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一夜明け、冒険者の3人組にはここで帰ってもらうことになっていた。

ジータとその相棒マートン、そして駆け出しのサラの3人だ。


水色のミニ丈のワンピースに白のマント姿の魔法使いの少女サラはジータの大恩ある先輩冒険者の娘だ。赤毛のツインテールがよく似合うお年頃で、親のコネがなければ冒険者などまだ出来ない。

年齢通りの甘えたところのある少女で、今日も甘えたことを言ってくる。

嫌じゃないよ。

嫌なわけじゃないけど、どうも俺は「甘ったれるな!」と、叱り飛ばしたくなる。

将来、絶対に雇うだろう信頼の置ける冒険者の卵だけにそれは出来ないが、何故か苛々する。


「スウェンの旦那~。本当にここに残るの~?」


俺の腕にしがみついて言うサラに慌てるジータ。


「こら、サラ!」

「だってさ~、ジータ。スウェンの旦那、無駄骨になるかもしれないんだよ~?」

「サラ、何言ってやがる! お得意様に縁起でもない!」


ジータの言うとおりだ。縁起でもない。

俺の腕にしがみついて甘えてみせても、サラは俺嫌いだったのか?


「すまない、スウェン」


本当に済まなそうな顔で言うジータ。

お得意様だし、確かに金のなる木だけどな。

何かまだイライラが治まらない。

ちょっと意地悪しても良いだろ?


「気にするな、ジータ。その分、次の護衛は割引してくれ」


俺は親指と人差し指でお金を意味するジェスチャーをし、ついでにニヤリとジータに笑いかけてやる。


「スウェン! 後生だからそれはやめてくれよ。な? な?」


ジータはオーバーアクションをする。わざとらしい。わざとらしすぎる。

ジータ。楽しんでやっているのはわかるけど、またマートンが冷たい目で見ているぞ。

ジータとマートンは長くパーティを組んでいるが、ジータのこういうところはマートンと合わないらしい。


「仕方がないな。ウチの村に手紙を届けてくれるのなら、チャラにしよう」


ウチの村に興味がありそうだから、ジータには是非行ってもらわないとな。


「エルフの里の一種みたいなアンタんとこの村に行けってか?!」

「肉が主食なら、大丈夫。毎日が肉祭だからな」


俺の言葉を聞いて、お年頃のサラは顔を青くする。

それを面白そうに見ているジータ。


「サラ、太っちゃう。そんなとこに行ったら太っちゃうよ、ジータ」

「もう少し肉付きがいいほうがいいぞ、サラ。もう少し歳をとったら、ロリコン以外に相手にされたきゃな」


サラの顔色が怒りで赤くなる。せわしないな、この子。


「何さ、セクハラおやじ。ジータにはサラの魅力がわからないのよ。ね、スウェンの旦那~」

「サラ。そんなこと言っちゃ駄目だ。歳のことはジータも気にしている。あと、ビア樽予備軍の腹」

「ス、スウェン・・・」


珍しく真に受けて顔色を失うジータ。

冗談だ、冗談。

俺はニヤリと笑ってみせる。

からかいすぎたか?


「冗談はおいておいて。本当に残る気か? スウェン」


マートンは通常運転だ。

さらりと今まで関わっていなかった会話を無視してくる。


「ああ。ここには商人としての夢がある。あと、嫁と」

「そうか」


多分、嫁の部分は無視して答えるマートン。これは俺の憶測じゃない。

マートンは口数が少ないというか、面倒臭がりが高じて話したがらない、会話に加わらない性格だ。

面倒臭がりのあまり、スルー能力が特化したという最早なんと言っていいかわからない人物だ。ジータとは合わないところもあるが、正反対な性格だけに、二人で組むと良い仕事をする。


「覚悟は固いみたいだな、スウェン」


ジータも心配して言ってくれる。

嬉しいね~。ただのお得意様だけど、気遣ってもらえると嬉しくて涙が出そうだよ、俺。

付き合いの長さが勝因かもな。


ここぞとばかりに俺は見栄を張ってドヤ顔で言った。


「これが一生に一度の大博打だからな」


サラもジータも俺のドヤ顔をスルーする。

おい、そこ、スルーするところじゃないから。なんでいきなりマートンと同じ対応をする。


「駄目だったら、冒険者になればいいよ。おっさんもそろそろ引退するから一緒に行こう」


ヘラヘラ笑いながらサラが言う。

ジータはサラに勝手に引退させられてまなじりを吊り上げる。


「勝手に引退させんな、サラ!」

「助けて~、スウェンの旦那~」


俺の後ろに隠れるサラをジータが追いかけ回す。

はたから見ると犯罪的に見えるかもしれないが、間近から見ると・・・面倒臭い。

案の定、マートンは俺たちから距離を置いて、状況を静観している。


ジータと知り合った時にはマートンとコンビを組んでいたが、マートンも元々は面倒臭がり屋じゃなかったんじゃないかと、疑惑を俺の胸に残して3人の冒険者は去って行った。

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