帰宅
路地裏から少し歩いたところ、そこに彼の家があった。こじんまりとして特徴のないどこにでもある一軒家だ。
「さぁ入れ・・・」
「えっ?いいの?」
「入りたくないならほかを当たれ」
彼が扉を開け一人で中に入ろうとする。
少女は一瞬だけ硬直するが彼の一言で家に入る。
家の中にはシンプルな家具などが置かれているが特に散らかっているようにも、華やかさなども一切ない。
生活に事足りるだけという家であった。
「あんまり汚くない…」
「あまりやることがないからな、それと人様の家に入っての一言がそれか…?」
「あ、いや…ごめんなさい」
「…俺はもう寝る、隣の部屋にベットがある。
今日はそこで寝ろ…」
「あっ!待っ…」
ぐぎゅるるるるるるる、、、
突如、大きな音が鳴り響く。
音が消え数秒の間、静寂が訪れる。
彼は振り向き、少女を見る。少女の顔は真っ赤な林檎みたいになっている。
「…冷蔵庫の中にあるもの食っていい、だから起こすなよ」
彼は少女に伝えた後にドアに手をかける。
「だから待って!」
少女は彼の手を握り止める。
「…なんだ?正直に言うとかなり眠いし気を悪くしているのだが」
「すっ、すみません!あっ、あの…なんていうか…その」
またしばらく静寂が訪れる。
「悪いんだが何にもないなら寝たいので手を離せ」
彼が痺れを切らし言葉を放つ。
少女はその一言に涙目になり俯いてしまう。
さすがに彼もそこまで面倒を見てられない、少女の手を離そうと掴まれている反対の手を伸ばす。
その瞬間、
「あんたも少しは察しろやこのクソ野郎が!!!」
少女から出る罵倒とその瞬間に猛烈な衝撃が顎に来る。
彼はその衝撃で倒れてしまうが何かあったが理解ができなかった。
何か起こったか端的にあげると、
少女に罵倒された挙句、アッパーカットをもらったということだ。
状態を起こし、少女を見上げる。
そこには先ほどのおとなしい少女ではなく、仁王立ちの堂々としている少女が立っていた。