カナ
「…柄にもないことやっちまったな」
彼はカナに食事させた後、着替えを持たせ風呂場の場所を教えた。
その後、ベットがある部屋の隣の部屋で布団を敷いて寝転がっていた。
不意に扉が開けられる。
「…ちょっといい?」
「夜這いなら別の日してくれないか、今日は眠い…」
カナは顔を真っ赤にする。
「よよよよよ、夜這いじゃないわよ!へへへへ、変な勘違いはやめてくれない!」
「…何のようだ」
彼は眠気をこらえ、カナに視線を向ける。
カナの顔から恥じらいが消え、代わりというように冷たい空気を漂わす。
その言葉どうりに
この世界にも実は魔術はあるが、基本的には
身体能力強化
魔力の壁、障壁の展開
しかない。
だが例外というのはいずれの世も出で来るものだ。
ごく稀に今述べた魔術以外に固有魔術を使える者がいる。
固有魔術に関しては人によっては同じものや違うものがある。
簡単に言ってしまえば固有魔術も人間みたいなものだ。
つまりは冷気を出しているカナは固有魔術の使い手なのだ。
「…なるほど、さっきの奴等が懸命に探すわけだ」
「あなたに質問…いえ自白することをお勧めするわ」
カナは右手を彼に向ける。まるで狙いを定めるかのように
「それで、何が聞きたいんだ?」
「あなた自身についてよ、助けてもらったのはありがたいけど…ご飯を作ってもらったのも…泊めてくれるのも…
自分で言ってて今何してんだろ私って思ってきたわ…」
「…何がしてぇんだよ…お前の魔術で眠気が覚めちまったよ」
彼は頭をかきながらカナを見据える。そして、出会ったときと同じように殺気を放つ。
カナは震える手を左手で支え質問をする。
「…あなたは、何者?その殺気…ただの戦術士が出すのは普通できないわ…高ランクの戦術士もしくは…どこかの刺客とか」
戦術士とは、ギルドという仕事受付所から仕事を決め、魔術や個人の能力だけで仕事をこなすというものだ。
戦術士にはランクがあり、最高位がS、A、B、C、D、E、Fまである。
質問を受け、彼は殺気を消しあくびをする。
カナも彼の言動を見た際に呆けてしまう。
「なんだ、そんなことかなら明日でいいか、も…ねむ…」
「はっ?ちょっ!寝ないでよ!まだ答えてもらってないわよ!ねぇ!」
彼は眠り、質問の答えが返ってこずに夜が過ぎていく。