一時の別れと謎の冒険者
「あ、えっと、どちら様でしょうか?」
「いやいや!そういうのはクエストの最中でも問題無いでござる!早速一緒に!さあ!」
「え、いや私は一緒に来た人が」
いきなり手を取って受付に歩いて行く冒険者。その勢いにスノウは完全に飲まれていた。
「えっ?やっぱり拙者の事が気になる?先に知りたい?……ならばお教えいたしましょう!拙者は……」
「おっ!そこに居たかスノウ!」
「この声は……セインさん!」
冒険者に絡まれていたスノウに声をかけたのはセインである。彼女が困っているのを見て、すぐにやって来た。
「俺と一緒に行くって言ってただろ?あまり先に行くなよ!……そういう訳だから、お引き取り下さい。」
「あっ、ちょっと待つでござるー!」
(セインさん、ありがとうございます!)
(気にすんなよ!さっさと行くぞ!)
二人が急いで歩く中、後ろからは冒険者が慌ててついて行く。
そして現在、二人はオルガとは別の受付まで逃げ、クエストを探している途中である。
「成る程ね。力をつけるってのは俺も必要だ。どうする?今回俺と一緒に行ってみるか?」
「セインさんと!是非お願いします!」
「ああ!任せてくれよ!んじゃ早速受付に行きたいが、道具買ってくるからしばらく待っててくれ!」
セインは道具屋へと走っていく。それを見届けたスノウの後ろから、再びさっきの冒険者が現れた。
「どうも!また会ったでござるな!」
「あ、さっきの人!しつこいです!」
「お、お願いでござるよ!拙者はお主と一緒にクエスト行きたいでござる!」
「……一応聞きますけど、何で私なんですか?」
じーっと冒険者を見るスノウ。するとその冒険者は即答する。
「それはもちろん、お主が今話題の冒険者だからでござるよ!拙者も一緒に冒険してみたいと思うのは当然でござろう!」
「そ、そうなんですか。」
「それに、普段行かない他の人とも行くと、色々勉強になるでござる!強くなるには必要では?」
「た、確かに!」
セインが戻って来ると、スノウと冒険者が意気投合していた。それを見たセインは、スノウから先程の話を聞かされるのだった。
「勉強ね……それで一緒に行く事にしたのか。まあ、同じ協会の冒険者だし、スノウがいいなら問題無いだろうな。じゃあ、今回はよろしくな!」
「よろしくお願いするでござる!」
「よろしくお願いします!」
「駄目か、先客がいる。ここで手続きしようと思ったんだけどな。」
「では、先程の受付に戻りましょうか。あっ、その前にオルガさんの所に行ってきます!」
三人は元の受付に向かったが、ここはもう人が並んでいた。そこでスノウが依頼を受ける事を伝えるべく、オルガへ近づく。
「オルガさん!私、今回はオルガさんと別れて、別の人と冒険したいんですが、どうでしょうか?」
「そうか。ちょうど俺も別の人に誘われたんだ。たまにはこういうのもアリじゃないか?」
「はい!でも、オルガさんはどんな方に誘われたんですか?」
「今は居ないから紹介出来ないが、多分いい人だろう。お前の方はどうだ?」
「まだ分かりませんが……悪い人では無さそうですよ!」
そう言うスノウの隣にセインが駆け寄る。
「心配無いぜ!俺も一緒に行くからな!オルガも自分の冒険、楽しんでこいよ!」
「セイン!お前がいるなら安心だな。任せていいか?」
「ああ!」
安心した様子のオルガはスノウとセインにハイタッチをして、一旦別れるのだった。
「頑張りましょうね!オルガさん!」
「だな!俺も負けないぞ!」
オルガと別れた三人は、先程のもう一つの受付に向かう。
「それで、貴方の受けたいクエストはどれですか?」
「これこれ!これでござる!」
「ちょっと待て!まずは自己紹介しようぜ!今回一緒に行くんだからな!」
「あっ、そうでござるか!ならばお教えいたしましょう!」
セインの提案を受け、冒険者は自分の被っているフードを取る。そこに居たのは……赤髪の少女。黒い軽装をまとい、腰には真っ黒で先の尖った小刀が掛けられている。
「拙者はクナイ!クナイ・ツールと申す者です!よろしくでござる!」
「私はスノウ・ミストホワイトです。よろしくお願いしますね!」
「俺はセイン!よろしく頼むな!」
そして三人は受付に到着した。早速クナイが受ける予定の依頼書を持って、カウンターへ声をかけた。
「たのもーでござる!依頼を受けたくて来たでござるよー!」
「はい!今行きます!」
「あっ、おいこの声って。」
「ですね。すぐ分かりました。」
「お待たせしました!それでは依頼を拝見します!」
そこに現れたのは、メイド服を着た緑髪の女性……モルモーであった。




