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創始者は嗤う  作者: 癒烏
3/3

2。 ~事態ノ整理、否~

実際、世の中は“仮説”であふれている。


夢をみるのはどうだとか、沸騰するときに泡がでるのはこうだからとか、確証はできないそうだ。有名な話といえばUFOなどの人類外の存在についてだが、それはまた別の話。


ところで俺は今。




―どこに居るのだろうか?―




地球とはまた別の…世界?

いやまさか。嘘だろ。だって俺寝てたんだよ?寝ててなんでこんな真っ白い世界に居るわけ?へ?


まるで白と黒だけで描かれた絵の中に入ったような気分で、妙に浮きでている背景。色を除けば、いたって普通の町並みであたりまえの光景だ。そして道路というべき場所に俺は寝っ転がっている状態である。


様々な思考回路をめぐらすも、いっこうに頭の中で整理できない。夢を見ているとしか言えないが、直感で…なんとなく分かるのだ。そう、これが夢ではないという事が。

現実で発見されなかった世界が、ここにあったというのだろうか――?

あおむけになりながら、空を眺める。といっても、水色ではなく真っ白なのだが。


とりあえず立ち上がろうとしたが、そこで俺はある違和感に気づく。そよ風が吹いているのだろうか?右の耳だけにリズムよく風があたる。右をちらりとみると、そこには朱色の髪をだんごに結んでいる女子が寝息をたてていた。……俺の真横で。


「きめぇぇぇえええええ!!」

「へっ!?」


涎をだらーんと垂らしながら目を覚ました目の前の人物は突如、きめぇぇぇぇぇ!!と叫んだ後、寝た状態で俺の腹に蹴りを入れてきた。痛いよ、ちょ、何気に威力が強い…


「セクハラ!色情狂!欲情男ぉぉぉぉぉ!!」

「ちょ、落ち着けって…」


腹を抱えながら俺が立ち上がると同時に相手も一緒に立ち上がると、今度は急に自分を指差して言う。


「あたし、美濃ヶ原悠みのがはら・ゆう。あんた、もしかして…鐘ヶ江尽?」

「悠……」


名前を呟いて考えた後、学校での人物像が思い浮かんだ。そうだ、こいつ、同じクラスで活発な子…!

思い出した瞬間に、なぜか顔面を思いっきり殴られる俺。


「な、な、何よ急に!!悠とか呼び捨てして…」

「ってそれで殴るか普通!俺今リアルに吹っ飛んだぞ!?」


必死に抵抗するも、まるで意味がない。完全に一人で興奮状態である。…だから女子は嫌いなんだよ、変な妄想して…くそっ。

心の中で独り言をはきながら立ち上がる。今までの状況を表すなら、漫画のように遠くまで吹っ飛ばされて地面に叩きつけられた場面である。


…っていうか、あれ?どうして俺、こんなに吹っ飛んだんだ?

疑問に思っていると、いつの間にか目の前に美濃ヶ原が迫っていた。息を呑む俺。


「っていうか私、吹奏楽部で練習した後に休憩時間があって寝ちゃったんだけど…

 これ、どういうこと?っていうか、ここどこ?」

「俺にきくなよ…」

「ほんっと、男子って頼りにならないよね~」

「お前そんなセリフ、しょっちゅう言ってんじゃねーか」

「まぁね!男子は信用してないから」


自分が着ている制服についているリボンをいじりながら、なぜか得意げな表情をして言う。


「…んで、どうすんだ?」

「私にきかないでよ!…まぁとりあえず、一緒に行動……する?」

「いや、けっこう」


断った瞬間、目の前が肌色に染まった。数秒後、今、自分の顔面から数ミリ離れて拳が迫っていることが認識できた。その拳は止まったままだ。


「一緒に行動、するよね~?」

浮かべているのは、明らかに黒い笑みだった。

「…あぁもう分かった!!」


そう叫ぶと、その手はゆるめられた。美濃ヶ原が手をおろすと、意地悪そうな微笑を浮かべた。


「それじゃあこれから、宜しく!とりあえずここら辺、捜索してみない?

 何か手がかりとか…人も居るかもしれないし!」

「そうだな」


そう答えると、歩き出した俺の横に並びながら、美濃ヶ原も歩き出した。


複雑な心境だが、今はとりあえず事態を冷静に見つめることだ。

俺はそう考えた。


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