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封魔のリミットブレイカー〜天才魔導士、剣で世界を救う〜  作者: 暁えいと∞
第10章『帰還と再会』
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第49話「再び王都へ」

旅を終えたリュシアたちは、王都アルカディアの城門にたどり着いた。


久しぶりに見る王都の姿。

高くそびえる白亜の城壁と、賑わう大通り。

太陽に照らされた街は、かつてよりもどこか温かく、親しげに映った。


城門前には、整列する王国警備隊の姿。

その中の一人が、リュシアたちに向かって敬礼した。


「七賢者リュシア様、ご無事の帰還を、心より歓迎いたします!」


リュシアは思わず立ち止まり、驚いた顔をした。


以前、彼女が王都を離れたときは、誰もが冷ややかだった。

天才と呼ばれた過去を持ちながら、魔力を封じられた「落ちこぼれ」。

それが、今は。


ガルドが苦笑する。


「評判が変わったようだな」


リュシアは小さく息を吐き、微笑んだ。


「重要なのは、周りの評価じゃない。……私が何をするか、だよ」


その言葉に、ガルドも満足そうに頷いた。


***


王都の大通りを進む。

道行く市民たちが、彼女たちを一目見ようと集まってきた。


「見た?あれが、封印を修復した七賢者様だって!」

「魔法が使えないって聞いてたけど……やっぱり本物なんだ」

「すごい、あんなに若いのに……」


ひそひそとささやく声。

だけどそこには、かつての嘲笑はなかった。

憧れと、尊敬、そして親しみが入り交じっていた。


「リュシア様、ありがとうございます!」

子供たちが、花束を差し出してきた。


リュシアは戸惑いながら、それを受け取った。

目の前の子供たちは、無邪気な瞳で彼女を見上げていた。


エルナがささやく。


「みんな、あなたを認め始めてるわ」


リュシアは微笑んだ。


「ありがたいけど……まだ満足しちゃいけない」


胸の奥に、新たな決意が芽生えていた。


***


魔導塔、七賢者の間。

厳かな石造りの会議室で、リュシアたちは封印調査の報告を行った。


オーディンを始めとする六人の賢者たちが、静かに耳を傾ける。


リュシアは、炎の祠での封印修復。

子供化の真実(自己防衛機能)についての発見。

そして、アルカードの存在――

全てを、ありのままに語った。


重苦しい沈黙のあと、オーディンが立ち上がった。


「リュシア・フェルディナンド。君は……素晴らしい成果をあげた」


その言葉に、周囲の賢者たちも頷いた。


「魔力に頼らず、使命を果たす。まさに真の七賢者だ」

「子供化現象の真実も、重要な発見だ。魔導理論に大きな影響を与えるだろう」


リュシアは深く頭を下げた。


「ありがとうございます。ですが、これは私一人の力ではありません。

ガルド、エルナ、ザック、そして……」


ちらりとレインに目をやる。


「仲間たちの支えがあってこそ、です」


オーディンは満足げに頷いた。


「その謙虚さを、忘れないでほしい」


***


次なる使命――

「水の祠」への調査が議論された。


議会からの支援として、船の手配、物資の補給、航海許可証が用意されることになった。


ザックは興奮気味に言う。


「水の祠は、アルカディア西方の大海に浮かぶ孤島にあります。

行くには、かなりの準備が必要です」


リュシアはきっぱりと言った。


「私たち四人で行きます」


オーディンは一瞬驚いたが、すぐに頷いた。


「信頼している。ただし、決して無理はするな」


リュシアも静かに応えた。


「はい。必ず、使命を果たして戻ります」


***


そして――レインの処遇について。


議会内には、彼女を「牢獄に入れるべきだ」という声もあった。


だがリュシアは、毅然と言った。


「彼女には、考える時間が必要です」


オーディンは熟考した末、決断を下した。


「分かった。彼女は魔導書院の隔離施設で、特別監視下に置く」


レインは小さくうなずいた。


「……ありがとう」


リュシアは微笑んだ。


「信じてるわ。あなたなら、きっと正しい道を選べる」


レインは、ほんのわずかに、ほほえみ返した。


***


会議が終わった後、オーディンはリュシアを呼び止めた。


「リュシア。君は――大きく成長したな」


白銀の師匠の目は、穏やかで、誇らしげだった。


「魔法の天才、という枠を超えて。

君は今、真の七賢者だ」


リュシアは静かに頭を下げた。


「すべて、師匠と、仲間たちのおかげです」


オーディンは微笑み、しかし次の瞬間、真剣な表情になった。


「だが、気をつけろ。アルカードという敵は、我々の予想を遥かに超える存在だ」


リュシアは、真っ直ぐに師の目を見た。


「はい。必ず、準備を万全にして挑みます」


そして心の中で誓った。

――水の祠へ。

そして、その先に待つ未来へ。

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