第二話:見知らぬ少年
向かった先は、「森」だった。
「ユメラード牧場」から出て、一直線の道を真っ直ぐ行けば「森」にたどり着く。
「森」には、綺麗な湖がある。この「湖」は、すごく綺麗な水で透き通っていて、輝いて見えるのだ。小さい魚が多く住み着いている。他には、カメがいる。
ユメラはすごく自然が大好きなので、ゼットと毎回ここに訪れている。馬に乗って走り‥五分。「森」にたどり着いた。「ユメラード牧場」からわずか五分で着くのでとても近いのでラクなのだ。ユメラは、ゼットから降りて、その場で空気を吸った。
「気持ちいい!」
一声叫ぶと、ゼットを湖の側まで誘導してしゃがみ込み、手で水をとり、ゼットに飲ませた。
おいしそうに飲んでいる。馬の舌は大きいのですぐに無くなってしまう。無くなったところで、ゼットはユメラの手を舐めた。
「くすぐったいよ!…」
よしよし、と頭を撫でて、水で手を洗った。洗うのもなんと気持ちいいのか。ユメラは立ち上がった。
自然のなかを歩いていく。耳をすませば、リス達の可愛い声が聞こえてくる。ユメラは笑みを浮かべた。ゼットも耳をピクピクッ、と動かしながらいろんな音を聞いている事が分かる。そのまま「森」の中を歩き廻っていき、満喫していった…。
時が経ち…昼。ユメラとゼットは、自分の家へと帰っていった。牧場が見えてきたところ、ユメラの目に知らない人の姿が飛び込んできた。牧場の柵の所に、見知らぬ少年が居た。動物たちに挨拶を振る舞っているように見えた。
『誰なんだろ…』
ユメラは、柵の所まで、ゼットを動かしていった。どんどん、近づいてくるにつれ、声がだんだんと聞こえてきた。少年の格好は、半袖と半ズボン、夏服そのものだった。ギザギザッと模様が入っているようだ。半袖は、ここの過度からはよく見えないが、自分が好きな模様。髪型は、茶色くちょいと長めで短めな髪だった。
「あははっお前、可愛いな!」
少年は、羊の頭を撫でていた。
ようやく少年も、ユメラの姿に気がついた。
「ん?」
少年はユメラの方に顔を向けた。目と目とが合う。ユメラは、ちょっと動揺したように、目を逸らしたが、もう一度少年の方に顔を向けた。
少年は、口を開いた。
「もしかしてあんた、ここの牧場主?」
「そうだけど…誰?」
「…俺?…俺は、この島に引っ越してきた「カイラ」。あんたは?」
「あたしはユメラ、ユメラっていうの」
「ふーん。悪いな、勝手に牧場に入って‥俺動物好きなんだよ」
「いいよ別に。ここの牧場出入り自由なの。動物好きなんて‥あたし嬉しいよ」
ユメラはゼッドから降りた。
「ねぇ、馬触ってもいい?」
「え、‥うん!いいよ!」
しばらく少年は、馬の頭を撫でた。あたしは、少年の顔を見ていた。カイラの顔は、子供っぽいていうか、顔だちはなかなかの方だった。瞳の色は、綺麗な青だった。
「ねぇあのさ」
ユメラは慌てて目を逸らした。
「…な、なに?」
「馬の名前なんてーの?」
「あっ、教えるの忘れてたね!…ゼットっていうんだ!」
「へぇ…いい名前だな!」
「ありがとう!なんかそういってくれると嬉しいな!」
笑みを溢すユメラ。カイラは柵の傍にいき、手を掛けた。
「本当に動物かわいいな!」
「…うん…」
動物と触れ合うカイラの顔は、無邪気で明るい。
「あっ俺!そろそろ戻んなきゃ!じゃあな!」
「あ!…うん!」
カイラは、手を振って走って帰って行った。ユメラも振り返した。
しばらくユメラはボっーとしていると、大事な事を思い出した。それは、「彼が住んでいる場所」。…でも、まあいいや、と心の中で囁いて、ゼットともに自分の家へと向かった。
お昼ごはんを食べたあと、ユメラは自分のベットでゴロゴロした。
『…カイラ君か…あの人の目綺麗だったな…ってなに!考えてんのあたし!
……でも、……やっぱり彼の住んでいる場所知りたい……よし!、探しに行こう!』
ユメラは、ゼットとともにシャーラ島の広場に向かった。広場には、商品売り場や演奏会、芸を披露するななど…イベントが行われる場所である。ユメラが着いた時には、商品が売り出されていた。人々は集まってなにかを買っているようだ。にぎやかです。
『まずは…人に聞いてみよう』
ユメラは、近くにいるお爺さんに聞いてみた。
「あの、すいません。この島に住んでいる…「カイラ」という男を知りませんか?」
「カイラ…たしか…引っ越してきた子じゃな?」
「あっはい!」
「家がいっぱい並んでいるのが見えるじゃろ?…そのなかの一つだけ屋根が赤くなっている所に住んでおるよ」
「あっありがとうございます!助かりました!では失礼します!」
ユメラはお辞儀をして、さっそく、その家へと向かった。