DLC30 試験2
「はああああああああ!!!! 雷撃狼颯斬!!!!」
リィノは的に向かってそう叫んだ!
――ズゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
ものすごい雷鳴がとどろき、それが狼のような形となって飛来する。
そしてまたたくまに的をこなごなにした。
「おお……! すごい! さすがはエルフだ……!」
俺は思わず見とれてしまった。
あれがあの吉野さんか……。
やっぱり転生は人を変えるというか、正直言ってかっこよかった。
俺もあんな風に魔法を使ってみたいものだ。
「ふ、ふん。エルフならあれくらい、あたり前だろう……」
ジョーカーはそんなふうに負け惜しみを言った。
リィノの魔法は、それだけすごかったからだ。
だから当然――。
「リィノくん、君もAクラスだ……!」
「やったぁ!」
これでみんなAクラスということになる。
ここは俺もAクラスになりたいところだ。
「よし……じゃあ次は俺がいくか」
俺は的に向かいあって、こう叫んだ。
「ファイアボール!!!!」
さっきレヴィンがやっていたのを、そのまままねる。
俺が魔法を使うと、下手したらここら一帯を更地にしかねないからな……。
あえて下級の魔法を使うことで、それを避ける。
そして、念には念を入れて、力を最小限で抑える努力をする。
それなのに――。
「うわっ!!?」
――ボワッ!
俺の手元で、魔法が爆発したような感じになった。
ファイアボールという呪文が許容する魔力量を、はるかに超える魔力を込めてしまったみたいだ。
これでもダメなのか……。
もっと、さらに威力を弱める努力をしなければいけないかもしれない。
しかし、俺は最低限の魔力しか込めなかったはずだ。
これ以上となると、かなり難しい。
しかたない、こうなったら、ほかの魔法を使うとするか。
もっと上位の魔法を使えば、魔力暴走をしないでもすむだろう。
やれやれまったく、大きすぎる魔力というのにも困ったものだ。
「ギャハハ!! お前、ファイアボールすらもまともに扱えないのかよ!」
ジョーカーがそんなふうに俺をあざ笑う。
少し失敗しただけだというのに、鬼の首をとったように。
まったく嫌な性格のやつだ。
試験では、一回まで失敗が認められている。
だから、俺にはまだチャンスがあるし、失格ではないのだ。
「うるさいなぁ……」
そうだ、ここはあいつの使っていた魔法を使ってやろう。
そうすることで、俺の力を見せてやるんだ。
同じ魔法を使えば、その威力の違いで、自分の実力差を思い知るだろう。
よし、あいつの使ってた呪文、どんなのだったっけ。
俺はさっきの光景を思い返す。
そして、ジョーカーがやっていた通りに、イメージする。
「火炎延竜弾!!!!」
俺は的に向かってそう叫んだ。
もちろん、威力は最小限になるように、魔力を抑える。
今度は成功した。
――ズドーン!!!!
――ズガガガガガ!!!!
しかし、どういうわけやら、さっきジョーカーが見せたものとは、くらべものにならないくらいの威力を引き出してしまった。
これでもかなり手加減したのだけれどな……。
的を焼き切り、そのまま貫通。
的の後ろにあった石の壁までも貫通してしまう。
そして、その後ろの建物まで崩壊してしまう勢いだ。
幸い、今の時間そこの建物には誰もいなかったようで、けが人はいない。
しかし、いろいろと破壊をしてしまって、申し訳ないな。
これは賠償金を払わなければいけないかもしれない。
まあ、DLCのおかげで、金には困っていないけど。
「なななななな……なんだその威力は……!?」
さすがのジョーカーも、立ち上がって俺の元へきて、驚いているようだ。
まあ、さっきあいつの使ったやつよりもかなり威力が大きいからな。
そして、それだけではない。
リィノまでもが、俺を見てものすごく驚いている。
そして、試験を見る教官もだ。
あれれ……俺の想像以上にみんな大げさな反応をしているなぁ。
また俺はなにかやってしまったのか?
俺はただ威力が大きいだけの魔法だったのだが。
そして事の真相が、ジョーカーの口から明かされる。
「いいい、今のは、僕のユニーク魔法だったんだぞ……!??!?!」
「え…………?」
ユニーク魔法というのは、その人オリジナルの固有魔法のことで、通常はほかのひとには扱えないものだ。
ああ、そういえば長ったらしい変な呪文だったなぁ。
あれはユニーク魔法だからか。
「なんで僕のユニーク魔法を一回みただけで使えるんだよ……!!!!」
「え……あーそ、それは……俺の魔力が高いから……?」
「だからってそんなわけあるかー!!!! めちゃくちゃな奴め……」
ジョーカーは腰を抜かして、あきれ果てていた。
あまりにもの出来事に、もはや俺に負けたという感覚すらないらしい。
もう俺たちに嫌味を言って突っかかってくるような元気もないようだ。
うーん、俺のDLCで上げたステータスは、確かに大きんだけど……。
でも、こんなふうに魔法をコピーするような能力はなかったはずだしなぁ。
そういえば、最初にルミナに魔法を教わったときもすぐに真似できたなぁ。
もしかしたらこれはステータス関係なく、俺の才能のようなものかもしれない。
「ドルクくん、きみもAクラスだ……!」
「よし……!」
まあ、とにかく俺もAクラスに入れたわけだから、一安心だ。
ジョーカーは気を失って、失禁までして、どこかに運ばれていったようだった。
まるで悪い夢でもみているような気分だろうな。
まあ、さっきまでうざかったから、ちょうどいい。
これで邪魔者はいなくなった。
いよいよ、残すはルミナとシャルだけだ。
この二人には傷ついてほしくないし、ジョーカーがいなくなったのは本当に良かった。
特にルミナは、もともと魔法の才能に自信がないとかっていってたしな……。
ここは俺が隣にいて、支えてやりたい。
「ドルク……」
「大丈夫だルミナ、俺がついている!」
「うん……!」
結果、ルミナも無事にAランク。
シャルも、意外なことに魔法の才能があったようで、かなりの好成績を収めた。
無事に俺たち全員Aランクに入れたわけだ。
これから、俺たちの新しい生活が始まる……!
まあ、といっても魔法学校は半日くらいで終わるんだけど……。
だから、俺たちは毎日家から通うことになる。
「いやぁ今年は有望ですねぇ……」
「本当に、彼らの成長が楽しみだよ……」
教官の先生が、そんなことを言っていた。
まあ、俺はDLCを使うために入学したようなものだから、半分どうでもいいんだけど……。
ルミナが楽しく魔法を学べることだけを俺は祈っていた。




