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希望がかなう

 園芸部が育てるペンタスの花が見頃を迎えた六月。五年振りに開かれた中学の同窓会に集まった四十人近くの同級生たち。その中に一際輝く女性がいた。彼女は俺のことを見るなり、小さく手を振りながら駆け寄ってきて、「秋義《あきよし》君、久しぶり」と可愛い声で言う。


「久しぶり、牡丹《ぼたん》。相変わらず元気そうだな」

「そんなことないよ。秋義君も元気そうでよかった」

「あぁ、まあな」


照れる牡丹は俺が好きだったあの頃のままだった。


「ねぇ、秋義君って今彼女いる?」

「何で?」

「いないんだったら、私の彼氏になって欲しいからさ」

「え?」

「え?」

「いや、いきなりだったから」

「ダメなの?」

「ダメじゃないよ?」

「じゃあ成立。ってことで、連絡先教えてくれる?」

「・・・、分かった」


牡丹は俺に弾けた笑顔を見せながら、小さな鞄からスマホを取り出す。その時に袖口から見えた横三本の不揃いな傷痕。消えるわけないよな。俺の手首からも消えてないんだから。

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