同居人
「結局あんた何なのよ…」
カナが呆れた顔で質問してくる。
「何といわれれもな…
ランク証明書見せたろ、ランクCの戦術士」
「…確かにそう書いてあるけど、信用できないわよ」
ギルドからの帰り道、カナはイオの正体に疑問を増やしていくのであった。
「そもそもね…どうしてランクCのあんたが《地獄の獄炎》と知り合いなのよ、
それ自体が信じられないわ」
「ギルドでも教えたろうが知り合いだ、それ以外はたぶんないと思うぞ」
「そのたぶんって何よ!そこ教えなさいよ!一番重要そうじゃない!」
先ほどまで弱っていたのが嘘かのように、元気を取り戻すカナ。
話しているといつの間にか自宅に戻っていた二人。
「そんなたいしたことじゃないし、マキナから聞いてくれ
別に話したくいだとか、そういったことじゃなく面倒だと思っただけだから」
「まぁ、いいわ」
「やけにおとなしくなったな、変なものでも拾い食いしたか?」
「そうかもね」
おとなしくなったカナを追求することなくドアを開ける。
「おかえりです!イオ!」
部屋の中から何かが飛び出しイオに飛びつく、
が、イオはそれをよけ自宅に入る。
「へぶっ!」
地面と接吻した何かはそのまましばらく動かなくなった。
カナはそれを見て、呆然としているしかなかった。
「どうしたカナ?」
「いやいや、これ何なのよ」
「それか…しばらくすれば復活するからほっとけ」
とりあえず、といった感じでカナはイオの自宅に入っていく。
イオは帰って早々、皿洗いをはじめている。
「あれっ?朝あったご飯はどこいったのよ?」
「ああつ?朝食ならレーヴァが全部食ったんじゃないか?」
「レー…ヴァ?」
カナは頭の回転が一瞬止まる。
疑問には思ったが、先ほどの物体を思い出していた。
「もしかして…さっきの?」
「そうだな、さっきのがレーヴァだな」
「あんた同居人いたの!?」
「あれ?いってなかったっけ?」
今度はイオが疑問を浮かべていた。
「言ってないわよ!そもそも同居人って…」
「あれでもいちよ女だな」
イオは相変わらず、けだるそうに答える。
そんなときであった。
「イオ、お帰りで…す…」
先ほどの物体改め、少女レーヴァが復活した。
「おう、ただいまレーヴァ」
イオはレーヴァの変化に気づかずに普通に対応する。
「イオ?この女は何です?」
「そいつか、昨日拾ったんだよ」
「人を捨て猫みたいに言わないで!」
するとレーヴァは数歩下がりその顔に驚きの表情を貼り付けていた。
「イオが女を自宅に連れ込んだです!」
なんともいえない悲痛の声が、自宅に響き渡る。
その一言でカナの声が真っ赤な林檎と化す。
イオはそのまま皿洗いを続ける。
「どうゆうことです!?何をしやがりましたです小娘!」
「何で私に来るのよ!?」
レーヴァはイオではなく、カナに詰め寄る。
その顔はなんとも形容しがたい怒りを表している。
「イオが私たちに黙って女を連れ込むはずがないのです!何か私たちにはいえない何かがあって黙ってあげているとしかいえないです!」
「まぁ…あたってるわね」
「つまりはこの女を始末すればイオは誰のものにもならないのです!」
「この子何物騒なこと言ってんの!」
「あっ、そうだレーヴァ、今日家にマキナくるからな」
「はーいです、この女を始末したらすぐに手伝いますです」
「だから何言ってるのこの子!つうか、あんたも止めなさないよ!」
しばらくはカナとレーヴァのじゃれあい(レーヴァの一方的な暴力)は続くのであった。