その頃の古巣
今回は物語の始め、スノウとモルモーの所属していたギルドの話になります。よろしくお願いします。
ここはとある冒険者ギルド。かつてスノウとモルモーが、冒険者と受付として働いていたギルドである。冒険者協会からだいぶ離れた場所にあるここで、二人の冒険者が話をしていた。
「いやー!依頼達成!これからもジャンジャン稼ぎまくるぞ!なあグレン!」
「おう!最強の俺達にかかれば、このくらい朝飯前だぜ!なあライト」
二人はそう言って、ギルドマスターの元へと向かう。そこでは一人の男性が書類を書いていた。
「よっ、お疲れさん。グレン、依頼は達成出来たか?」
「おう!これを見てくれ!」
グレンと呼ばれた冒険者は、カバンの中からドラゴンの牙を取り出し、それを受付仕事をしているギルドマスターに渡す。彼はそれをじっと見て……。地面に叩きつけた。
「お前ら……馬鹿にしてるのか!?」
「お、おう?」
「これのどこがドラゴンの牙だ!ウルフの牙だろうが、クソが!また依頼失敗かよ!」
「あっはは!そんな怒んなって、次があるさ!」
「だな!俺達を誰だと思ってるんだ!」
ニヤニヤと笑う二人、その様子を見たギルドマスターは怒りをぶちまける。
「この馬鹿共が!ウチのギルドは最近の依頼失敗が続いて火の車なんだよ!お前ら二人のせいでな!……だいたいお前らがモルモーを止めていれば、こんな事にはなってなかったんだぞ!何でアイツが出て行くのを止めなかったんだ!?」
「だ、だって仕方ないだろ?アイツは魔族なんだし。」
「そうそう!ここは人間が仕切ってるんだ、魔族なんかいらないんだよ!」
まるで何も分かってない様子の二人。それを見て周りの冒険者達もひそひそ話をしていた。
「あの二人がモルモーを追い出したって自慢してた時はスッキリしたけど、こんな事になるなんてね……。」
「まさか協会の一流冒険者として名を上げるとは……。見る目が無かったのかもな。」
怒ったギルドマスターは尚も言葉を続けている。
「そもそもモルモーが居なくなったのは、友人のスノウが消息不明になったからだろう?何でそんな事になった!?」
「俺達が知るわけ無いだろ?」
「貴様ら……。もういい!破門だ!二人をここから追放してやる!」
「「……へっ?」」
グレンとライトは顔を青くしてギルドマスターを見る。
「ちょっと待てよ!魔族なんか必要無いだろう?俺達が何で追い出されなきゃならないんだ!」
「黙れ!それならモルモーを連れ戻して来い!スノウが見つかれば戻って来るだろう!」
「そ、そんな!アイツは……。」
「うるさい!とにかく二人を連れ戻すまで戻って来るな!」
そしてマスターに外に追い出された二人は……。
「ど、どうする?俺達は野良冒険者になっちまったぜ?」
「な、何、大丈夫だ。モルモーが出て行った時、スノウが死んだ事には気づいてないようだった。アイツが戻って来たといえば、きっと帰ってくるさ。」
「そ、そうだな。しかし、もう何年になるかな。あのダンジョンにスノウを突き飛ばした日は。」
「あの顔、傑作だったよな!普段から気に入らない奴だったが、あんな顔が出来るなんて思わなかったぜ!」
[思い出話]に花を咲かせるグレンとライト。そして話もそこそこに、二人は街の外へ向かう。
「まずは冒険者協会に行くか。ここからかなり遠いが、奴はここの所属、探せば見つかるはずだ!」
「そしたらギルドマスターに突き出してやろうぜ!あのクソジジイがどんな顔をするのか、見物しなきゃな!」
「金は道中で何とかするか。どうせすぐには戻れないんだから、依頼でも受けながら向かうとしようか。」
その道中、街の中心部に大勢の人が集まっているのを目撃する二人。興味を持ったライトははそこにいる男性に問いかけた。
「なあアンタ、随分賑やかじゃないか。何かあったのか?」
「ん?知らないのか?今冒険者協会の一大イベントが行われているんだ。協会のマスターとマネージャー、二人で勝負してるんだとよ。」
「へぇ。そうなのか。」
「おい!早く行こうぜ!俺達の旅はこれから始まるんだ!」
「おう!今行く!」
そして二人は門をくぐり、協会へ向かって歩いてゆくのだった。
街の人が覗いているマスターとマネージャーの闘い。そこのコロシアムに映っている、蒼い髪の魔族の少女、メイド服を着た緑髪の女性の姿に気づかぬまま。




