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DLC37 強くてニューゲーム2


「はぁ……はぁ…………」


 コンビニまで全力で走ってきた。

 きっとまだ強盗はやってきていないはずだ。


「あれ……そういえば…………」


 なんだか体が軽い気がする。

 いつもの俺なら、こんなに早くコンビニまでこれなかったはずだ。

 気のせいか……?


「とりあえず……吉野は……!?」


 俺は急いで、コンビニに入っていった。

 すると、そこには吉野が以前のようにレジ打ちをしている姿があった。


「よかった……まだ大丈夫だ……」


 だが、まるで俺がやってくるのを見計らっていたかのように――。

 ちょうど俺の後ろから、強盗の男がコンビニへ入ってきた。


「………………!?」


 俺は警戒を強める。

 いくらあの日をやり直しているからといって、まだこの男はなにも犯行に及んではいないのだ。

 仮に今俺がこいつを取り押さえたとしても、逆に俺が犯罪者扱いされてしまう。

 おちつけ……。

 やばい……無理だ……!

 吉野が心配すぎて、俺は今すぐにでもこの強盗を殺してやりたい気分だった。

 いくらやり直したからといっても、俺にはちゃんと、この男に殺された記憶がある。

 それに、リィノの話では吉野もこの男のせいで……。


「おい……! 金をだせ……!!!!」


 だが男はすぐに、以前と同じ行動をとった。

 よし、これで俺が止めに入れる……!


「ちょっと待て……!」


 俺はすかさず、男に話しかける。

 男は俺をみるなり、にらみつけてきた。


「ああん? なんだ兄ちゃん……俺の強盗の邪魔をしようっていうのか? このナイフが見えないのかぁ? 馬鹿か……? 死にてえのか?」


 男はナイフを俺に向けて、威嚇する。

 まあ、異世界でさんざん剣なんかを見てきた俺からすれば、こんなのは怖くもなんとも――。


 って、あれ……?

 俺……もしかして、震えてる……?


 気が付くと、俺の足は震えていた。

 まあ、そりゃあそうだ。

 今の俺は、ドルクじゃない。

 ただのニートの笹川なんだから。


 あれ……?

 もしかして俺、今やばいんじゃないか……!?

 実際、この現実世界には便利な魔法も、ステータスもない。


 さっきのコンビニまでの道中でも、それは明らかだった。

 仮に俺がドルクのままだったら、敏捷のステータスであの距離は一瞬だ。

 しかし実際には、俺は息切れしながらようやくコンビニまでたどり着いた。

 多少以前のニート時代よりは体力があるような気はしないでもないが……それは思い込みだろう。


 だとしたら今の俺は、ふつうの人間とかわらない戦闘力なんじゃないか……?

 そんな状態で、ナイフを持った相手にどうやって勝つというのか。


 そして、悪いことに俺は最悪な可能性を考えてしまう。

 きっとそんなことはありえないだろうが、あれがすべて俺の妄想という可能性だってあるのだ。

 あれは単なる妄想で、これはデジャヴなだけで、これが一回目だとしたら……?

 俺にはなんの能力もなく、ただ殺されるだけなんじゃないのか……?

 むしろ、異世界なんて妄想である可能性のほうが高いだろ……。

 現実世界に引き戻され、俺の頭はそういった考えで埋め尽くされかけていた。


 強盗のナイフを目の前に、一瞬のうちに俺はそんなことを考える。

 だが、そんな俺がはっと目が覚めたのは、吉野の顔を見てからだった。

 ちらと、吉野の顔を見る。

 すると、彼女は俺と同じく、ナイフに怯えていた。

 そして、俺のことを心配そうな目でみていたのだった。


 この様子からすると、吉野はリィノとしての記憶を失っているのだろうか……?

 まあ、あれは今からすれば未来の話だから、失っているという表現はおかしいかもしれないけど。

 それでも、彼女は俺が守りたかったあの吉野で間違いないのだ。


 そう、仮にあれが妄想であろうが、夢であろうが、そんなことはどうでもいい。

 俺が今、彼女を守れるかどうか、それだけが大事なんじゃないのか……!?

 だって、俺はなんのためにDLCを集めて、なんのために強くてニューゲームを押したんだ……!?

 吉野を、こんどこそ守ってみせると、そのためじゃないか!


 俺は、決意を固める。

 理由はなんだっていい、今の状況が、どういったものであろうと関係ない。

 俺はただ、絶対に吉野を死なせはしない……!!!!


 急に俺の目の色が変わる。

 それを見て、強盗の男も態度を変えた。


「うお……!? なんだぁ!? やんのかこの野郎……!!!!」


 男は俺の目つきを、威嚇ととらえたようで、怒りのボルテージを上げて、ナイフをもって俺におそいかかってきた……!


「うおおおおおおおおおお!!!! 来るならこい……!!!!」


 俺は決意を固めて、身構える。

 次の瞬間――。


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