第三話:カイラ家の人々
ピンポーン……
『ああ、どきどきする…』
ユメラは、玄関の前のインターホンを押した。
カイラ家は、一軒家で白と赤の家。ごく普通の家だった。
「…どちらさまでしょうか?」
出た声は女性だった。
綺麗な声…。
「ユメラード牧場のユメラと申します。あの、カイラ君はいらっしゃいますか?」
「……」
音声が切れ、玄関の前で待って、およそ二分。ドアが開いた。現れたのは、若々しい女性だった。髪型は、ショートヘアーで黄色くストレートである。服装は、シンプルに白い半袖とジーンズの長ズボンである。顔だちは、なかなか可愛い人だった。
「…あなたが、ユメラさん?」
「あっはい!あたしの事知っていますか?」
「まぁ、ここの島に来てから、うちのカイラが話てくれたの。こんなに可愛い人なんて…」
「えと、じゃあ…お母さんですか?」
「そうよ。私がカイラの母親よ。あ、ちょっと待ってね、今呼んでくるね。………カイラー!お客さんが来てるわよー!………ほら、いるから」
ユメラの前に姿を現した…カイラ。カイラはびっくりしたように目を見開いて、
「…えぇ!?なんで!あんたいんの…!?」
「ご、ごめん。住んでいる場所知らなくて…ここの広場にいるお爺さんに聞いて、ここだって分かったの。ごめん、迷惑だった?」
「…いや、全然。会いに行く手間が省けたよ」
「え?」
ユメラは、顔を赤くする。
「母さん!……………とりあえず、あがれよ」
「えっ!いいの!? おっ、おじゃまします!」
ユメラは、緊張しながら入っていった。
「こっこんにちは!おじゃまします!っ…」
ユメラは、リビングへと連れていかれた。
「いらっしゃい!そこの椅子に座って」
カイラのお母さんは、椅子を出してあげた。
「ありがとうございます!」
ユメラは、体をガチガチしながら椅子に座った。
『ここが、カイラ君の家かぁ…』
ユメラは、辺りを見回した。
家の中は、洋風で、テレビやソファ、必要な家具だけ置かれている。床、天井は、茶色い。
「あら、おかえりなさい!お父さん!」
「…誰か来てるのか?」
「うん。ユメラード牧場のユメラさんが来てるの」
ユメラはその場で立ち上がって、挨拶をした。
「こっ、こんにちは!あたし、この島で牧場をやっている、ユメラード牧場のユメラといいます!お邪魔させてもらってます!」
ユメラは、お辞儀をした。
「ああ!君が牧場主の子かぁ…」
ユメラの前に姿を現したのは、カイラのお父さんだった。
背が百七十センチぐらいで、髪型は、茶色く短めで、顔はハンサムに近く、見た目から見て強そうな人だ。服装は、灰色のスーツを着ている。
「君の事は聞いている。今度、俺達も牧場にお邪魔させてもらいたい。…まぁ急には悪いよな」
と笑みを溢すお父さん。
「えっ!いや!いつでも結構です!どうぞ、皆さんで来てください!」
ユメラは笑みを浮かべて言った。
「まあ!嬉しいわ!ユメラさん!」
と笑みを溢すお母さん。
「…ところで、カイラがいないが…」
とお父さん。
「あ、カイラなら二階にいるんじゃない?」
とお母さん。
『そうえば…いない…ていうより、気づかない自分もどうかしてる……』
「そうか。じゃあ、俺シャワー浴びてくるな」
「…うん、分かった」
お母さんは返事をした。
「あっあの!…良かったらあたしがカイラ君を見に行ってもいいですか?」
ユメラは聞いた。
お母さんは、パッと笑顔になり、ふいていた皿をテーブルに置いて、「ちょっと来てね」
といい、カイラの部屋まで連れて行ってあげた。
二階につくと、茶色いドアの前で、
「カイラ、ちょっといい?開けるよ?」
といい、ドアを開けた。そこには、ベットの上でギターを練習しているカイラが居た。
「…って!びっくりするなぁ!」
と驚いたカイラは、ギターを聴くのを止めた。
「まあ…カイラったらどんどん上手くなってるじゃん!」
「そんな上手くねーよ」
とカイラは、視線をドアのほうに向けた。ドアの向こうに誰かがいると気がついた。
「…よし!あとは任せたよ!坊や!」
といい、部屋を出てくお母さん。
「……バレバレだよ…あんた」
…ドキッ!
「さすが、カイラ君だね!」
ユメラは、緊張しつつもカイラの部屋に入っていった。ベットに机・椅子、タンス、それ以外目立つものは置かれていなかった。
壁には、時計がかけてあるだけ。
ユメラは、おずおずと床に座った。
「だってあんた、服が見えてるし…」
「そ、そっか…」
ユメラは、視線をギターに向けた。
「ねぇ、さっきなに弾いてたの?」
「…普通のメロディを引いてただけだけど?」
「そ、そっか」
「じゃああんた、下に行くぞ」
とカイラはいい、部屋を出る。「ちょ、ちょっと待って」
ユメラはあとを追った。
「あら、二人とも。今ちょうど、クッキーを焼いたから食べていいわよ」
とお母さん。
「あ、ありがとうございます!」
とユメラ。
テーブルの上に出来上がりホカホカのクッキーが置かれていた。
二人は椅子に座って、クッキーをとり、一口。
「おいしいです!…」
「ありがとう。どんどん食べてね」
ユメラは、遠慮なくホカホカのクッキーを口に運んでいった。それを見たカイラは、
「…あんた、凄い食力だな‥」
「そうかなぁ…多分このクッキーがすごくおいしからかなぁ‥‥」
といいつつ、残り三枚となってしまった。
「やっやばい!…食べ過ぎちゃった…ご、ごめんなさい!」
ユメラの言葉に、お母さんは、笑みを溢した。
「大丈夫よ。このクッキーこっちにもあるから、平気よ!だから、そんな謝んないでね」
「そうだよ、あんた。平気だから!」
「……はい。すみません」
「ほら、また謝る!」
「……あ!ごめん!」
カイラとユメラは笑った。
その明るい会話に入れず、カイラのお父さんは一人で、テレビを見ながら、クッキーをガリッ、と食べていた。
ユメラとカイラは気づきもしなかった。
「…じゃあ母さん。俺達、出かけてくるな」
カイラは言った。
「どこに行くの?」
笑みを浮かべて、
「…牧場に行ってくる!」
「行くぞ。あんた」といい、リビングを出ていった。
「えっ!ちょっと!あ、クッキーごちそうさまでした!」
「いいえ。また、来てね!…ほら、お父さんも!」
『え?お父さん?…』
ユメラは、後ろを振り返った。すると、ソファの上に座ってテレビを見ているお父さんがいた。
『というか、全然気づかなかったよ!…』
お父さんは、ユメラの顔を見て、
「また、おいでな」
と言った。
ユメラは笑顔になって、
「はい!またお邪魔させていただきます!」
と満面の笑顔で応えた。
ユメラはお辞儀をして、カイラのもとへと向かった。




