夢、四年四組平田達樹」
「僕の夢は世界のヒーローになることです。世界のヒーローになって多くの人を
救ったり、困っている人がいたら助けてあげたり、悪いことをしている人がいたら
その人を倒したいと思います。 だから、今の僕の能力を今よりも使えるように
練習して、能力を持たない人からも持っている人からも頼られる人になりたいです。」
「はあ~作文緊張したなぁ」
「ねえねえ、たっくんたっくん」
「ん、なに」
「それって、私も入っているの?」
「お前、俺の作文聞いてたのか?そんなの当たり前だろ。俺は正義の味方になるんだ。
梨香が困っていたりしたら、俺は助けるよ。どんなことがあったって」
「///ん、ありが・・とう・・」
「なんだこいつ。まあ、いっか。」
「なあ、お前ほんとにそんなこと考えてるのか?」
「ああ、なりたいって考えてるよ。ううん、違うや。なりたいじゃなくてなるよ。」
「じゃあ、俺も頼むな。」
「明人も聞いていたのか?そんなの、当たり前だろ。」
【現在】
「本日、この九十九学園に入学された皆さん、まずは、おめでとう。
これからは、数少ない能力者として、大変だったり、苦労したりすることが多々あることかと
思います。ですが、それを乗り越え、立派な能力者となり、いろんな人を救う人になってください。それだけが、学園長である私の願いです。以上」
「学園長ありがとうございました。続きまして、新入生代表挨拶。黒岩明人君、お願いします。」
「新入生代表、黒岩明人。今日、私たちは、この学園に入学し、ようやく立派な能力者に
なるための、スタートラインに立つことが出来ました。まだ、右も左も分からないような
私たちですが。先生方の教えをよく聞き、先輩方を見習い能力の向上に励み、いつかは追いつき
追い越し、学園長の言うような立派な能力者になることを誓います。四月八日、
新入生代表黒岩明人。」
「ありがとうございました。以上を持ちまして入学式を終了します。在校生の皆さんは、
教室に移動し、授業を始めてください。新入生は、これより能力試験を行いますので、
その場で待機して先生方の指示に従って能力トレーニング室へ移動してください。」
ざわざわ、ゾロゾロ
「えー、それでは今から能力の割り振り試験を行う。私は、試験監督官の南真人だ。そして、
こちらは。」
「同じく監督官の佐々木茉子です。よろしくお願いします。」
「それでは、二つに分かれて試験を行っていく。では、適当にここからこっちが私が、担当する。
残りは、佐々木先生お願いします。」
「はい。分かりました。それでは、私の担当の人たちはこちらに来てください。」
「では、今から始めていくがまずは、やり方の説明だ。」
ポチッ
ゴゴゴゴゴゴ
凄まじい音とともに現れたのは三メートルはある大きな的だった。
「今出てきた大きい的だが、これをの能力で破壊してもらう。ただし、能力を使用するのは、
ここからだ。そして、的の壊れ方によって能力のランクの割り振りが決まる。
ただ壊せばいいってもんじゃない。工夫しろ。それによりお前らの未来が決まる。
まあ、頑張れ。」
「では、まずは・・・お前から順番にいこう。それでは、始めろ。」
「はっはい。では、いきます。」
そして、順調に能力試験は進んでいき
「あと少しで俺の番かぁ。早く受けたいな。俺、何ランクなんだろうな。すげえ楽しみだ。
ん?あれは梨香か。あいつ今からなのかどれどれ~。」
梨香が右手を的の方に向け、何かを呟いた後、六つの氷塊が現れ、的の方に飛んでいき
的に当たった瞬間。
パッーーーーン
ざわざわ
「えっえっ、これ壊れたんですか。すごいです!。」
「先生そんなことよりも、判定は、どうなんですか?。」
「あっはい。そうでしたね。神楽耶梨香さんあなたの判定は、Aランク」
「ちょっと、待ってもらえるかな。その判定。」
「えっと、あなた・・・は・・あっ東会長なんでここにいるんですか。ここには、新入生しか
いませんよ。」
そこに現れたのは、この学校で教師と同等、またはそれ以上に権力を持つ、生徒会会長
東翔会長だった。
「うん、生徒会に入れる人をね。探しに来たんだけど、どうやら今年は当たりのようみたいだね。
神楽耶梨香さんだっけ?生徒会、入ってくれる?もちろん、無理強いはしない。あくまで、
君の意思に任せるよ。」
「まぁ、特に、この学園でしたいこともありませんし別に構いませんが。」
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ。あとは、黒岩明人君、君も生徒会に
誘いたいんだけど、どうかな?」
「勧誘されるのは嬉しいのですが、僕は、まだ試験を受けていませんが?」
「知っているよ。でも、君は受ける必要があるのかな?新入生代表はその年で一番成績や
実力がある人が、なるんだよ?代表ではない神楽耶さんも誘っているんだ。代表である君を
誘わないわけがないだろ。」
「わかりました。その話、受けさせてもらいます。」
「うん、ありがとう。では、注意して欲しいことがあるんだけど、生徒会のメンバーは
一般の生徒と授業内容が異なるから気をつけてね。明日の朝は、教室じゃなくて
生徒会室に来るようにしてね。それじゃあ、僕は、そろそろ戻るよ。
では、先生方失礼しました。」
そう言い生徒会長は、トレーニング室を出て行き、その後に残ったのは、
新入生達の明人と梨香に対しての尊敬と畏怖する話し声だけだった。
その話し声の中で、平田達樹は「やっぱりあいつらすげえなあ。あれ、俺の幼馴染なんだぜ」と
言う友達もいないので、心の中で思うのだった。
そして、そんな事を考えながらいると、
「次。平田達樹。前へ。」
「はい。」
的の前に立ち
「平田達樹行きます。」
達樹は、右手を自分の前にかざし、目を閉じて集中した。そして、五秒ぐらい経った後、
目を見開き、右手から放ったものは、直径八センチ、長さ一メートル程のバチバチした、
電気のビームのようなものだった。