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封魔のリミットブレイカー〜天才魔導士、剣で世界を救う〜  作者: 暁えいと∞
第8章『封印神殿』
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第37話「神殿内部の謎」

炎の守護者に導かれ、リュシアたちは神殿の中へと足を踏み入れた。


中は外観以上に荘厳だった。


高くそびえる天井。燃え盛る炎の柱が静かに揺れている。


壁には、古代の英雄たちを讃える彫刻が連なり、まるで神話の中に迷い込んだようだった。


中央には広大な円形の広間。


四方へ続く回廊が、迷路のように伸びている。


「ここが──試練の間だ。」


守護者が厳かに告げた。


「三つの試練をすべて乗り越えた者のみが、封印の間へ進むことを許される。」


リュシアたちは頷き合い、心を引き締めた。


***


最初に待ち受けていたのは──壁一面にびっしりと刻まれた、古代文字の迷宮だった。


「これを解読し、隠された真実を見出せ。」


守護者の声が、静かに響く。


リュシアは前に進み、文字の列をじっと見つめた。


一見すると無秩序な記号の羅列。


だが、その背後に何か強い意志が潜んでいる気配を感じる。


「ザック、頼めるか?」


「もちろん。」


ザックは鞄から分厚い古文書を取り出し、目を走らせ始めた。


リュシアも自らの知識を総動員して、文字を一つ一つ読み解き始める。


***


だが──すぐに、二人は行き詰まった。


文字の意味は断片的にしか繋がらず、全体像が見えてこない。


「くそっ、単語は読めるのに……何かが違う……!」


ザックが焦りを滲ませる。


その時、エルナが静かに言った。


「精霊たちが……この壁の向こうに何かを感じるって。」


「精霊?」


リュシアが顔を上げた。


エルナは瞳を閉じ、壁に手を当てる。


すると、刻まれた文字が、うっすらと光を帯びた。


「見える……この配置、普通の文章じゃない。地図みたい。」


「地図……?」


ガルドが思わず声を上げた。


リュシアは、はっと閃いた。


「違う! これは物語じゃない──道筋を示しているんだ!」


四人は、互いの得意分野を持ち寄りながら、再び解読を始めた。


ザックの知識、リュシアの魔法理論、エルナの精霊感知、ガルドの直感。


それらが、まるで噛み合う歯車のように、真実へと導いていく。


***


そして──解読は成功した。


壁に刻まれていたのは、


千年前に実在した「七人の英雄」が、魔王の力を七つに分けて封印したという真実だった。


リュシアは驚きに目を見開く。


「完全に倒したわけじゃなかったんだ……!」


「七つの封印が連動している。だから、一つが弱まれば──」


ザックが震える声で続けた。


「すべてが危うくなる。」


守護者は頷いた。


「よくぞ見抜いた。──これが、知恵の試練だ。」


リュシアはぎゅっと拳を握る。


封印は──脆い均衡の上に成り立っていた。


私たちが、動かなければ。


この世界は、再び闇に呑まれる。


***


さらに、壁の一部がひとりでに開き、奥から古びた壁画が姿を現した。


描かれていたのは、七人の英雄。


そして、その系譜が時代を超え、現代の七賢者へと繋がる様が、鮮明に刻まれていた。


リュシアは、思わず呟いた。


「私たちは……七人の英雄の後継者……だったんだ。」


ザックは目を輝かせた。


「これは、歴史的な発見だ!」


エルナも微笑み、ガルドは静かに頷いた。


使命は、血と魂に刻まれている。


それを──今、受け継ぐ時が来たのだ。


***


守護者は、微かに口元を綻ばせた。


「知恵の試練、合格。」


「次は、肉体の試練だ。──ついて来い。」


リュシアたちは、再び歩き出した。


強く、しなやかに。


それぞれの想いを胸に抱いて。

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