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封魔のリミットブレイカー〜天才魔導士、剣で世界を救う〜  作者: 暁えいと∞
第4章『小さな体の大きな冒険』
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第20話「赤目のダゴとの決戦」


 彼は、別の通路から回り込み、ダゴの背後に迫っていた。


 そして――一撃。

 重い盾をダゴの背中に叩きつけた。


「ぐっ!」


 ダゴの動きが鈍る。


「今よ!」


 リュシアが駆け出し、足元に斬りかかる。

 エルナも精霊の風を呼び、ダゴの目を一瞬眩ませた。


 ダゴは巨体を揺らし、必死に応戦した。


 だが、三人の連携は完璧だった。


 ガルドが防御を引き受け、エルナが支援し、リュシアが隙を突く。


 一度、二度、三度。

 小さな剣でも、確実にダメージを積み重ねる。


「このガキがぁああ!」


 ダゴが最後の力を振り絞って、リュシアに渾身の一撃を放った。


 だが――リュシアはそれを読んでいた。


 素早く飛び退き、瓦礫の影に身を隠す。


 そして、倒壊しかけた天井の柱へと目を向けた。


(あれを……落とす!)


 リュシアは剣を振り上げ、柱の基部を斬りつけた。


 ガキン!と音が響き、ギシギシと軋み始める天井。


「な、なに……!?」


 ダゴが驚いた顔を向けた瞬間、

 轟音とともに瓦礫が落下した。


 巨体のダゴは、避けきれなかった。


「ぐあああああっ!」


 廃墟の瓦礫に埋もれ、ダゴは動かなくなった。


 静寂が訪れた。


 埃の中で、リュシアは肩で息をしながら剣を下ろす。


 ガルドとエルナも、慎重に周囲を確認した。


「……終わったな」


 ガルドが呟いた。


「うん」


 リュシアは、小さな手で剣を握り直しながら答えた。


 宝箱に近づき、中を確かめる。


 そこには――王家の印璽が、確かに収められていた。


 精緻な金細工、王家の紋章。


「これで……情報が手に入る」


 リュシアは小さく呟き、印璽をそっと懐に収めた。


 三人は無事、廃墟を脱出した。


 夜明け前、まだ薄暗い森を抜けながら。


「お前、よくやったな」


 ガルドがぼそりと言った。


 リュシアは一瞬、きょとんとした顔をしたが――すぐに笑った。


「ふふ……当然よ」


 エルナも微笑んだ。


「リュシアは、小さいけど強い」


「……小さい、は余計よ」


 頬を膨らませながらも、リュシアは心から嬉しかった。


 今の自分は、たしかに弱い。

 でも、もう一人じゃない。


 仲間と一緒に、前に進める。


(私は――まだ、戦える)


 リュシアは、胸の中でそっとそう誓った。

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