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第52話:潜入

俺達は聖ヴェリシア王国からエフィナを取り戻すため出発した。


途中で何組かにバラバラになり少しずつずらし、城下町に入り奪還の準備を進めていた。



「エフィナが閉じ込められてるであろう聖櫃の塔には腕に覚えのあるガルドさん、ヴァーリンさん、白獅子の冒険者の何人かで向かってくれる。俺達は、ミリアさんとラディウスさんと共に警備を聖櫃の塔から遠ざけるための囮。

親父さんと残りの白獅子の人は脱出経路の確保だよな?」


先に到着した俺とユナは今後の対応を確認しあっていた。


「うん。明後日にはガルドさんとお父さんとヴァーリンさん達が城下町に入る。その次の日にミリアさんとラディウスさん達が入って二日後に残りのギルドの人達が入ってくれる。そして次の日に決行」


「明後日までは暇か……」


俺がベッドに大の字で横になるとユナが話しかけてきた。


「城下町を見てまわりましょう。町の地図を把握しとかないと、いざって時に逃げ遅れるわ」


「そうだな」


俺とユナは城下町に出た。


城下町は生誕祭まで一週間前なのにかなりの人で溢れていた。


こんな大きな町に長く滞在した事がないから、これが普通なのかと考える俺。


ユナは離れないように俺の腕に体を密着させてきた。


「お、おい。くっつきすぎじゃないか」


「仕方ないじゃない。迷子になったカナトを探すの面倒なんだから」


「俺が迷子になる前提かよ」


「”今”はそれ以外の他意はないわ。エフィナがあそこで苦しんでるのに、楽しく観光なんてしてる場合じゃない」


ユナは遠くに見える聖櫃の塔を眺める。


「そうだな」


その後の俺達は表通りから路地裏まで隅々を歩き回り地形をだいたい把握した。


そして、生誕祭当日の早朝、全員がそれぞれの持ち場についた。


それぞれ離れても連絡が取れるよう、連絡石を一人一つ持った。


「全員聞こえるか?」


ラディウスさんが確認テストを行う。


「はい聞こえます」


俺は応答した。


「それでは作戦を開始する」


ラディウスさんの号令と共に俺達は動き出す。


俺達はまず兵士を誘き出し、鎧を奪い取り兵士の格好をした。


「あっちで不審物があるとの連絡があった。かなりの数があるので応援を頼む」


兵士達は一斉にミリアさんが待ち構えてる場所に集まる。


「スリープ」


ミリアさんの睡眠魔法で眠らす事に成功。


バレないように縛り、見つけにくい場所に隠した。


「数を減らしました。ガルドさんよろしくお願いします」


ーガルドsideー


カナトからの連絡を受けガルドとヴァーリン達は城門前の兵士の前に堂々と出る。


「止まれ!!貴様ら何者だ!?」


ガルドはゆっくり剣を抜く。


「っ!!敵し……」


ガルドは叫ばれる前にヴァーリンと共に門兵を制圧する。


「急げ!!時期に異変に気づかれる。その前に聖櫃の塔に突入する」


ガルドを筆頭に物音を立てず隠れつつ城から聖櫃の塔に続く道を通っていく。


多少の妨害はあったものの、仲間を呼ばれず聖櫃の塔の前に辿り着くガルド。


だが、ガルドは妙な胸騒ぎがした。


「おかしいぞ……。順調すぎる。兵達も思ったより少ない」


「ああ、生誕祭だから、あちこちに兵士が散らばってて多少の手薄なのは分かるが、にしても少なすぎる」


ヴァーリンも周囲を警戒する。


「それはこういう事だ!!」


ガルド達は多数の兵士達に取り囲まれた。


兵士達の中心には長兄アドリアン・ヴェリシアが立っていた。


ー回想ー

数日前


白聖議場


王直属の聖騎士団長や教会枢機卿たちと勇者の血を継ぐ三兄弟が再び集まっていた。


「逆賊どもはおそらく生誕祭前日の深夜から当日の早朝の間に事を起こすと思われる」


アドリアン・ヴェリシアが話す。


「だろうな。城下町に日時をずらして少しずつ潜入しているという情報も得ている」


レオンハルト・ヴェリシアが答える。


「どういたしましょう。すぐに賊を捕えましょうか?」


聖騎士団長が尋ねる。


「いや、陛下の生誕祭も近い。今事を荒げては生誕祭に支障をきたす」


アドリアンが答える。


「では……」


「奴らを誘き出し、一気に一網打尽にする。多少の警戒はするだろうが、奴らは魔族の娘を取り戻すために必ず飛び込んでくる!!」


「まあまずは、見張りの兵士を減らすために、どこかで問題が起きたとかなんとか言って兵士をそちらに集中させるだろうな」


ディオバルドが不敵な笑みを浮かべる。


「そして減った所に救出組が城に潜入するだろう。兵士を適当に当てがわせて聖櫃の塔に招待してやれ」


「入口に着いたところを叩く!!」


アドリアンが机を叩く。


「囮どもも連絡を潜入班に伝え次第、俺が包囲しよう!!」


レオンハルトが名乗り出る。


「魔族の娘は貴様に任せるぞ。ディオバルド」


「承知した」


ー現在ー


ガルド、カナトの所に聖騎士団と勇者の血族が立ちはだかる。


ガルド達は騎士団相手に奮闘するが、じわじわ追い詰められていく。


「チッ!!このままじゃジリ貧だぞ、ガルド!!」


「分かっている!!だが……」


ガルドはアドリアンから意識を外せず、聖騎士団との戦いに集中できず、剣が鈍る。


アドリアンは余裕の表情を見せガルド達を見ている。


「ガルド・スミスにヴァーリン・テラーくらいか。あとは有象無象だな」


アドリアンが剣を抜く。


体全体に寒気が走る、ガルドとヴァーリンは聖騎士団を押しのけアドリアンに向かう。


「「やらせるかああああ」」


「遅い!!」


剣が光り輝き斬撃が飛び出す。


二人は同時に剣で防ぐが、斬撃に押され吹き飛ばされる。


ーカナトsideー


周囲をレオンハルト・ヴェリシア率いる聖騎士団に包囲された。


「賊ども、ここまでだ。世界に仇なす魔族に肩入れをし、我が国を混乱に陥れようとした罪、死を持って償ってもらうぞ」


「聖騎士団は出てくるとは思ったが、まさかヴェリシア王家の次男まで来るとは……」


「ラディウスさん、どうする!?」


「やれる事をやるしかない!!」


それぞれの戦いが始まる。

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