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DLC5 いろいろ教わった


 偶然、同じ宿に泊まっていたため、相席をすることになった俺とルミナ。

 俺たちは楽しく会話をしながら、夕飯を楽しんだ。


「まさかルミナもこの宿に泊まっていたなんてね」

「私たちって、もしかしてけっこう運命的なもので繋がってたりするのかな?」

「そ、そうだね……」


「ねえドルク、せっかくだからここのお代は、私に払わせて……?」


 ルミナが突然、そんなことを言い出した。


「え……?」

「だって、助けてもらったお礼、まだしてないでしょ……?」

「いやそんな、いいよ……君とこうして楽しく食事できただけでも、俺には十分だ」


 前世では、こんなルミナみたいなかわいい子と、こうやって食事をするなんて考えもしなかったからな……。

 正直、今こうして緊張もせずに話せているだけで、自分でも驚きだ。


「それじゃあダメだよ……。ねえ、なにかしてほしいことはないの……?」


 ルミナが、上目遣いで熱っぽい顔で俺を見つめてくる。

 正直、俺の理性が崩壊するのも時間の問題だ。

 だが、そんなのは前世の俺だ。

 俺はこの人生を、真面目に生きるって決めたのだ。

 だから、この子に嫌われたくない。

 そうだ、これならどうだろう――。


「ルミナ、ルミナって……魔法とか使えたりするの……?」

「え……うん、まあ一応ね。そんなに得意ってわけじゃないけど……」

「じゃあ、それを俺に教えてよ!」

「え…………? ドルクって、あんなに強いのに魔法使えないの……?」

「実は、俺まだステータスを授かったばかりで……なにもわからないんだ」

「そうなんだ……。わかった、じゃあ後で部屋に行くね……?」


 俺たちは後で会う約束をして、それぞれの部屋に戻った。

 ホテルの自室に女の子を連れ込むなんて……初めての経験だ。


 魔法は通常、ステータスを授かってから、教わったりするものだ。

 だが俺は、事情が事情だったため、そういったことをせずにこうして家を飛び出してきた。

 幸いスキルが覚醒したおかげで魔力の数値とかは高いが、いかんせんやり方がわからない。


 部屋で待っていると、しばらくしてルミナがやって来た。

 部屋着に着替えたらしく、少し肌が見えていて色っぽい。

 二人してベッドに腰かけると、やましいことはないのに、どうにも緊張してしまう。


「じゃあ、はじめよっか」

「な、なにを…………!?」

「え…………? 魔法、教えてほしんじゃないの…………?」

「あ、そうだった…………」


 俺としたことが、取り乱してしまった。

 どうやらルミナは17歳で、俺より一つ年上のようだった。

 そのため、魔法もかなり使い慣れているようす。


「じゃあまず、属性を調べてみないとだね」

「属性…………?」

「そう、魔法には属性があって、それぞれにつかえるものが違うの」

「へぇ…………」


 なんかそういうの、漫画とかでも読んだことあるな。

 っていうか俺の属性って…………。


「はい、この本に手をかざして」

「これは……?」

「魔導書の一種よ。魔力を通すことで、属性を調べられるの」

「よし……」


 俺は魔導書に、魔力を通してみる。

 すると――。

 魔導書に描かれた文字が青白く光った。


「火・水・風・雷・地・光・闇――って、これって全属性じゃない!?」


 と、ルミナが大声で驚いた。


「ドルク……魔法を使ったことないって言ってるけど……いったい何者……!?」

「あはは……なんだろう。たまたまジョブがよかっただけだよ……」

「いったいどんなお化けジョブなのよ……。こんなの、聞いたことないわよ」


 さっそく驚かれてしまった。

 でも、俺の魔力量とか見たらもっと驚くんだろうなぁ。

 ルミナとはこれからも縁がありそうだから、はやく慣れてもらわないとな。

 俺も驚かれるのに慣れてしまわないと……。


「じゃ、じゃあ私の得意な光属性の魔法を教えるね……? それでいい?」

「あ、うん。お願いします」


 へえ、ルミナは光属性が得意なのかぁ。

 清楚なルミナにはぴったり、イメージ通りの属性だな。

 そういえば、ルミナのジョブやステータスはどうなんだろう。

 一般的に、ジョブやステータスの細かい情報を相手に訊ねることは、無礼とされていた。

 最初にジョブを言い渡されるとき以外で、相手のジョブを知る機会などそうそうない。

 まあ、仲良くなっていけばそのうちわかるかもしれないけど。


「じゃあ、指先に魔力を込めて――フラッシュライト!」

「うわ……!」


 ――ピカァ!!!!


 ルミナがそう唱えたとたん、部屋中が明るく照らされた。

 異世界では蝋燭の灯りが基本だから、久しぶりにこんな強烈な明かりを見た。

 まるで蛍光灯やLED電球の光のように眩しい。

 都会を思い出すなぁ。


「じゃあ、ドルクもやってみて」

「う、うん。わかった……念のために、目を瞑っていてもらえる……?」

「え…………?」


 一応、手加減はするつもりだ。

 でも、万が一ルミナに失明をさせるわけにはいかないからな。

 いかんせん、俺の魔力は規格外すぎる。


「えい! フラッシュライト……!」

「きゃあ……!」


 ――ドカン!!!!


「えぇ…………!?」


 俺はあくまで、周りを明るく照らす魔法をつかっただけだ。

 これは決して、攻撃魔法とかではない。

 それなのに…………。


「窓が…………割れてる…………?」


 俺の部屋の窓枠が、すっぽりはずれていた。

 それほど、強烈な爆風が巻き起こったのだ。

 さらには、部屋に置かれていた花瓶も割れている。


「あらら……やってしまったか……」


 これでも手加減はしたつもりなんだけどなぁ……。

 おかみさんになんて言おう……。


「もうドルク……! 凄すぎるよ! まさかフラッシュライトだけでこんなに部屋を破壊してしまうなんて……」

「いや、わざとじゃないんだ……。ルミナ、けがはない……?」

「う、うん。私は大丈夫だけど……。ありがとう」


 ドタドタドタ、という足音とともに、おかみさんが俺の部屋に入ってくる。


「ちょっと……! お客さん、なにごと……!?」

「あ、すみません…………」

「これは……派手にやってくれましたねぇ……」

「すみません、これでなんとか…………」


 俺は手持ちの金を、全部おかみさんに渡す。

 あーあ、帽子で稼いだ金も、これで台無しだ。


「はぁ……今回はこれでいいですけど、気を付けてくださいよ?」

「はい……ごめんなさい」

「じゃあ、この部屋は出ていって」

「え…………?」

「だって、窓もないし、掃除もしなくちゃ」

「で、でも…………!」


 この部屋を追い出されたら、俺はいくところがなくなってしまう。

 窓なんてなくてもいいから、せめて今夜だけでも寝かせてほしいものだ。

 俺が困った顔をしていると。


「あ、じゃあ……ドルク。私の部屋…………来る……?」

「へ…………?」


 ルミナが俺の袖を引っ張りながら、そんなことを言い出した。

 まじか…………。


「だって、ドルクに魔法を使わせちゃったのは、私のせいでもあるし…………。本当は、もっとちゃんとドルクの魔力量とかを考えて指導するべきだった」

「いやいやそんな……ルミナは悪くないよ!」


 俺はなんとか、断ろうとする。

 だってなんかこういうの……やばいだろ……。

 だけど、俺は次のルミナの台詞に、考えを改めさせられることになる。


「ドルクは……イヤ、なの?」

「いや…………じゃ、ないです」


 ルミナは上目遣いで、頬を赤らめてそう言ってきた。

 俺は、頷くしかなかった。


「あらあら、それじゃあお二人さん、ごゆっくり~」


 おかみさんはそう言って、去っていった。

 俺、今異世界にきてマジでよかったって思ってる。





 二人で、ルミナの泊っている部屋に移る。

 なんだか、気のせいかもしれないけど、とっても甘いいい匂いがする。


「ねえ、ドルク…………」

「ルミナ」


 ルミナは俺の手を握ってきた。

 俺は我慢できなくなって、ルミナをベッドに押し倒す。


「ごめんルミナ、俺……」


 すると、ルミナは唇で俺の口を塞いできた。

 もうなにも言うまい……。

 俺は、流れに身を任せた。


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