涙
本日は二話掲載です。
『涙』が短いので『カナ』もつけます。
「…料理ができないのならそう言えそれになんだ、さっきのしおらしい態度は今の性格を隠すものか?」
「そうよ、なんか文句ある!?あったとしても聞かないけど!」
「…いや何もないが、料理ぐらいは作れるようになれ」
少女は先ほどまでの態度がまるでなかったかのように話を進める。彼はなんだかんだいって少女のために料理を作っている。
「うるさいわね!とっとと作りなさい!今までは使用人にやらせてたから知らないだけで、やろうとすればできるんだから!」
「…使用人って、お前はどこかのお嬢様か?」
「そうよ!お嬢様なんだからね!それと『お前』ってのやめてくんない」
彼はできた料理を皿に盛り付けテーブルに持っていく。
「…ほらできたぞ…っていわれてもおまっ…あんたの名前はしらねぇよ」
「…ありがと」
「口は悪くても、お礼は言えるんだな」
「うっさいわね!私の名前はカナよ」
「カナ…ね、そんでどうして追われてんだ、という前に冷める前に飯食え」
「言われなくても食べるわよ!いただきます!」
「…律儀だな」
その後、カナは目の前のしょうが焼き、サラダ、味噌汁、卵焼きの中からまずしょうが焼きに口をつける。
「…何これ、すごくおいしい…」
「さいですか」
彼が言葉を発した後、ものすごい勢いでご飯を食べていく。
食べているのだが、途中で食べるのをやめ、いきなり泣き出した。
彼はカナの頭の上に手をおきやさしく動かす。