DLC36 強くてニューゲーム
学園祭も無事に終わり、また俺たちは平和な日常に戻っていた。
あのあとジョーカーは真面目に立ち直り、態度を改めてクラスになじめるようになった。
それから、リィノの意味深な言葉だが――俺はまだ彼女にそれをきけないでいた。
その後も俺たちはDLCを消化していき――ついに、全DLCを埋めることに成功した。
「よし……! これでDLCは全部開放したはず……!」
「やったねわねドルク……!」
「ああ、ルミナ。みんなのおかげだよ……!」
目的は達成したわけだが、俺たちは今でも学園に通ってはいる。
もともと学園に通って魔法を学ぶというのも、目的の一つだったわけだし。
それに、俺としてはルミナが快適に学園生活をおくれるようにするのも大事なことだった。
まあ、俺としても学園に通うのは楽しかった。
だが、それはそれとして――当初の目的であるDLCをすべて使うというのは達成できたわけだ。
「リィノ……俺は君を、絶対に救いたいんだ……!」
「ドルクくん……ありがとう。でも、私は今でもけっこう幸せだよ……?」
「ああ、それはわかってる。俺もだ……。でも、後悔だけはしたくないんだ……もう二度と……!」
俺は意を決して、DLCを開く。
これを押したら、どうなるかはまだわからない。
もしかしたら、この異世界にはもう戻ってこれないのかもしれない……。
そしてもしかしたら、ルミナたちとも会えなくなってしまうのかも……。
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・強くてニューゲーム+
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「くそ……! やっぱり無理だ……!」
俺は出した親指をひっこめる。
やはりルミナやシャル、レヴィンのことを考えると、これを気軽に押すことなどできない。
DLCの名前からして、やり直すことが可能な内容なのだろう。
それはわかるが、やり直したとして……俺はここに戻ってこられるのだろうか?
もしあの日に戻って、俺が吉野を助けたとする。
そうしたら、俺も吉野も、この異世界には転生しないことになる。
ということはルミナたちとも出会うことができないということだ。
それだけは、吉野を救えなかったことと同じくらい嫌だ。
だからといって、吉野の命を救えるかもしれないという可能性を、無視することなんて到底できない。
思い出か、人の命か、そのどちらかを選ぶことなんて――。
「くそ……! 俺はどうすればいいんだ……!」
悩んでいる俺に、ルミナが話しかける。
「大丈夫だよドルク! ドルクのDLCスキルなんだから、きっと大丈夫!」
「ルミナ……。そんなこと言っても……」
「今までドルクのDLCを使って、マイナスなことになったことがあった……?」
「それは……ないけれど……」
「でしょ? だったら、今回もきっと大丈夫だよ! 私たちはまた会える。だって、ドルクは異世界からきたんでしょ? そんな不可能なことが起こったんだから、今度だってきっと大丈夫」
「ルミナ……」
たしかに、ルミナの言う通りかもしれない。
俺のDLCスキルが、今まで不利益を働いたことなんて一度もない。
きっと今回も、いい風にことが運ぶに決まっている。
それに、強くてニューゲームとはいっても、+が付いているのだ。
ただやり直すってだけじゃないというのは、想像できる。
「だから、ドルクは安心してそのDLCを使って! そしてリィノちゃんを、助けてあげて……!」
「ルミナ……」「ルミナちゃん……」
リィノも、ルミナの純粋な思いに感動していた。
「ありがとう、ルミナ……。俺は絶対に、リィノを……吉野を助けて、そしてまたルミナたちとも会えるようにするよ……!」
「うん、絶対だよ。私も……待ってるから……!」
「ああ……絶対だ……!」
俺たちはきつく抱き合った。
DLCはこれですべて使ったから、どのみちもうこれしかやることはないのだ。
俺は再び意を決して、DLCをタップする。
「じゃあ……リィノ……いくぞ……!」
「うん……! ありがとう、ドルクくん……本当に……」
俺たちは一緒に、指でDLCの項目をタップした。
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・強くてニューゲーム+
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すると、周りがまばゆい閃光につつまれる――。
「うわ…………!!!?」
そして――。
「ここは…………?」
目を開けると、そこは俺の部屋だった。
「あれは……夢だったのか……?」
いや、違う。
そんなはずはない。
あれが夢であるはずなんて、ないじゃないか!
俺は、ルミナと、リィノと、約束をしたんだ!
「今……何時だ……!?」
俺は急いで時計を確認する。
ちょうど、あの日俺がコンビニへ行った、その直前の時刻だった。
「急いでコンビニに行かないと……!」
俺は着の身着のままで、コンビニへダッシュした。




