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封魔のリミットブレイカー〜天才魔導士、剣で世界を救う〜  作者: 暁えいと∞
第6章『真実への旅立ち』
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第28話「旅の準備」

王都アルカディアの市場は、いつにも増して活気にあふれていた。


新たな任務を帯びたリュシアたちは、旅支度に奔走していた。


「よし、まずは食料と水、それから薬草だな。」


ガルドが力強くリストを読み上げる。


リュシアは真剣な顔でメモを取りながら応じた。


「加えて、耐熱装備が必要よ。炎の祠は火山地帯にあるって伝承にあったから。」


「子供サイズの装備もだな!」とザックが茶化すように笑う。


リュシアは無言で睨みつけたが、実際その通りだった。


王都の職人街を巡り、リュシアは自分のために特注の子供用鎧と衣服を注文した。


商人たちは最初こそ驚いていたが、リュシアの毅然とした態度に納得し、迅速に仕立てに取り掛かった。


「……準備しておけば、何度子供になっても大丈夫だからね。」


リュシアは自嘲気味に呟く。


***


旅装備を整える合間、リュシアたちは情報収集にも力を入れた。


王都の古老、旅人、行商人──ありとあらゆる人々から「炎の祠」に関する話を集める。


「祠は火山の中腹にある。常に灼熱の熱気に包まれている。


近づくものは命知らずだけだ。」


そう語る老商人。


「祠には試練を与える守護者がいる」という噂も絶えなかった。


一方、ザックは図書館で文献を調べ、重要な記述を見つけてきた。


「炎の祠における試練は、肉体、精神、そして知恵。この三つを試すものらしい。」


リュシアは地図を広げながら、ルートと対策を考えた。


「相手はただの炎じゃない。


魔法的な火──耐熱魔法具と、緊急用の治癒薬も持っていこう。」


実務的に、着実に──リュシアは自分たちを整えていった。


(もう、無計画な突撃はしない。


私たちは、チームなんだから。)



宿に戻った四人は、夕食を囲みながら最終作戦会議を開いた。


「改めて、役割分担を確認しよう。」


リュシアが切り出す。


ガルドは真っ直ぐ頷いた。


「俺は前衛担当。戦闘の最前線を張る。」


「私は回復と支援魔法。」エルナが静かに答える。


「僕は記録と分析、古代語の解読も任せて。」ザックは胸を張る。


リュシアはみんなを見渡して、静かに言った。


「私は──リーダーを務める。


戦術の立案と、必要ならリミット解除を……使う。」


少しの沈黙の後、ガルドが言った。


「問題ない。」


エルナも、優しく微笑んだ。


ザックも眼鏡を押し上げながら、嬉しそうに頷く。


──それぞれの役割を認め合い、支え合う。


そんな「チーム」としての絆が、確かにここに芽生え始めていた。


***


市場での買い物を終えた後、ある商人に声をかけられた。


「お嬢ちゃんたち、旅の者かい?名を聞いてもいいかい?」


リュシアは一瞬戸惑ったが、ふと微笑んで言った。


「私は、ソードメイジ。──剣と魔法、両方を操る者だ。」


その響きに、ガルドも、エルナも、ザックも、顔をほころばせた。


「いい名だな。」


「とてもリュシアらしい。」


「公式に名乗れる肩書きになるよ!」


リュシアは胸の奥が温かくなるのを感じた。


(私は、ただの元七賢者じゃない。


今ここに──新たな自分として、立っている。)


***


出発前夜、四人は宿の中庭に集まり、最後の打ち合わせをしていた。


夜空には無数の星が瞬いている。


エルナが、そっと囁いた。


「……私は、初めて本当の『仲間』を得た気がする。」


ガルドも静かに言う。


「俺には、護りたいものができた。」


ザックはメモ帳を閉じ、微笑んだ。


「僕にとって、これは研究じゃない。


──大切な冒険だ。」


リュシアは胸に手を置き、噛みしめるように言った。


「一人じゃここまで来られなかった。


──みんなとだから、進める。」


そして、力強く宣言する。


「どんな試練でも──乗り越えてみせる。」


──静かに、しかし確かな決意が、四人を結びつけていた。

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