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1.

初めまして~皐です。


駄文ですが、よろしくおねがいします。

ほうき今日も早いわね」

「おはよう母さん。朝食ができてるから早く食べちゃって。さっき担当さんが原稿取りに来るって言ってたから」

「うっ、どうにかしないとだよね……コーヒーブラックで!」

「そう言うと思った」

 そう言って、ある一定の周期でよくあることなので、言われる前に準備していたコーヒーを出す。

「さすが我が子♪」

「伊達に何年も母さんの子をやってないさ」

 この母、椎葉碧しいば みどりは作家である。結構売れっ子の。

 昔は教職についており、その関係上俺の学業の成績も良いものだった。

 その関係か母の書く作品は学園が主体になってるものが多い。

 しかも書いている作品がライトノベルと言うジャンルで、実はアニメ化を予定してたりする。

 対する我が家の親父殿は、ノベルゲーム会社に勤めており一部では有名な人である。しかも主にシナリオと企画担当。両親ともにモノ書きである。

 その遺伝子を受け継いでいるはずなのだが、文系より理系の方が得意である。

「4月まであと少しか……彗、今日の夜少し話があるの。時間開けといてね」

「友達が少ない俺に対する侮辱?」

「違うわよ、大事な話」

「……分かったよ」

 母は今年ですでに四十台だと言うのに無駄に美しい容姿を発揮し、苦笑いを作るが、それもかなり様になっている。

 いまいち何があるのか分からないが、いつまでたっても無表情である自分の顔を少し歪めながら(歪めているつもりだが実際は変わらない)二階の自室へ行き、

 大人しく自分の部屋へ行き高校の課題を片付け始めることにした。




 椎葉彗しいば ほうき

 自分の顔がいつも無表情なことに悩む15歳である。

 無表情と言うのは非常に何を考えているか分からないようでよく気味悪がられた。(声の強弱も苦手である)

 そんな自分の顔を少しでも隠そうと前髪を伸ばし、口元まで顔が隠れている。

 元々存在感が薄いからか、割とこの状態の方が生活しやすかった。一々人の反応で困らなくて済むから。

 若干、影が薄すぎるのか、校内で制服を着た貞子さんの男バージョンが出ると生きた学校の7不思議に登録されたこともあった。

 後ろ髪はそんなに長くない。首の制服の襟が隠れる程度だ。

 少しでも表情が柔らかくなるように顔面のマッサージは怠らないのだが、今の所変わる気配がない。

 無表情に身長が165㎝で何かと影が薄い。割とクラスに1人はいそうなタイプの人間だと思う。

 春休み3日目にして早くも課題を終えてしまった。

 こういうのは長期にわたって少しずつすることで意味を成すことだとは思うのだが、暇なのでやっていたら終わってしまっただけだ。

 取りあえず、先ほど昼を食べ終わった後なので高校の教科書を読み進めることにしておいた。

 国語の教科書を読み進めて行き、少しノートをまとめ、自分の本棚にこの前面白そうだと買っておいた本を読まずに放置していたことを思い出し、読んでいく。

 両親の仕事が文字とかに本に関する仕事なので、担当の人が見本誌をもらったりするので必然的にオタクと言うジャンルが少し脳内に混ざっている。

 ネタとして、父のことを親父殿と言っていたら自然と定着してしまった。

 本を読んでいると次は受験勉強で見ていなかった撮りためていたアニメを消化していく。

 丁度、いい区切りで母が夕飯が出来たと呼んだので一階に降りる。

 その際に小さく胸のあたりで痛みが走った。

「あれ、今日親父殿はいないんじゃなかったの」

 リビングに行きくと3人分の夕食の準備がされており、少し驚く。

 昔から両親の仕事の関係で家族全員で食べると言うのは結構少ない。

 しかも今、親父殿は大人気作の続編の制作で今忙しいはずだ。

「言ったでしょ、大事な話があるって」

 とういって、すぐに玄関のドアの閉まる音がリビングでも聞こえる。

 いかにもダンディーな感じの無駄に格好いい親父殿がスーツのネクタイを緩めながらリビングに入ってきた。

 現在43の大人の色気ムンムン(笑)のこの人が椎葉芳次しいば よしつぐ

「夕食を食べながら話そう。彗、お前に重大発表だ」

 


 

 家族全員で夕食を食べていると、親父殿がゆったりと俺が生まれる頃のことを話し始めた。

 当時、親父殿は実家で退魔の仕事に着いていたらしい。いかにも非現実的なことなので何を言っているか今一分からなかったが。

 そして仕事の帰り、家に帰宅する際に途中で力尽き、倒れるがそこへ偶然通りがかった母さんが家へ連れて行き、看病したらしい。

 それから、目が覚めて母さんを見ると親父殿は一目ぼれをし、交際3カ月で即結婚。母さんも何度もアタックしてくる親父殿に惚れたらしい。

 妻を危険な目に合わせたくないと言い、退魔の仕事を辞めたそうだ。親父殿は非常に優秀な人で実家からは大反対が起きたそうだ。

 どうにかこうにかあって、幸せをもぎ取り、俺が生まれる。

 俺は生まれた当初からかなり体が弱かったようで何度も死にかけたらしい。

 ある日、俺が2回目の入院から退院した際の帰りに不思議な神社を見つけたそうだ。

 もう、自分の子を病気で辛い目に合わせたくないと二人で祈ったそうだ。

 すると、不思議な現象が起きたらしい。

 謎の光る玉が

『汝らの願いしかと聞き入れた。ただし、代償は頂いてゆく!』

 と、言い俺は光に包まれたそうだ。

 その時初めて親父殿は魔に属するものと気が付き、阻止しようと封印したが、遅かった。

 俺は表情と過度な感情を奪われ、そして自分の性別を反転させられたそうだ。 

 親父殿の実家へ行き、土下座をし頼み込んだそうだ。その子の魔を払い、生活に支障が起きないよう助けてくれと。

 親父殿の父は孫を溺愛してしまうタイプの方だったらしく、自身の家の地位を最大限に利用。戸籍を弄るなんて簡単なことだったらしい。

 幸い、魔を払うにも親父殿が封印したのが良い判断だったらしく、しばらく後遺症は起きるが、生活には問題ないレベルになったそうだ。

 それから、魔は律儀に俺を健康体にしたらしく、今日まで特に病気になることなく、生活してきたそうだ。

「……つまり、どういうこと?」

 何か理解が追い付きません。

 いや、確かにお爺はすごく俺を溺愛していて、欲しいな~と呟いたらすごい勢いで買いに行ってくれるレベルの人だったけど!

 確かに、あのかなり立派な親父殿の実家を見れば権力があるような気はしていたけど。

「落ち着いて聞いてくれ。実は先日父さんから電話がかかってきて、お前にかかっていた魔の後遺症が明日、消えるらしい」

「つまり無表情じゃなくなると……今までの顔のマッサージむだだったのか……」

 ちょっとショックである。

 魔の存在なんて信じているわけではないが、確かに人外のせいなら医者が不明言った意味も分かる。

「なぁ、彗お前着目する所が違う!父さんが言っているのは、お前が明日女に戻ると言っているんだ!」

 …………………………あえてスルーしていた息子に現実を押し付けるとは何事でございますか。

 え、なんですか、俺生まれた時女だったわけですか?

「安心して……なんて言っても意味ないかもしれないけれど、一言謝らせて」

「えっと、実感がないのですが……」

「明日、もう一度話をしよう。その時、思ったことは素直に言ってくれ」

「あーうん、風呂入って寝るよ」 

「おやすみなさい。ただ、困ったことがあったら私たちにぶつけてね」

「お休み」

 そういて、脱衣所へ行き、服を脱ぎ、自分のボディーチェック。

 普通の若干筋肉質の体だ。前髪を上げても無表情な顔。

 何とも実感ない。

 ゆったりとのぼせかけながら風呂に入って、その後、布団に入り不思議とゆったりと眠れた。


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