表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/67

第四幸Kー1 「強欲村の過去」

黄金騎士と緑の勇者の策は、黄金の悪魔を追い詰めるも、明かされた顔と秘められし切り札によって逆転され、エンディックは失意し、緑昇は深傷を負った。

さして意外な正体でもなく、誰もが予想していた人形の顔。

仇の悪魔の操り人形に驚くは、少年のみである。

(ヴェルト村の過去・ガンティア山)


「こちらベネト!敵機を確認! そちらからは見えるか、ギデオーズ?」

「は! マモン=グリーズの一時方向より、無人機を確認しました少佐」

 断崖絶壁の谷の間、その空中に黄金の騎士甲冑が浮いている。

 梟の意匠に丸みを帯びたフォルム、反重力装置の翼を生やした、兜に王冠を頂く全身鎧の人物。

 この強欲の勇者鎧の装着者は、ベネト=ハウピースという。

「アイツがハーピィって呼ばれてる無人機か。見たことのない機体だが……。ここから街道へ飛んでいって、もう何人も殺ってるらしいからなぁ」

 前方の空より高速で突っ込んでくる、人間より大きな物体。

 ベネトは敵の突進を右に飛び避けつつ、目元のバイザー内のカメラで撮影した。

 その鋼の怪鳥は突進後、機首を上げて上昇していく。

「照合……該当無しか。見た目は小型無人戦闘機といった具合だな」

 このハーピィという魔物は、平べったい胴体に鳥の頭、可変翼、下部の可動腕にはクローが取り付けられている。人の乗っていない戦闘機だった。

 装甲色は雲模様のグレーの迷彩となっており、撮った画像をズームすると、頭部に機銃が確認出来る。

「このシュディアーという世界も解らんな。どこからこんな機力世界のような、機械生命体が生まれてくるんだ? なぜ人間に敵意を向ける?」

 ハーピィは上昇から旋回し、再びこちらに突進。

 今度は下から生えた腕爪も構え、下降による加速で、更なる速度で接近して来る。

「まあ、いいか。どんな化物だろうと、俺達があの村に取り入る、いい口実にさせて貰うぜ。トュルゥウ……フォオッチュゥン!」

 ベネトが構えたのは、短めの両刃槍『真実の(トゥルーフォーチュン)』だ。その動きに呼応して、四つの金球が周囲を浮遊する。

 金の勇者は翼に機力を込め、迫る魔物に向かって高速上昇かつ直進。

「アイアンヴェノムビィイムッ!」

 空中でぶつかるかに見えた鳥達だが、ベネトは直前に向きを変えて上昇。

 すれ違う瞬間、四つの金球から眩い光線が照射され、ベネトの下を通過する怪鳥に降り注ぐ。

 マモン=グリーズはそのまま上昇して行き、全身を金に犯されたハーピィは、谷底へと墜落していった。

金属毒光線(アイアンヴェノムビーム)こそ、我が鎧の主武装。相手の防御力に関わらず、猛毒の光で敵を着色することで支配。支配下に置いた上で、毒素で犯し殺す、万能の矛だ!

 反射魔言で跳ね返されちまうのが欠点だが、遠隔操作された金球の早撃ちは防御詠唱より早く、跳ね返せない方向へ自在に回りこむ。

 何より例え跳ね返されようと、攻撃より更に強い防御力場がそれを防ぐ……。

マモン=グリーズは本当、最高の兵器だぜ!)

「少佐、敵増援であります。無人戦闘機を三機確認」

 兜の通信機から聞こえた戦友の声に従い、ベネトは索敵する。

 下後方より上昇してくるハーピィが一機、右上方から降下してくる二機の機力反応が知れた。

「なら、上からだなぁ!」

 黄金の勇者は右上の敵へ上昇機動。

 槍を構えて、切断消滅の技術を呼び出す。

「魔言『SLASH』」

 真実の富の上側の刃に、紫の光の線が付与された。

 ハーピィは彼我の距離がゼロになる前に、頭部機銃砲を連射。

 ベネトは弾丸を防御力場で弾きつつ、半回転のロールして下降する。

「おらよ」

 ハーピィと勇者が互いの腹を向けながら交錯するとき、槍が下から上へ振り上げられた。

 刃に添えられた紫の光は、魔物の頭からぶつかり、何の抵抗も受けずに中の機械を消し切っていき、尻から宙空へ出る。

 真っ二つになったハーピィを捨て置き、ベネトは回転して姿勢を平行に戻し、もう目の前まで来たもう一機のハーピィの上へ飛び上がった。

「無機物は空じゃ重過ぎる……堕ちな!」

 振り下ろされた真実の富は、今度はハーピィの尻から背中、頭部を抜け、異形の鳥を切り落とす。

「おっと、背中を取られちまったか」

 そこへ下から上昇して来ていた、四機目のハーピィがインレンジ内に。ベネトは魔物に対し、背を向けて上昇中である。

 鋼鉄の鳥は機銃を撃って追いすがりながら、下部可動腕クローで金の翼を掻き千切ろうとする……が。

「俺の得物にゃ砲身がねーんだわ……。つまり、全方向に撃てるってことだよなぁ?」

 勇者を護衛する金球は機銃掃射を防ぎながら、金属毒光線を発射。

 至近距離から光を浴び続けたハーピィは、その身を金に染め上げられ、やがて上昇を止め、地の底へ落ちていってしまった。

「旦那様は相変わらず、戦いに遊びが多いですなぁ」

「おうよ、マモン。俺は勇者様だぜ? 英雄がこんなダサい雑魚共にマジになったら糞ダサいだろ? 常時舐めプで完勝してこそ、勇者って看板貼れるんだよぉ」

 ベネトは頭の王冠から聞こえた音声に返ずる。

王冠の金十字の装飾に封じられた、強欲の悪魔マモン。このAIが彼の相棒だ。

「お疲れ様ですハウピース少佐」

 兜内の通信機から聞こえた声は、崖上の林に隠れている部下の物だ。

 彼はギデオーズ=ゴールと言って、プライベートでも旧知の仲で、ベネトの戦友だった。

 ギデオーズは勇者ではなく、支援無人機の操作や整備に精通した兵士。

 異世界の機力技術に強い関心があり、王都の錬金術士団とも懇意にしていた。錬金術士達と短い交流の中で、すぐさま初歩的な術を習得したギデオーズは、一種の天才と言える。

「これであのヴェルト村は、我々を受け入れてくれる筈です。もし王都の追手が来たときの為の、潜伏池になるでしょう。

 あの無人機の暴走騒ぎで、時間は稼げていると思われますが」

「それに機力世界の政府が、この件を黙ってるわけがねー。シュディアー人がどんな言い訳するか知らねーが、きっと救援が来る……国家を信じようぜギデオーズ」


 だが上の筋書きは、ベネト=ハウピースの想像とは異なっていた。

 マシニクル政府が優先していたのは、勇者鎧という超兵器の試験データ。

 権力者達は異世界での試験データを元に、いずれ来るシュディアー侵略と自分達の世界の戦争に役立つ、新兵器を欲していた。

 勇者鎧という超兵器の為ならば、非人道な実験も、替えを探せば良い捨て駒など惜しくは無いと。

この先の未来のマシニクルでは、先に異世界から帰った部隊の情報により、勇者鎧のレプリカ兵器が量産体制に入るまで完成するのだが、シュディアーで見捨てられた勇者達は知るよしもない。

 しかしそれを用いた侵略作戦は、緑昇ら次世代の勇者の結界門破壊によって、一時中断する形となるのだが。


スマナイ…間を空けてしまって本当にスマナイ。

新たに生まれたパソの徹底的反抗に苦しめられてました( ;´Д`)でも大丈夫です多分。


ここから前後は過去編となります。シナリーのお父さんはマトモな頃はイケイケで、技名とか叫んじゃう系の人でしたね。

このハーピィー戦は本来無かったもので、マモングリーズの万全状態での戦闘をちゃんと書きたく、入れることにしました。

この先、マモングリーズが魔物と戦うシーンほぼ皆無ですしね…。敵ライダーは辛いよ。


そして次回、6話へのショッキングな伏線と設定が設置されますので、お楽しみに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ