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封魔のリミットブレイカー〜天才魔導士、剣で世界を救う〜  作者: 暁えいと∞
第8章『封印神殿』
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第40話「封印の間」

封印石の前に立ったリュシアたち。


炎の守護者は無言でうなずくと、静かに言った。


「ついて来い。最深部へ案内しよう。」


厳かな雰囲気の中、4人はその後に続く。


長く続く石階段。熱気が肌を刺す。


「……この魔力の密度、普通の人間なら気絶してるよ……」


ザックがつぶやく。


「身構えろ。何が起きても不思議じゃない」


ガルドが警戒を強める。


リュシアは、拳を強く握った。


(これが──私たちが向き合うべき、現実。)


***


やがてたどり着いたのは、巨大な赤黒い封印石が浮かぶ円形の間。


魔力の炎が揺らめく中、石には無数のひびが走っていた。


「……このままだと、本当に封印が崩壊する」


リュシアは直感した。


守護者が口を開く。


「封印を修復するには、強大な魔力を再び石に流し込み、魔法陣を再起動させねばならない。


本来は七賢者すべての魔力が必要だが──その余裕は、もうない」


「どうすれば……?」


リュシアが一歩前に出る。


そして、ためらいながらも言葉を続けた。


「……私の体には、リミット解除の兆候があります。


意図して使えるわけじゃない。けれど……。」


彼女の瞳に宿る決意が、全員を圧倒する。


「私が封印と向き合い、限界を越えれば──


あの力は、再び目を覚ますかもしれない」


「待て、リュシア!」


ガルドがすぐに反対する。


「お前の体にかかる負担は、尋常じゃないんだぞ!」


エルナも、今にも泣きそうな顔で言う。


「リュシア、無理しないで……!


リミット解除が起きたら、また子供の姿になるんだよ……?」


ザックも真剣な表情で告げた。


「再現性のない現象に頼るのは、本来は禁忌だ。


でも──今、他に方法がないのも事実だ」


リュシアは、全員を見回し、そして静かに答えた。


「私自身も、制御できるとは思ってない。


だけど……ここで逃げたら、きっと後悔する」


「七賢者として。


そして──あなたたちと、ここまで来た仲間として」


ガルドはゆっくりと息を吐き、頷いた。


「……なら、俺たちで支えるだけだ」


「リュシア、あなたは一人じゃない」


エルナがそっと手を握る。


「記録は任せて。絶対にこの瞬間を残す」


ザックがにやりと笑う。


リュシアは微笑んだ。


「ありがとう。みんな……頼りにしてる」


守護者は腕を組み、最後に言った。


「覚悟はできたな。──では、始める」


***


封印石の周囲に魔法陣が描かれ、精霊たちが空気を清める。


ザックが補助術式を書き込み、ガルドは剣を抜いて警護に立つ。


リュシアは、封印石の前に、ひとり静かに立った。


「……お願い。


私の中の力、必要なときに──応えて」


目を閉じ、静かに宣言した。


「私はリュシア・フェルディナンド。


七賢者にして、ソードメイジ」


炎の守護者が、厳かに告げた。


「──儀式、開始」

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