卵を割ったら雛が入っていた
卵を割った。
黄身の中に死んだ雛が入っていた。
気持ち悪くてごみ箱に捨てた
夜。
卵を割った。
黄身の中に雛がいた。
さすがにこれはクレーム案件だろうと、二十四時間スーパーに電話をしてみる
「ああ、それ多いんですよね、結構ありますよ」
「でも一パックに既に二匹いたんですよ?おかしいでしょう」
「そういうものだと思ってください、黄身がふたつある卵みたいなものです。最近は多いんですよね、それ系のクレーム、でも卵ってそういうものじゃないですか」
納得が行かないが、相手もなんでもないことのように言ってくるので、そういうものなのかとだんだん思いだした。
それにしても気持ちが悪い。
朝卵を割る。
また雛がいる、気持ち悪さを堪えて、よく観察してみる。
全身に毛が生えている。
やっぱり気持ち悪くて捨てた。
もうパックごと捨てることにした。
仕事帰り、いつもと違うスーパーに寄る。
食材を冷蔵庫に入る分だけ買い込む、卵も忘れずに。
晩御飯のために卵を割る。
は?
また雛が出てきた、本当にどうかしている。
気持ち悪いことに変わりは無いが、当たり前のような気もしてきた。
たまたま電話がかかってきた。
学生時代の友人だ。
最近卵に雛がはいっていることを報告する。
「え?卵に雛が入ってるって?そんなの当たり前じゃん、それにクレーム入れるなんて、カスハラだぞ、今雛入り卵滅茶苦茶流行ってるからな」
友人が言うには
番人気のレシピは、卵かけご飯なのだそうだ。
時々、ピンクや青に染まった雛も出てくるらしい。
それを箸でぐちゃぐちゃと掻き混ぜながら、ずるずると食べるのが、世間の常識だそうだ。
聞いているだけで気持ちが悪い。
念の為卵をもう一つ割ってみる。
緑色の雛が入っていた、なんとも言えない感覚がする。
このままでは卵を食べられない生活になるだろう。
ベッドに横になる、いつの間にそんな世の中になっていたんだろう。
しばらく考えいるうちに眠ってしまった。
夢の中でこんこんこんこんと何かをつつく音がする。
朝が来た。
卵を割る。
二羽の雛が入っていた。
それを見てよだれが出てくる。
茶碗にご飯入れて、真ん中を凹ませてから二羽の雛を入れて、少し醤油を垂らして掻き混ぜる、掻き混ぜる。
雛はぐちゃぐちゃに潰れている、それを見ていると、より一層よだれが込み上げてくる。
ごりごりと、口の中で柔らかいものと硬いものが一緒に潰れた。
卵かけご飯を食べ終わると、なんとも言えない美味しさと、憂鬱だった心が晴れていく。
卵かけご飯はやはり最高だ。
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