13話
「まぁ…ある程度の制限はありそうだが、ジョーカーだけ能力が他の奴とは全然違うということか?」
「そこはそうだと申し上げますが、内容は教えられません。他にない力を持つとだけは知らせておきます。しかしです…これだけで生き残れるかどうかは分からないのも事実なので、このカードを持つ者イコール勝利者とはならないことは断言します。あくまでも知恵を絞ることが前提ですので…」
「そうか…ジョーカーを殺せる者があっさり殺してしまったらそれも無理と言う事か」
「いえ…そこですが、ジョーカーを殺せる者にも条件があります。開始三時間半は殺せません。そうでなければ、ジョーカーの存在が意味のないものになってしまいますので…」
「いろいろ後から出てくる条件だ…」
「大雑把な説明でしたから、皆さんの質問を聞きながら補足するのが一番良いと思いましたのでご了承ください」
「カードの使い方は?」
「心の中で…口で叫んでも構いません。オープンと一言だけです。それで、カードの能力は使うことができます。単純に願う、呟くだけでは駄目です。心の底から使う意志がはっきりと感じられた時のみ発動しますので、うっかりなどということでは使えませんからご安心を…」
「なら…ジョーカー能力を使った者やその能力をどうやって全員に知らせる?」
「これは、時間もそうですが、皆さんの脳内に聞こえますから…」
「脳内に?」
「ええ…テレパシーのようなものです。時刻も一時間ごとにお知らせします。そこでですが、時計や、時刻を知らせるようなものは今、預からせてもらいます」
「どうしてだ?」
「時刻を知らない方が恐怖感も増すというものでしょう。それに…時刻に左右されて動き回ることも面倒でしょうから余計な不安をあらかじめ省いて差し上げます。生き抜くのみ…このことだけを考えればいいのです」
「くそっ…悪趣味だな…しかし決まりだというなら仕方がない」
そこまで話すと、その場の全員が時計や携帯を取り出し、包帯男の用意させたテーブルの上に置いた。
「さて…皆さんの私物を預かるのはこれでおしまいですが…皆さんからの質問が終わりましたら、カードの入った封筒を取っていただきここにある八つの出口から出てもらいます」
部屋を見回すと、入ってきた入り口のほかに、八つの扉があった。その時に慶太が思い出したのが施設外に伸びている長い通路であった。そうか、あれはここからの出口だったのか。
「出口を全員が出た時点でゲームの開始となります。当然、このゲーム開始の合図も脳内に響きますので聞き漏らしがあるようなことはありません。そして途中経過は一切知らせませんので、誰が死んだのか、何人生き残っているかなどは分かりません。ご自分で確かめてください」