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戦争

 四人が花園神社の裏門に至ったとき、雅は想像していたものとはまったく異なる風景が広がっていた、すなわち、

「うおおおおおおおおおおお」とか「おりゃあああああああああああああ」とか奇声を発してマシンガンを撃つ団体が花園神社に密集していた。あきらかにもう完全にいってしまった集団が、自衛隊に向けてか、空に撃ちまくるもんだから、自衛隊も困惑している。巧妙なのはゴールドヘアーがそいつらを盾にして、マシンガンを自衛隊に向けていることだ。これは密集していたら、やられる。なので自衛隊は散会して、主として拳銃で対処している。


「これはまずいな」とシン。

「そうね、ゴールドヘアーも巧妙ね」とは夏生。

「そういうことなら」と、マックスがいきなり走り、マシンガンを持った一般人をぶちのめし始めた。どうせ、薬か酒でよっっぱらっているから、簡単である。まあ単純だが有効だろう。マックスはマシンガンに対して身を最大限低くして、酔っぱらいの両足を抱え込んで、タックルで倒し、いっぱつ顔に入れる。なるほど、盾を失くすか。雅は自衛隊が散会する林の方に思念を送った。

「田上さん、いますか」

 多分自衛隊員はたまげただろう、いきなり脳内に言葉が響いたのだから、だがその声が聞こえて来た。

「な、なんだ、俺の名を呼ぶ奴は」

「田上さん、雅です」

「な、なるほど、これがテレパシーってやつか」

「そうです」

「帰ってきたんだな」

「田上さん、聞いてください。我々は四人です。一般人を四人で制圧します。自衛隊は残りのゴールドヘアーを狙ってください」

「うーん、あんたたちにも弾があたるかも」

「我々は常人よりも、はるかにすばやく動けます。それに陸自最強の部隊を信じます」

 田上はにやりと笑った、と思う。

「分かった。では作戦実行だ」

 シンがボソっと言った。

「勝手に決めたな」

 雅が反論する。

「じゃ止める?」


「いや、それしかないな」とシンは言うと、すーと動き、マシンガンを持った一般人の後ろに回るとチョークスリーパーを決め、林の方に一般人の体を向けた。一般人はぐにゃと身体を落とし、地に伏した。次に夏生がすーと動き、鬼切丸を煌めかせると、一般人がばたばた倒れた。マックスが派手に暴れている。林の中で、自衛隊員は、はてどんな感想を持っているだろう。などど、考えている暇はない

 一般人がばたばた倒れて、ゴールドヘアーが数十人そこに立っていた。

「みんな伏せて」と雅が声をかけると、四人は神社の石畳に腹ばいになった。その瞬間、ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!! マシンガンが唸りを挙げた。ゴールドヘアーが虚しく打ち返すが、自衛隊員はプロである。弾丸は無慈悲に、ゴールドヘアーを撃ち抜く。雅の顔にどす黒い血しぶきがかかってきた。これが戦争か。


「打ち方止めい」と掛け声とともに一瞬シーンと場は静まり返った。

 四人は立った。すると林の方から田上が出てきて、声を掛けてきた。

「あんたたち並みの人間じゃないな」

「おいらは、ここでは一番フツー」とマックス。

 田上が苦笑いをした。

「あんたも、十分変わってるよ」

 シンが

「あなたが隊長ですか」

 田上は答えた。

「ああ」

「隊長、多分、これからもゴールドヘアーと一般人混在部隊は来ますよ」

 田上は苦虫を潰したような顔になった。

「まったく、何だって戦争の中に飛び込んでくるんだ?」

「もはや、彼らは血に酔っている。理性が無い」

「狂人か、やっかいだな」

「裏門と鳥居のある正面の二方向では不利かと思います」

「では、どうする」

「歌舞伎町内には乗り捨て自動車が複数存在します。それを使って、鳥居を封鎖し、主力は裏門に向ける」

「なるほど」

「四名ほど隊員を貸してくれますか、自動車を見つけてきます」

「一般人を巻き込むのは……」

「もう巻き込まれています」

「あんたたちはいったい何者?」

 夏生がにやりと笑って。

「名も無い酒場の主人と従業員+女もどき」


 マックスが

「おい、女もどきってなんだ?」

 シンは何も無かったように言った。

「隊長、どうです」

 田上は少し考えたが、

「笹島、坂本、井上、遠藤、この人について自動車を持ってこい」

 上官の命令は軍隊では絶対である。よって四人は口をそろえた。

「ハッ」

「では行きます」とシンは走り始めた。むろん人間の速さに合わせて、だが速いことは速い。よって、四人は急いでシンを追っかけて、鳥居をくぐった。

 すると夏生が言った。

「彼らが戻ってくるまで、今度は鳥居から来るかもしれません、すると裏門より大勢だから、裏階段は私たちが守ります」

 田上はうんと頷いた。

「その方がよさそうだな、ただし三名は残しておく、ゴールドヘアーは、そいつらに任せて、あんたらは殺さないでくれ、それは自衛隊の仕事だ。佐倉、上田、杉本、裏門を守れ」

 三人は声を揃えた。

「承知」


 するとさっそく裏階段がうるさくなってきた。

「おいおい、さっそくうるさくなってきたぜ」とマックス。

「やっぱり歌舞伎町は裏門の方が近いですから」と雅。

「何か盾のようなものがあると良いんだけどね」と夏生。

「交番に何かあるかも」とマックスが裏階段を下りて行った。

 皆があっと言ったが、マックスはすたすた階段を下りていく。

 夏生がため息を吐いた。

「あいつは、本当に頭より行動が先ね」

 しばらく経って、マックスは三枚のジュラルミンの盾を持ってきた。

「へええええ、あったんだ」と夏生が言うと、

「これはマシンガンの盾としては使えません」と一人の自衛隊がいう。

「いや杉本、三枚重ねたらいけるかもしれない」ともう一人の自衛官。

 マックスが聞いた。

「あなた杉本さん」

「はい」

「この方は?」ともう一人の自衛官を指す。

「それは佐倉、そしてもう一人が上田です」

 すると、

「佐倉さん、上田さん、杉本さんは、三枚重ねで、階段からやや離れて銃を構えて、上がっていくゴールドヘアーを倒してください。一般人は我々が処理します」と夏生が言った。まあ処理と言ったらゴミじゃないんだからとも思うのだが。まあ作戦はそれしかないだろう。

「じゃ私たちは交番に隠れるわよ」

 なるほど、背後から攻撃か。夏生もケンカには頭がまわる。


 花園神社の裏階段の真向かいにある交番は狭い、特にでかいマックスが居ると窮屈だが、仕方が無い。しばらくすると、ゴールデン街の方から騒音が聞こえてきた。意味不明の怒声だから、立派な騒音だ。

「まったく、やかましいわね」と夏生。

「まあ、もうイッちゃてるから、しようがないよ」とマックス。

 騒音の中にはマシンガンの音も混ざっているから、これはもう犯罪である。留守中の警官に変わってお仕置きしなければならない。

 集団が裏門石段を登り始めた。

「行くわよ」と夏生の声で、三人が躍り出る。密集の集団に襲い掛かったから、マシンガンはうまく使えない。

 夏生の剣が蝶のように舞い、雅の手刀が瞬時に一般人の項に叩きこまれ、マックスの蹴りが相手のみぞおちに叩き込まれる。バッタバッタと倒れる一般人、三人の動きを見止められないゴールドヘアーが石段を上がりきったところに拳銃の銃弾が襲い掛かる、


 三人の恐るべきスピードも凄いが、上がってくるゴールドヘアーを正確に拳銃で射抜く、自衛隊もさすがだ、マシンガンを使わないのはさすがだ、雅らに当たらないように、拳銃を使う。ほとんど、外れることない弾のおかげで、雅らが一般人を倒せる。

 だが、花園神社の石畳は鮮血にまみれてしまった。これが戦争か。これを平常で見たなら惨い風景だが、どうやら人間は、これに慣れるらしい。

 集団が切れたところで、雅はピンときた。

 来た!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!! エンジンの唸りをあげて、大型ダンプが花園神社めがけて疾走してきた。

 そして、鳥居の直前で、キイイイイイイイイイイイ!!とタイヤがきしむ音が響き、大型ダンプが鳥居に横付けされて、傾いてゆく。そのダンプが横転する寸前にシンが運転席から飛び出した。そしてその横転した車の両側にトラックが運転席を前にして止まった。そして一台のバイクが唸りを上げて、バリケードの僅かの隙に入り込んできた。

 これは戦車でも持ってこない限り突破できないバリケードだ。

「おやおや、シンも派手なことが好きね」と夏生

「自衛隊員は大型ダンプ運転できるんだ?」とマックスが田上に聞く

「まあ、あの四人は車のことならこの隊一だ。なんせ千葉と茨城の暴走族のヘッドと特攻隊長だからな」

「へ―」

「これで、裏門に集中できるな」と田上。

「後続の部隊は? 来るんですか?」と雅が聞くと、

「ああ、ここを橋頭保にできたから、くるが、あの壕が厄介だな。歩兵が来るしかないが、ビルから撃たれたらたまらん、が、やるしかないだろう。戦車が通ればいいんだが」と田上が答えた。


 人海戦術か、うーん犠牲者が多数出そうだな。

「ただ、相手の武力はだいたい分かった。一番厄介なのは、高いビルからの狙撃、ただし、ロケットランチャーの類は無いか、少ない。マシンガンと装甲装輪車が主力、一番厄介なのは人質だ、プリンスホテルだけじゃない、歌舞伎町に、現在いる一般人も人質だ。あいつら何がしたいんだか」

 夏生が笑った。

「言っている通り歌舞伎町独立」

 うーんと腕組みをする田上。

 鳥居とはと、見るとシンが立って空を見ている。雅も何気に夜空を見上げると。天が真っ赤になりつつあった。月と星々が真っ赤なカーテンに覆われていたのだ。

「これは何?」と雅。

「オーロラ」とシンがつぶやいた。

 え! と思った雅は深紅のカーテンに見入った。そして言った。

「来た」


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