1/30
美しい金魚
私は貴方の金魚になりたいな。風水で金魚は金運アップの象徴と聞いたから。
「サヨコ、カナコって名前の金魚が死んだ」
「まだ五匹いるでしょ? 金魚がカズトの身代わりになったんだよ」
「俺はもうサヨコの言うこと信じから。それに、お前は金魚屋なんだよ」
「私はキャバレーで接待してる女よ」
「だから何だ」
「カズト、他の女の子達に好かれて嬉しい?」
「今関係無いだろ」
「ズルい。何で私だけを見てくれないの?」
「は?」
「他の女の子、殺して殺ってあげようか?」
「何言ってんだよ。やめろ!」
「じゃあ、新しい金魚一匹飼って。それで六匹全部の名前をサヨコにして」
「別にいいだろ。俺の好きな女の子の名前付けたって」
「だめ。私は貴方の金魚になりたいの」