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第75話:集結

前魔王アストレアの残滓が作り出してくれた魔界への道。


カナト達は覚悟を決め飛び込んだ。


道は光が作り出していた。


奥には出口らしきものが見えており今の所、危険な感じはなかった。


「真っ直ぐ進めば大丈夫そうだけど……」


エフィナは周囲を警戒する。


カナト達も見渡すが何も起こらない。


「だが、強い魔物気配がそこかしこからしている」


エルネストは剣を抜こうとするが……。


「ダメ!!決して誰とも手を離さないで」


エフィナが制止する。


「アストレアが言ってたでしょ?あたしから決して離れないでって」


「目の届く範囲から離れるつもりはないが……」


エフィナは首を横に振る。


「何があるか分からない。離れたら二度とこの空間から出られないかもしれない」


「じゃあやる事は一つだね」


ユナがエフィナを見てエフィナもユナを見て頷く。


「全速力でこの空間を駆け抜けるよ」


エフィナがカナトの手を引っ張り、それに続いて、ユナ、エルネストと引っ張られ走り出す。


エフィナを先頭に道を走っていると巨大な魔物がエフィナ達に向かって襲いかかってきたが見えない壁に阻まれるように弾かれた。


「これは……」


エルネストが目を見開いた。


「アストレアが守ってくれてるんだ」


エフィナが嬉しそうに言う。


「これなら一気に魔界に到達できるよ」


エフィナは足を止めず走り続けた。


しばらく走り続け出口に到達し、光に包まれた。


エフィナ達が目を開けると巨大な扉が眼前にあった。


扉の向こうでは誰かの話し声が聞こえていた。


エフィナは深呼吸をし、気持ちを落ち着けようとしたが手が震えていた。


それを見たカナトはエフィナの手をぎゅっと握った。


「カナト……」


カナトはエフィナに微笑みかけ落ち着くまでいつまでも手を握っていた。


すると巨大な扉が少し開き、中からラディウスが出てきた。


「エフィナ様。お待ちしておりました。他の候補者達は既に到着しております」


ラディウスの言葉にエフィナは覚悟を決め、中に入った。


「最後の候補者が到着したようですな」


中ではジルヴァ王が見届け人として立っていた。


魔王候補四人の視線がエフィナに集中した。


「ご紹介しましょう。魔王候補最後の五人目。エフィナ・ルア・ファルミナス様です」


四人の候補者達はエフィナの名を聞いた瞬間、驚きの表情を浮かべた。


「エフィナ・ルア・ファルミナスだと?あいつは二十年前失踪したはずだろ?」


ダルガンは眉間に皺を寄せながらエフィナを睨む。


「確かに面影はあるけど幼すぎる。彼女の子供ってことかしら?」


シェーヴァは横目でエフィナを見る。


「確かにあの甘ちゃんに容姿は似てるが、そんな子供が本当に候補者なのか?」


ヴォルツはエフィナを上から下まで舐め回すように見る。


ルシエルは最初こそ驚いていたが、どうでもいいという感じで目を閉じた。


「静粛に。彼女は間違いなくエフィナ・ルア・ファルミナス様、御本人でございます。エフィナ様、お供の者達と空いた席にお座り下さい」


エフィナが案内された席に座ると、ダルガン、シェーヴァ、ヴォルツは納得はしてないがとりあえず席に着いた。


五つの玉座が半円に並び、中央には「魔界継承律典」が浮かぶ。


ジルヴァが宣言する。


「魔界王位継承戦は、“最も強い者”ではなく“最も王に相応しい者”を選ぶための戦である」


ここで過去の失敗が語られる。


力のみで選ばれた王が魔界を分断した。


戦争を呼び、結果的に魔族を滅ぼしかけた。


その反省から、単一決戦制は廃止。


そして提案されるのが


「五名による 総当たり戦。一人につき四つの継承試練を行う」


ダルガンやヴォルツから不満が出る。


「そんなまどろっこしい事なんてせずに力で決めようぜ!?魔界は力こそ全てだ!!分断?そんなもん中途半端な奴が上に立ったから起こっただけだ。俺様ならそんなダッセー事は起こさせない。逆らう奴は皆殺しだ」


「概ねそこの馬鹿の言う通りだ。何故今更、魔王を決めるのに継承戦などを行う?いや、継承戦自体はあったが、こんな回りくどい決め方はしてこなかったと記憶しているが」


ジルヴァは二人の圧に動揺せず淡々と話す。


「継承戦の意義は先ほど説明した通りです」


ダルガンはジルヴァの胸ぐらを掴み持ち上げた。


「だからそれが納得いかねえっつってんだよ」


「力だけで王を決めるなら、継承戦など不要。それは“戦争”だ。貴様達は戦争をして魔界を滅ぼしたいのか?」


というジルヴァの言葉で二人は黙る。


二人は魔界全土を巻き込んで魔王になろうとは思ってなかったみたいで全く話しが通じないかと思ったが多少は通じると分かって少しホッとしたエフィナだった。


ジルヴァが咳を一つして話を続けた。


対戦形式

五名による総当たり(1vs1)補佐役として1〜2名同行可能とする。

各候補は 4戦ずつ。

同時進行なし、すべて個別開催。

■ 勝負の種類

各対戦は 3種の試練から1つを選択(※対戦相手同士の合意 or 抽選)

戦闘継承戦

統治継承戦

共存継承戦

これにより、戦闘偏重を防ぎつつ、王としての資質を多角的に評価できる。


勝敗数は「参考値」

4戦中、何勝したかは見る。

だが それだけでは王は決まらない。

評価会議による総合判断

評価項目例:

勝利への過程

力押しか、工夫か、犠牲は何人か


敗北の内容

無謀だったか

退く判断ができたか

仲間を守れたか

他者への影響

周囲がどう変わったか

敵がどう語るか

王としての一貫性

判断基準がブレていないか


最終判断は:

「この者が王になった未来を、我々は受け入れられるか」

という問いで下される。


ジルヴァの話しが終わると五人は納得する者、渋々納得する者、どっちでもいい者という感じで別れた。


そんな思いなどどうでもいいと言わんばかりにジルヴァは早速継承戦第一戦の対戦内容、相手を発表した。


「第一戦は戦闘継承戦形式。エフィナ・ルア・ファルミナスVSダルガン・ザ・ブレイズロード」


エフィナはいきなりかと驚き、ダルガンはニヤリと笑い拳同志をぶつけた。


「はははは!!いきなり俺様の得意分野じゃねえか!!この勝負いただいたぜ」


エフィナを見下すように見るダルガン。


「たとえ本物のエフィナ・ルア・ファルミナスだとしても、全力で叩き潰すぜ?」


エフィナはダルガンを覚悟の目で見る。


「あなたがどれだけ強くても、あたしは負ける気はないから」


エフィナVSダルガンの戦いが始まる。

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