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マカロンと美辞と
「サヨコ、毎日お疲れさま」
「えっ、なになに?」
「こないだのプリンのお返し」
「わぁ、マカロンじゃない。しかも六個も、いいの?」
「もちろん。俺は一つでいいからさ」
「じゃあ五個食べちゃお」
「サヨコはマカロン好きだもんね」
「ふふっ。カズト、ありがとう」
「うん」
サヨコはマカロンに手を伸ばし、両手で大事そうに持って口に運ぶ。それを追う形で食べる。サクサクした触感としっとりした触感はこの空間を幸せにする。
「サヨコは俺にとって特別な人だ」
俺はサヨコの目を見て言う。男性は嘘をつく時に相手の目を見れないと言うが、俺は違う。
「嬉しい」
サヨコは騙された。俺のマカロンと美辞に。