DLC13 初めてのクエスト
冒険者登録を済ませた俺たちは、さっそくクエストを探す。
Sランク冒険者向けのクエストは、非常に少ない。
その中でも、特に報酬がうまそうなものを選ぶ。
「溶岩龍デロメロスの討伐か……」
死の火山に現れたという、溶岩龍。
その討伐クエストというわけだ。
現在そのクエストは難航中だと書いてあった。
なにせ、場所が場所だ。
それに、敵はかなり固く、いくら攻撃をしてもいまだに倒せずにいるという。
幸い、溶岩龍は火山から出てくることはなさそうだが……。
それでも、重要な狩り場の一つである死の火山が、今では立ち入り禁止地区になっているそうな。
というわけで、絶賛討伐者を募っているとうことらしい。
「これにしよう」
俺はそのクエストシートを持って、受付嬢さんの元へ行く。
「あの、ドルクさん……。正気ですか……?」
「え……? なにが……?」
受付嬢さんはまたも驚いて、あきれ果てた顔をしている。
「これは、Sランク冒険者数人がかりでも無理だった案件ですよ……? それを、初めてのクエストに選ぶなんて……どうかしていますよ」
「うーん、でもみんな困っているんでしょう? それに、さっき受付嬢さんも見ましたよね? 俺が強いって」
「そ、そうですが……仕方がありませんね……。くれぐれも、身の危険を感じたら、すぐに帰ってきてくださいね」
「わかっています。大丈夫です」
まあ、俺が身の危険を感じることなんて今後なさそうだけど……。
なにせ、DLC特典の即死無効がついているのだから。
「じゃあ、そういうわけで……とっとと行こうか」
俺たちは、死の火山へ向けて転移した。
どうやらこの転移は、地図さえあれば行ったことのない場所でも使えるみたいだ。
Sランク冒険者が同行すれば、ルミナとシャルもこのクエストに参加できるとのことだった。
まあ、危険もあるだろうが、そこは俺が全力で守るから大丈夫だ。
どうせ溶岩龍もワンパンだろうから、行って帰ってくるだけ……。
◇
「よし、着いたな」
ではまず、DLCを確認しておこう。
これはこまめに確認しないとな……。
「スキル発動:DLC一覧――!」
=================
使用可能なDLC一覧
・報酬倍化チケット【初クエスト特典】
・ドロップ厳選チケット【初ボス特典】
=================
「おお、やっぱり! 神様太っ腹ぁ!」
まさに今にピッタリなアイテムが追加されていた。
これさえあれば、このクエストだけで一生遊んで暮らせるくらい稼げそうだ……!
「じゃあさっそく、これを二つとも使うか……!」
――ピロン!
そんな音と共に、チケットが消費される。
そして、どこからともなく音声が聴こえてきた。
【チケットの使用を確認。次回の報酬に反映されます】
などと、機械チックな音声が、俺の耳に流れ込んでくる。
そうか、転生者の加護の中にあった【異世界ガイド音声】ってやつだな……。
もしかして、話しかければ応えてくれるのかな……?
「なあ、ガイドさんよ。このクエストの目標モンスターは、どのくらい強いんだ……?」
適当なことを聞いてみる。
すると――。
【現状、この国を脅かす脅威としては最大級の敵になります】
「お! 答えた……!」
なるほど、これは便利だ。
今後ドンドン使って行こう。
そう思っていると。
「ねえドルク……さっきから一人でなにを喋ってるの……?」
と、ルミナがいぶかし気に聞いてきた。
どうやら音声はルミナたちには聞こえないみたいだ。
「ああ、すまんすまん。ちょっと俺のスキルの関係でな……。でも、もう終わった。とりあえず、先に進もう!」
そして、俺たちは死の火山のダンジョンをどんどん進む。
3Dマップを見ながら進んだから、すぐについた。
死の火山の中央にある、巨大なエリアに、そのモンスターはいた。
「グオオオオオオ!!!!」
溶岩龍デロメロス。
どろどろに溶けた溶岩の中から、ひょこっと顔を出す。
そして――。
「グオオオオオオ!!!!」
――キュイイイイイン!!!!
「うおわ……!?」
口から高熱線ビームを吐き出してきた……!
いきなりなご挨拶だ。
「えい……!」
俺はそのビームを、剣で受け止める。
勇者の剣。
その名に恥じぬくらいの、高耐久の剣だ。
「よし、ルミナ、シャル、下がっていてくれ。俺が一撃で、仕留める……!」
そして、俺はいつものように超高速で動いて、距離を詰める。
溶岩龍のほうも、俺ほどの動きをみたことがないのだろう。
モンスターのくせに、目を丸くして、コミカルに驚いていやがる。
「うおおおおおおおお!!!!」
――ズシャアアア!!!!
俺が勇者の剣で溶岩龍を斬ると――。
なんと、勇者の剣の軌道上に、光の道が描かれた。
そして空間ごと、溶岩龍を、光のビームが切り裂く――!
「なんか出たァ!!!?」
初めて勇者の剣を本気で使ったが……。
まさかこんなことになるとは。
勇者の剣は、射程距離や硬さなど関係なく、すべてを切り裂いた……!
溶岩龍だけではない、周りの景色も、だ。
「グオオオオオオ!!!!」
溶岩龍のすさまじい断末魔がこだまする……!
そして、溶岩龍の口から、なにかがはじき出された。
ポン、と――。
「これがドロップアイテムか……?」
どうやら、そうらしい。
さっき厳選チケットを使ったから、これはきっとレアアイテムだろう。
俺はそれを、空中でキャッチする。
「すごい、ドルク! 本当に一発で倒しちゃうんだね!」
「すごいすごい! さすがドルクにゃあ!」
二人が俺に駆け寄る。
しかし……さっきの攻撃で、火山のダンジョン内部が、崩れかかっていたようで……。
――ドン!
二人の頭上に、岩が落ちてくるではないか……!
「危ない……!」
俺はすぐさま、駆け寄って二人を助ける。
俺の速さがあれば、こんなのは余裕だ。
しかし、二人を怖い目にあわせてしまい、申し訳なく思う。
「大丈夫か? 二人とも……」
俺は二人を抱きしめながら、言う。
「うん、すぐに助けにきてくれたね……ありがとうドルク」
「にゃあ……うれしかったのにゃ」
こう素直に感謝されると、少し照れくさいな。
だが、うれしくもある。
俺はちゃんと二人を護れた。
――ドドドドドドドドド。
すると、大きな地鳴りが聴こえてくる。
「これは……ダンジョンが崩壊し始めている……!?」
少々派手に暴れ過ぎたようだ。
地形が変動し始めている。
「よし、さっさと戻ろう。転移――!」
俺たちはすぐにその場を離れた。
◇
ギルドに戻ってきて、あらためて先ほどのドロップアイテムを確認する。
なにか、宝石のようなものらしい。
俺は、万能鑑定を使う。
・ドラゴンクリスタル
レア度 ★5
「おお、これはなかなかのレアなんじゃないか……!」
俺がそう言うと、またあの異世界ガイド音声が答えた。
【ドラゴンの体内で生成される、貴重な宝石です。文句なしのレアドロップアイテムですよ】
「よっしゃあ! やっぱチケットの効果だな……!」
これでしばらくは金に苦労しなさそうだな……。
「そうだ……! クエスト報酬のほうも……」
俺は受付嬢さんに、報告をしに行く。
「え……もう倒してきたんですか……? そんな……うそ……!」
「いや、嘘じゃないですよ。ホラ」
俺は証拠にとばかりに、ドラゴンクリスタルを見せる。
すると、受付嬢さんはまたドン引きした。
「え……これって……マジ……? ドルクさん、あなた本当に、とんでもない新人ですね……」
「あはは……」
「ドラゴンクリスタルなんて、もう2年は見ていませんよ……?」
「え、そうなんですか?」
「強敵を瞬殺するだけじゃなく……レアドロップアイテムまで……」
そして、受付嬢さんは俺にクエスト達成報酬を渡した。
「はい、これが、今回の報酬となります」
「え……これは……!?」
そう、そこに書かれていた額に、俺は驚きを隠せない。
5000000G。
「こ、こんなにもらっていいんですか……!?」
「もちろんです。それだけのことをしましたからね、あなたは」
「はは……やった……!」
どうやら一回のクエストで、既に普通の冒険者の一生分の額を稼いだらしい。
報酬増加チケットのおかげだろうか……。
だとしたら、この受付嬢さんは神から洗脳でもされてるのか……?
いや、その辺は考えないでおこう……。
「とにかく、これでうまいものでも食べに行こう」
「わーい! さっすがドルク、頭いいわ……!」
「にゃあ! いっぱい食べるのにゃ……!」
俺たちは、大金を握りしめてギルドを出た。




