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自衛隊

 マックスがけたたましい騒音をまき散らしながら、風林会館にバイクを乗り付けたのは、きっかり十五分後。

「マックス、ちょっと派手じゃないか」とマサが咎めダテをすると、

「ハハ、ブラック軍団も派手だったから、真似したんだ」

「なるほど、案外、頭回るんだ」

「ハハ、ケンカならね」

「皆さんいいですか」

 三人の美女は頷いた。

 いよいよ本番、花園神社まで、全速で行く。

 マサがバイクにまたがり、しずえが後部に着く。

「しずえさん、しっかりつかまって」

「はい」と震える声でしずえは言った。

 マックスのバイクに、かなこ、涼子がまたがる。もうぎりぎりバイクに乗ることができる。

「マックス、先に行け」

「承知」


 ブルンとアクセル一閃、三人を乗せたバイクは発進した。続けてマサも発進する。二台のバイクは区役所通りをまたいで、すぐに文化センター通りに入り、すぐに右折して、花園神社の裏階段口に向かう。三人が乗ったマックスのバイクは角を曲がるたびにひやひやものだが、何とか無事に疾走する。だが、後方で爆音が鳴り響いた。

「くそ、ブッラク野郎だ。マックス」とマサは大声で「速く行け!」

 だが、その時、靖国通りに黒いバイク集団が姿を現した。

「くそ、挟み撃ちか」とマサ

「もう少しなのに」とマックス。

 バイクを止めて前と後ろを睨む二人。

「マックス、やむをえん、俺は後ろに行く。お前は前の靖国通りだ」

 マックスがにやっと笑った。

「承知」

「お嬢さんがたは私らが黒バイクを止めるんで、その隙に花園神社に駆け込んでください」

「そんな・・・」と涼子

「ぐずぐずしてないで、速く!」


 乾坤一擲、行くしかないとマサが決意した。と、その瞬間。

 花園裏階段をドドドと降りてくる複数の音、そして次の瞬間、ダダダダダダダダダダ!! 打ち鳴らされるマシンガン。

 助かった。自衛隊だ!


 自衛官は三人、黒バイクめがけてマシンガンを打ち鳴らす。

 ブルン、ブルン、ゴオオオオオオ、黒バイク軍団は、取って返す。しばらくのち静寂が戻った。

「おい、マサじゃないか」と声が掛かった。振りかえ見れば、ひとりの自衛官が立っていた。

「佐伯さん」

「生きていたか」と佐伯一等陸佐は笑った。

 ということは、陸上自衛隊の地上部隊とパラシュート部隊が合流したということか。

 マサとマックスは裏階段を上り、花園神社の境内に入った。

「こりゃ、すごいな」とマックス。

 神社の境内は、もはや戦争の指令基地の様だった。


 日の丸テントが複数張られ、パソコンや通信機器が備えられ。

多くの自衛官がきびきびと走り回っていた。

「マックス」と声が掛かった。振りかえると田上一等陸曹が笑って立っていた。

「あぶなかったな」と田上が言うと、

「助かりました、今度こそ、あの世行かと思いましたからね」

「ほう、だが、これが戦場だ。一瞬後は誰にも分からない」

「そうだ」とマックスが何か思いついたように言った。

「何だ?」

「あのバイク使える」と マックスは呟くと、裏階段に飛んで行った。

「おい、危ないぞ」

 制止する佐伯を残して、マックスは石畳の向こうに消えた。そして、しばらく後、大音響を発して、マックスがバイクに乗り、石階段を上がってきた。


 田上の傍に、バイクを乗り付けたマックスは、

「へへ、これで雅たちについていけるぜ」

 マサは苦笑した。本当にケンカに関してはマックスは頭が回る。

 マサは境内を見回し、ん! と思った。中年の男らしき人間が、自衛隊の人間に自動小銃を渡されて、説明を受けている。

「あれは?」と佐伯にマサが聞く。

 佐伯は苦笑いをして言った。

「まあ、法律違反だが、主にゴールデン街の人間が、自分たちの店は自分たちで守るから武器を貸してくれと要求されたんだ。正直、壕があって、大部隊を展開できないからな。やむをえん」

「でも、彼らだけでは守れんでしょう」

「無論、ゴールデン街を突破されたら、まずい」

 

地理的に言うと、確かにゴールデン街が防衛線になると思う。敵の本拠は西武線。勢力は金髪が五十人くらい、外人部隊がいったい何人が入りこんでくるか、自衛隊が出撃するとしても、少しづつ進撃するほかない。街が壊れているから。がれきの道を行かなければならない。一日で進撃できるのは、やはり風林会館くらいまでか。


 そして、最大の難関が人質である。人質のいるプリンスホテルには景子がいる。果たして無事かどうか、分からない。

「佐伯さん」とマサ

「何だ」

「今の兵力は?」

「ん-百人弱というところか」

「大江戸線から、来ているんですね」

「ああ、通れるのは大江戸線だけらしい、だから補給と兵力は、そこから来る。あと空だな」

 なるほど。

「マックス」とマサが声をかけた。

「何?」

「俺がプリンスホテルに行く」

「え?」

「だからプリンスホテルの内部を教えてくれ」

「いいが、危険だぞ」

 マックスが説明すると、

「うーん、これは急いだほうがいいかもしないな」

「何故?」

「景子先生は普通人。俺らとは違う。ホテル内部に潜行するにも限界があるだろう」

「じゃ、おいらも行く」

「いや、俺一人でいい」

「でも、もしもの場合あるだろ」

「今回は、捕虜を逃がすだけだ。それにドリームステージの二人に声を掛ける。昨日の闘いで、夏生さんが十分に闘えると見た」

 マサは、にやり笑った。

 マックスが

「あんたもギャンブラーだな」


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