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DLC3 なんかスキルがこわれた


 あれから俺は街を出て、かなり遠くまで旅を続けてきた。

 もともといたマルークス王国からは、かなり離れたレンディオン王国までやって来た。


「ふぅ……もう俺を知ってるような人はいないだろう……」


 馬車に揺られながら、ようやく新天地にたどり着いたことに安堵する。

 これから向かう街――リユニオンは、レンディオン王国の中でも、大都会だ。

 だからきっと、俺みたいな無能ジョブでも仕事がみつかる……はず……!

 こつこつ溜めてきたおこずかいは、これまでの路銀で消えた。

 いくら剣神の息子のおこずかいといっても、子供に与えるような額、たかが知れている。


「よし、着いた……!」


 リユニオンの大地を踏みしめる。

 ここで俺の新しい生活が始まるんだ……!

 大きく深呼吸をしていると、俺に声をかける人物がいた。


「おい君……!」

「はい、俺ですか……? なんです……?」


 ま、まさかこんなところにも俺を知る人が……?

 と思ったけど、どうやらただの商人さんみたいだ。

 ちょうど馬車が止まる場所だったから、周りには荷下ろし中の商人がたくさんいた。


「そ、その帽子……! いったいどこで手に入れたんだね……!?」

「え……この帽子ですか……?」


 俺はかぶっていた虹色の帽子を脱ぐ。

 そう、謎スキルDLCによって生み出された、意味不明の帽子。

 俺の無能力の象徴のような、忌むべき存在だ。


「これが……なにか……?」

「そ、それを私に売ってくれんか……!?」

「はぁ……別にこんなのでよければ、どうぞ」

「ほ、本当か……!?」


 まあ、こんなものいつまでも持っていても仕方がない。

 売れるというのなら、いくらでも手放そう。

 ちょうどお金も欲しいところだしな。


「じゃあ、この額でどうだ……!?」


 商人さんは、俺に袋を手渡した。

 ずっしり。

 俺はその中身を確認して、声をあげ驚いた。


「えぇ……!? こ、これ……!? 本当なんですか……!?」

「なに…………!? 足りないか…………!?」

「い、いや……! その逆ですよ…………!」


 だってこんな意味不明の奇怪な帽子。

 いったい誰がそんな高値で買おうっていうんだ……!?

 もしかしてこの商人のおじさん、かなりの変人?

 それとも、マルークス王国とレンディオン王国では、かなりファッションセンスに差があるのだろうか?


「これ……もらい過ぎじゃないですかね……?」

「いやいや! そんなことはない! ぜひ受け取ってくれ!」

「えぇ……?」

「こんなに縫製が綺麗なものは見たことがないよ! それに、この誰にも思いつかないようなデザイン……! しかも、どうやって色を出しているのやら……。まるで、これは異世界か……それかずいぶん未来のもののような気さえするよ…………!」


 まあ、確かに……言われてみれば見たことがないよな。

 俺も、これがどうやって作られたのかなんて想像もつかない。

 商品っていうのは、貴重なほど値が増すらしいから、まあ適正価格なのかもな。


「じゃあ。そういうことで……」


 俺は大人しく、大金を受け取る。


「ああ、非常にいい品をありがとう! またなにかあったらぜひ買い取らせてもらうよ!」


 まあ、もうなにもないんだけどね……。

 俺のスキルで稼いだ値段は――5000(ギルガス)

 まあ大金といえば大金だ。

 普通の大人が遊んで、2か月は暮らせる。

 でも、生涯で一度しか得られないジョブについた値段としては安すぎる。


 だって、もし俺が父と同じ剣神とかだったら、そのスキルだけでいくらでも稼げたかもしれない。

 そう思うと……はぁ。

 まあ、金になっただけましか……。


「とりあえずこれで宿を探すか……職探しはそのあとだ……!」





 適当な宿をとった俺は、ようやく腰を落ち着ける。

 ベッドに座り、これからのことを考える。


「はぁ…………しかし、どうすっかなぁ…………」


 とりあえず、暇だったのでステータスを見てみる。

 まあどうせ、なんにも変わっていないだろうけど。


「ステータスオープン!」



==================

ドルク・ド・ヴァーキン 16歳 Lv2

ジョブ:DLC

筋力:11

体力:11

耐性:11

敏捷:11

魔力:11

魔耐:11

スキル:DLC一覧

==================



「あれ……レベルが上がってる……って、1だけかよ! 農民でももっとステータス上がるぞ……?」


 道中、結構な道をやってきた。

 それに、さっきの買い物でも経験値が入ったみたいだ。

 この世界では、戦闘だけじゃなくて、さまざまなアクティビティに経験値がつく。

 まあ、そうじゃないと職人系のジョブはレベルを上げられないからな。

 得られる経験値は、ジョブによっても様々だ。


 例えば、剣神の場合だと、戦闘を行ったときに経験値を得やすい。

 その分、普段の暮らしでのアクティビティではあまり得られない。

 遊び人の場合は、遊ぶことがなによりもの経験値になる。

 ジョブに相性の悪い行動では、少しづつしか経験を得られないというわけだ。


「まあでも、レベルがあがるだけましか……」


 このDLCというジョブが、いったい何によって経験値を稼ぎやすいのかはわからない。

 でもとにかく、あれだけ旅をしてようやく1上がるということは、旅をしてもそんなに経験値は得られないのだろう。


「いちおうスキルのほうも確認しとくか……」


 まあどうせ、ろくなことないだろうけどな……。

 多くのジョブにおいて、スキルはレベルの上昇とともに変化をする。

 単に威力が上がったり、スキルの種類が増えたりだ。

 まだ【スキル:DLC一覧】しかないようなので、どうせ無能のままだろう。

 だが、試してみる価値はある。

 もしかしたら、このスキルでやれることが、増えているかもしれないのだ。

 ちなみに帽子は一回しか出せなかった……。


「スキル発動:DLC一覧――!」



====================


使用可能なDLC一覧


 ・前回データ引継ぎ【チュートリアルクリアで解放】


====================



「おお……!? 増えてる……!? ってか、なんだこれ……?」


 前回データ引継ぎって、どういうことなんだろうか……?

 データっていうのは……聞きなれない単語だ。

 チュートリアルっていうのも、正直意味不明。

 まあ、このスキルが意味不明なのは今に始まったことじゃない。


「まあとりあえず、これを使ってみるか……! えい!」


 俺はまた指先で、その項目を選択した――ぽち。

 →前回データ引継ぎ


 すると――。


「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!??!?!?!?!?!?」


 俺の頭の中に、誰かの記憶が流れ込んでくる。

 一瞬で、いろんな情報が入り込んでくる!

 これは……誰の記憶なんだ……!?

 なんだこれ、日本……?

 異世界……?


 って、これは…………俺の記憶…………?

 俺…………異世界に、転生したんだ……!


 ようやく俺は、自分が誰かを思い出した。

 日本から異世界に転生して、記憶を消された。

 そしてドルクとして、今まで生きてきたんだ……!


「はっは…………! まじかよ…………」


 変な笑いが出てきてしまう。

 もうだめかと思っていたのに……。

 16年ぶりに前世の記憶とご対面だ。


「でも…………これは。勝った…………!」


 今までは記憶を失っていたから、転生者としてのアドバンテージをまったく活かせてなかった。

 まあ生まれはそこそこよかったが……。

 そのせいで、あやうくこのスキルの真価を見逃すところだった。


「それにしても…………神様め、ふざけた能力よこしやがって…………」


 まあたしかに俺は、神に助けてくれって祈ったさ。

 でも、いったいどういう神様なんだよ……。


「DLCって…………ダウンロードコンテンツって意味じゃねえか…………」


 前世の、現代日本の記憶を取り戻した今の俺には、はっきりわかる。

 このスキル、きっとチートだ。

 俺にしか、転生者にしかその意味がわからないようにして…………。

 これは神様がそういうふうにカモフラージュしたのか……?

 まあその意図は俺にはわからないけど、とにかくこれは最高のギフトだ。


「よし…………! 今の俺になら、なにか分かるかも……!」


 俺はもう一度、スキルを使ってみる。



「スキル発動:DLC一覧――! って、また増えてる……!?」



===================


使用可能なDLC一覧


 ・転生者の加護セット【転生者特典】


===================



「はっは……! チートの匂いがぷんぷんするぜ……!」


 どうやら、なにか特定の条件を解除したりすることで、この使用可能DLCというやつは増えていくみたいだった。


「えい!」――ぽち!


 →転生者の加護セット【転生者特典】


「これもまるでスマホだな……」


 って……オイオイ!!!!


「なんだこりゃあ!?」


 その転生者の加護とやらを受け取った瞬間。

 俺の目の前に、ものすごい数の文字列が現れた……!


「これって……チートすぎじゃね……!? はは……!」



===================

《転生者の加護セット【転生者特典】》


・経験値増加5倍

・スキル・魔法全属性無効

・スキル・魔法全属性使用可能

・成長無限

・ハーレム体質

・精力無限

・ステータス倍増1000倍

・Lvアップ時ステータス増加(大)

・即死無効

・無限アイテムボックス

・転移スキル

・自動回復

・万能鑑定

・異世界ガイド音声


===================



「これはすごい…………!」


 これなら、これだけあれば、戦える……!

 俺はこの異世界で、好きなように生きていける……!

 だけど、決してクズな人生は送りたくない。


「この力を活かして、俺はまっとうな人生を送るんだ……!」


 だって、この世界に最初に転生したときに、そう誓ったのだから……。

 俺はこの世界で、人助けをし、成功する……!

 最高の人生を送るために、俺は産まれてきたのだ……!


■そう、俺はここから、覚醒し、成り上がり、新たな人生を歩んでいくことになる。



==================

ドルク・ド・ヴァーキン 16歳 Lv2

ジョブ:DLC

筋力:11000

体力:11000

耐性:11000

敏捷:11000

魔力:11000

魔耐:11000

スキル:DLC一覧、転生者の加護

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