DLC10 解決策を考えた
「なあ、ルミナもこれ、使ってみなよ」
俺はバーベキューソースとお好みソースを、ルミナに手渡す。
「えぇ……? なんなのこれ? 見たこともないけど……。本当に食べられるの……?」
「ああ、俺のスキルで出したものだ。だから安心して食べてほしい」
「まあ、ドルクのスキルなら大丈夫ね」
ルミナは自分の料理に、ソースをぶっかけた。
「わあ! ホントだ! なにこれ……!」
「な、おいしいだろ……?」
「ちょっと味が濃いけど、これは病みつきになりそうね……!」
「まあな、なんでもお好みソースをかけとけば、とりあえずおいしいんだ」
「こっちも試してみて」
俺はカレー粉も手渡す。
「これって……なんかすごいにおいだけど……大丈夫なのかな……?」
「まあまあ、騙されたと思って」
「うん」
カレー粉をかければ、どんなものでも美味しくなるって、テレビでやってるのを見たことがある。
実際、カレーを嫌いな人なんかいないし、カレー味は最強の調味料だ。
「うん! これ、すっごくおいしい……! なんというか、今までにまったく食べたことないっていうか……。すっごく複雑な味! 外国の味かしら……」
「ああ、まあ……外国と言えば外国だな……」
「もしかして、ドルクの故郷の味?」
「うーん、そうともいうような……そうでもないような……?」
カレーは日本の代表的な料理だ。
でも、カレーと言えばやっぱりもともとのルーツはインドだし。
っていうかそもそも異世界だし……。
なんていろいろ考える。
「あ、そうだ……みんなもこれ、食べてみて」
俺は、DLCから調味料を選んで、獣人さんたちに手渡す。
調味料のDLCはなぜかいくらでも取り出せるので、どんどん、惜しみなく使っていこう。
「にゃ……? なんだこれ……」
獣人さんたちは、俺たちよりも鼻がきくみたいで……。
調味料をしばらくの間、くんくん臭いで警戒していた。
しかし、ひとたびそれをくちにすると……。
「んにゃあ!!?!?!!?」
「これはおいしすぎますね……!」
「味の革命だにゃ!」
と、大好評をはくした。
ふぅ……日本の代表的な味が、異世界の人たちにも受け入れられて、なんだかうれしいな。
「よし、じゃあお代も、これでなんとかなるかもだな……」
俺はその調味料を持って、おかみさんの元へ行った。
「おかみさん、この調味料で、とりあえずのところどうかな……?」
「って、これはなんです……? ドルクさん……?」
「まあまあ、ちょっと食べてみてくださいよ」
「…………うーん」
――ペロリ。
「こ、これは……!?」
おかみさんは、さっそく調味料を買い取りたいと言ってきた。
俺はふたつ返事でオーケーした。
というかむしろ、食事代以上に儲かってしまった。
「ありがとうドルクさん、これは本当にすごいことだよ……? 本当にうちに売ってもらってもいいのかい……?」
「ええまあ、おかみさんにはいろいろお世話にもなりましたし、迷惑もかけましたから……」
数日後、宿は大繁盛することになる。
なんでも、ここでしか食べられない特別な味の料理があるとかで……。
俺はこの街に滞在するあいだ、宿代をタダにしてもらえることになった。
「すごい! ドルク、またまた大活躍ね……!」
ルミナも喜んでくれた。
「しかし……問題はこの子たちだよなぁ……」
とりあえず獣人さんたちにお腹いっぱいになってもらったはいいけれど……。
彼女たちには行く当てがない。
またあのスラム街にいても、どうせろくな食い扶持が見つからないだろうし。
この国は、どうにも獣人にたいする差別が酷い気がする。
せめてマルークス王国くらいの環境ならなぁ……。
「あ、そうだ……!」
「どうしたの、ドルク……?」
「なあみんな、この国よりももっと、獣人に優しい場所があるって言ったら、そこまでついて来てくれるか……?」
「にゃあ! そんなところがあるなら……ぜひ……!」
どうやら獣人さんたちも、同意してくれるようだ。
だったら……!
「よし、転移で一度、マルークス王国にいく! そして、獣人さんたちに引っ越してもらうんだ!」
俺の生まれたところ、マルークス王国でなら、彼女たちにもまともな暮らしが見つかるだろう。
このレンディオン王国と比べれば、かなり差別の少ない国だ。
俺はまだマルークス王国に戻る気はないから、すぐに戻ってくるけど……。
それでも、彼女たちをこのままここに置いておくよりはいい気がする。
「ま、待って……ドルク……!」
「え……? どうしたの、ルミナ」
なぜかルミナは、このいい案に乗り気じゃないみたいだ。
とても気まずそうな顔をしている。
「ドルクは……すぐに戻ってくるんだよね……?」
「ん? まあ、そうだな……」
「じゃあ、よかった……」
「え……?」
「私、ここで待ってるから、ドルクだけで彼女たちをマルークス王国まで送ってあげて」
「え、うん。わかったよ……じゃあ、行ってくる」
どうもルミナは、マルークス王国を避けているようだった。
なにか事情がありそうだとは思っていたけれど……。
もしかして、ルミナもマルークス王国から来たのか……?
それは、いかにもあり得そうな話ではある。
マルークス王国から俺のように、家出をして別の国へとなれば、真っ先に候補にあがるのがここレンディオン王国だ。
なにか、ルミナにはマルークス王国に近づきたくない理由でもあるのかも……。
まあ、俺だってそれは同じだけど……。
ということで、俺は獣人さんをマルークス王国へ送り届けた。
転移スキルを使えば、一発だ。
マルークス王国の顔見知りの教会に、いろいろ世話をしてもらえるように言っておいた。
調味料で稼いだ金も、いくらか握らせてある。
だからまあ、彼女たちはもう大丈夫なはずだ。
「で……、本当にいっしょにくるのか……? シャル」
「にゃあ……私は、ドルクと一緒にいたいにゃ」
「はぁ……わかったよ。じゃあいっしょに、ルミナのもとに戻ろう」
「にゃあ! ドルクとこれからも一緒にゃ!」
ということで、シャルだけは、いっしょに連れて帰ることになった。
なんだか知らぬ間に、どんどん仲間が増えている気がする……。
あ、もしかしてこれが例のハーレム体質とかいうやつなのか……!?




