表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エッセイ

おじいちゃんおばあちゃんが還暦に「おめでとうー!」と言われて赤いチャンチャンコを着るのは、木星が太陽を12年かけて一周するから!!

作者: 江古左だり

ひだまりのねこ様『集まれエッセイ企画』参加作品です。ひだまりのねこ様企画ありがとうございます。

 チ◯ちゃん「ボーっと生きてんじゃねーよ!」




 ……N〇Kの某クイズ番組に出てきそうな話題だったので冒頭かましてみました。『チ〇ちゃんに叱られる!』ネタがエッセイ内にしばしば出てきますが、温かい目でスルーしてください。よろしくお願いします。



 江古左だりです。まさかの『江古左』が苗字『だり』が名前です。そこで区切るか!? 別に『左だりさん』って言われても怒りません。どうでもよかばい。



 今回は『我々の生活にやべぇくらいに惑星が関係している』という話をしたいと思います。ねぇ、ねぇ、岡村ぁ。どんな関係だと思うぅ?


 ◇


『還暦』ってありますね。人生を60年で一回りするアレです。還暦ってなんで60年だと思いますか?


「還暦が60年なのは木星が太陽の周りを約12年で一周するから!」


 さすがチ〇ちゃん。まだ5歳なのによく知っているね!


 還暦のなんたるかも知らないで、やれ「『赤いチャンチャンコ』は嫌よ」とか「ケーキに60本もロウソク立てないで」とかゴネる国民のなんと多いことか。でもチ◯ちゃんは知っています。


 古代中国において木星は『歳星さいせい』と呼ばれ特別な星とみなされていました。空を1年づつ西から東に移動して12年で元の位置に戻るからです。


 木星は太陽からむっちゃ遠いんで、太陽を中心とした楕円を1年で約30度しか移動しない。360度回るのにおおよそ12年かかる。すると地球の空を12年かけて移動しているように見えるのです。その1年1年に名前をつけたのが『十二支じゅうにし』です。


 子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥


 毎年、年賀状で見かけるよね?

 ねー、うし、とら、うー、たつ、みー、うま、ひつじ、さる、とり、いぬ、い、だ。

 十二支は木星の公転周期だったわけです。


「私丑年なの!」は「木星の公転周期12分割の2番目なの!」ってことになるわけです。マ?




 さらに十二支に数の名称『十干じっかん』をプラスしました。


 こうおつへいていこうしんじん


 意味は『1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目』です。なぜ10でひとまとまりなのかはわかりません(10進法だから?)。(植物が地面から生えて実を結び種になるまでの様子を1日ごとに表しているそうです)





 1年目を『甲子こうし』。2年目を『乙丑いっちゅう』……60年目(最後の年)を『癸亥みずのとい』と言います。


 甲  乙  丙  丁  戊  己  庚  …

 子  丑  寅  卯  辰  巳  午  …


(十干と十二支を並べて縦読み)

(これを特に『六十干支(ろくじっかんし)』と呼ぶ)


 つまり『還暦』とは『木星が12年かけて太陽を一周する』ことと『1から10番目』を組み合わせた最後の年、60年目を表していたのです! やあ驚いたね。納得感半端ねぇ。





 でも十二支と木星の関係ってみんな知らないじゃないですか。X(Twitter)のトレンドに『十二支と木星』って載ったことある? ないよね? 


 なぜなら木星の正確な公転周期は11.86年だからです。12年よりちょっと早く太陽を一周するわけですね。


すると1年に1回呼び名を変える『十二支』とズレてしまいます。困る。最初は木星の位置を表していたものがしだいに切り離され、単に12のまとまりを表す名称になりました。


 やがて十二支は『方角』や『時刻』に応用されます。


 ◇


 『じゃ、1年はなんで12カ月に分かれるのかな?』ってなりますね。12に分かれるってことは木星が関係しているのでしょうか? 違います。


【1年】

 1月、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月


 はい! 全部に含まれる漢字を言ってください。


 そう!『月』です。岡村! つまんねーヤツだな〜。


 月は満ち欠けします。新月→上弦の月→満月→下弦の月→つごもりを1サイクルとして『1ヶ月』の長さを決めたわけです。12サイクルでだいたい1年になる。


 超便利。なにせ夜空を見上げれば「あっ今日満月だから15日!」ってわかる。潮の満ち引きもわかるし漁師大絶賛。





 ところが農民には優しくなかった。


 なぜなら月の満ち欠けは(新月から次の新月前日まで)約29.53日なのです。

 29.53×12カ月=約354日。


 地球の公転周期は365日だから1年が11日も短くなっちゃう。3年で1ヶ月。18年も経つと半年ずれちゃうの。8月なのに雪降ってるの。おかしくね?




 いつ稲の苗を植えりゃいいのよお役人さま!!




 ってなっちゃう。


 どうもお天道さまとお月さまのバイブス合ってないね。これじゃポイパできなくね? シクヨローってなって調整をかけました。ブンブンハローYouTube。





 ……冗談もほどほどにして欲しいですけれども。




 調整のために19年に7回『閏年うるうどし』を設けました。閏年は12ヶ月に閏月うるうづきを足して13ヶ月に変えたもの。


 閏年を入れることでかなり正確に1年を計れるようになりました。『太陰太陽暦』といいます。今から140年前まで日本ではこの暦を使ってました。


 ◇


 では『曜日』は何の星を元に決めていたのでしょうか?

 実は江戸時代『1週間は7日』って感覚なかったんだそうです。人々が意識していたのは『1カ月』つまり新月から次の新月前日まででした。そのため月の呼び方は毎日変わりました。


【月の名前】

 1日……さく→新月のこと

 2日……二日月

 3日……三日月

 4日……四日月

 5日……五日月

 6日……六日月

 7日……七日月

 8日……八日月

 9日……九日月

 10日……十日月

 11日……十一夜

 12日……十二夜

 13日……十三夜

 14日……小望月こもちづき待宵月まちよいづき

 15日……十五夜、ぼう望月もちづき

 16日……十六夜いざよい

 17日……立待月たちまちづき

 18日……居待月いまちづき

 19日……寝待月ねまちづき

 20日……更待月ふけまちづき

 21日……二十一夜

 22日……二十二夜

 23日……二十三夜

 24日……二十四夜

 25日……二十五夜

 26日……二十六夜

 27日……二十七夜

 28日……二十八夜

 29日……二十九夜

 30日……晦日つごもり→新月前日


 こんなに細かく決まっていたなんて!

 いかに日本人にとって月が生活に欠かせなかったかわかります。





 古代ローマには『曜日』の概念がありました。すでに惑星の公転周期がわかっていたそうです。


 土星…29年

 木星…12年

 火星…687日

 太陽…365日

 金星…225日

 水星…88日

  月…28日


(すべて『おおよそ』)

(月は地球の周りを回っている日にち。それ以外は太陽の周りです)


 公転周期が長いほど『偉い星』とみなされ、土木火金水月の順番に並べられました。


 そっから果てしなくめんどくさいやり方で日月火水木金土になったんだそうで。説明するの大変だからリンク見て。貼っとくんで。


 日本に『1週間』という概念が定着するのは西暦を採用してからになります。


 ◇


 じゃあ『1日(いちにち)』はなんの星が関係しているのでしょうか?


 簡単ですね。『太陽』です。太陽=日ですからね。日の出から次の日の出直前までを『1日』とすれば良かったのです。見りゃわかる。


 でも太陽は夏と冬で日の出も日の入りも時刻が変わりますよね?


 日本では1時間の長さををどうやって決めていたのでしょうか。


 びっくり『季節によって一刻の長さが変わっていた』んだそうです。『不定時法』といいます。120分=一刻じゃなかったんです。


 太陽が出ているときを『明』。出ていないときを『暮』と呼び、太陽が出ている間を6回、沈んでいるときを6回に分けました。つまり1日は12刻でした。時刻は『鐘』をついて知らせていたんですって。


 あるお店では『明け六つ時』にお店を開き『暮四つ時』に閉めると決めていたそうです。季節によって労働時間が変わっていたことになります。夏はいっぱい働いていたわけですね。


 ◇


 まとめます。


【年月に関係するのはどの星か】

 六十干支(60年)……木星

 1年……太陽と月

 1ヶ月……月

 1週間……太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星

 1日……太陽


 めっちゃ惑星のみなさんにお世話になってるぅ〜。


 てなわけで『おじいちゃんおばあちゃんが60歳の時赤いチャンチャンコを着るのは木星が太陽を12年で一周するから!』なのでした。


 チ〇ちゃんが好きな六十干支ろくじっかんしはいつかな?


 「無難に(西暦672年)のりきる壬申じんしんの乱!」



 ご清聴さんきゅー。


(終)







(注1)現代では、その年の動物を『干支えと』と呼び、『2023年の干支はウサギです!』などと言われますが、本来の『干支』は60種類です。2023年は『癸卯みずのとう』です。


 本稿では混乱を避けるため、『干支』という言葉は使わず『十二支(12種類)』『六十干支(60種類)』と書き分けました。


(注2)閏月の入れ方は場所によって違ったらしく、混乱を招いたそうです。


(注3)今の60歳は『おじいちゃん、おばあちゃん』て感じしないですよね。まだまだお若い。『赤いチャンチャンコ(和風ベスト)』も着ないかもしれない。昔はお祝いするほど60歳になることがめでたかったんですね。70歳は『古希こき』と言われ『稀である→大変珍しく長生き』という意味でした。


(注4)西洋占星術も1年を12ヶ月に分割し、かつ木星が関わってきますが、説明がめんどくさすぎるので割愛しました。メソポタミア文明から始めないといけません。


(注5)『公転周期』『公転周期』言いましたが、古代人は『地動説』ではなく『天動説』だったはずなので、『木星が太陽の周りを回っているのが12年』という意識は無く『地球から見える木星が12年かけて点々と位置を変えているな』という認識だったと推測できます。


 それでも正確に星々の動きを理解していたわけで、恐るべし、古代人。


(注6)日本は古来よりやたら『月』を和歌に詠んできました。現代人より遥かに月を眺めてきたのかもしれませんね。カレンダー代わりだったのですから。


(注7)『岡村』って名前出しちゃったけど、まずそうなら伏せ字にさせていただきます。『◯村』じゃ通じないと思って。


『チ◯ちゃんに叱られる!』…………N◯Kの人気クイズ番組。5歳の物知りな女の子に問題を出され、間違うと「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られ、合っていると「つまんねーヤツだな〜」と叱られる。結局叱られる。

【参考文献】


木星。人類との関係(Wikipedia)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%98%9F



太陽暦と太陰暦。太陽暦(ユリウス暦・グレゴリオ暦)と太陰暦(太陰太陽暦)の違いを説明します(YouTube)


URL不明



十干じっかんとは』

https://www.sgcalendar.co.jp/calendar/calendar05/


『干支の漢字の由来』

https://jouhouiroiro.com/zodiac-chinese-characters/


『江戸時代のカレンダー「大小暦」が面白い』

https://intojapanwaraku.com/rock/art-rock/2329/


『曜日はなぜ日月火水木金土の並びなのか』

https://yaruzou.net/why-are-there-seven-days-in-a-week


『月の名前の呼び方』

https://allabout.co.jp/gm/gc/458719/#goog_rewarded


『江戸時代の時刻の数え方』

https://www.jcwa.or.jp/kids/hatena-4-3.html


『江戸時代は鐘で時刻を管理していた』

https://museum.seiko.co.jp/knowledge/relation_07/


『どうして1日は24時間なの』

https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0510/


『干支を計算してくれるサイト(CASIO)』

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228718

↑自分の生まれた年の干支が気になるみなさんこちらで計算できます。来年(2024年)は『甲辰きのえたつ』ですよ!



お読みいただきありがとうございました!

『面白い』『興味深い』と思っていただけたら、是非評価ボタン(☆☆☆☆☆→★★★★★)お願いします!合わせてブクマ、いいねもお待ちしています。

(о´∀`о)マッテルデー。


☆☆日間2位☆☆週間11位☆☆月間29位☆☆四半期59位☆☆感謝☆

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
集まれエッセイ企画概要 ←企画概要 ↓作品検索 集まれエッセイ企画 バナー作成/瑞月風花 さま  『集まれエッセイ企画』 作品参加賞
― 新着の感想 ―
[良い点] ものすごーく勉強になりました! でもほとんど覚えられないです。ごめんなさい。 星ってすごいですねぇ。眺めても綺麗ですし。まさに宇宙の神秘…! 読ませていただきありがとうございました((* …
2024/03/12 13:55 退会済み
管理
[一言] すんごい勉強になりました(;'∀') そこんところを深く考えていなかったので目からウロコですわ(;゜Д゜) でもって確かに天文学に関してはメソポタミア文明から始めないと(;゜Д゜)
[良い点] 暦法には人類の英知が詰まってますね。6000年くらい全人類が改良を重ねてきたそれを、なんとなく享受できてる幸せ。 それにしても木星とは。勉強になります。 [気になる点] 「だり」と言われれ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ