私はもっと強くなる!
間が開いてしまって申し訳ありません。続きを投稿させて頂きます。よろしくお願いします。
模擬戦が終わった次の日。トレジャールの街は大勢の人達でごった返していた。協会で依頼を受ける人、協会に依頼を出す人、折角だから観光をしようと考える人、自宅に帰ろうとする人。様々な人がいる中、へカテリーナは真っ先にある人物に会いに行っていた。
「お邪魔するわよ。」
「あっ、カティ!いらっしゃい!よくここが分かりましたね。」
へカテリーナが訪ねたのはスノウの泊まる宿屋。彼女がここに居ると聞いて、駆け足でやって来たのだった。
「昨日はお疲れ様でした。怪我の方は大丈夫ですか?」
「一日経てばもう平気よ。それにしても、槍で刺されて丸焦げにされて……昨日は散々な一日だったわ。」
「でも、カティが負けるなんて思わなかったな……。フーシャさんにも簡単に勝てると思っていたんですが。」
「マネージャーが予想以上に強かったってだけよ。現役で協会をまとめてるんだから、強くなるのは当たり前よね。」
腕を組んで壁に寄り掛かるへカテリーナ。すると彼女はスノウへ質問をする。
「そういえばスノウ、槍はどうしたの?協会に来てから一回も見てないのだけれど。」
「あー……。あの槍を使うには、私はまだまだ力が足りないみたいです。以前使おうとしたら、手が吸い付いて離れなくなっちゃいました。」
「そう。って事は強くなれば使えるわね。」
へカテリーナはスノウをじっと見つめながら、言葉を続ける。
「今の貴方は前よりも格段に強くなっているわ。でも、まだまだこれから!もっと強くなって、私に追いついて来なさい!自由に生きる為にも、必須になるわよ?」
「はい!目指せ一流冒険者!目指せ自由な生活、です!好きに買い物したり、冒険したり……ってあれ?」
「どうしたのよ?」
首をかしげるスノウ。へカテリーナは気になって質問する。
「それって最近モルモーさんと……。ううん、その前に皆で……そうか!そうだよね!私が欲しかった自由は!」
「あら?もう手に入ったのかしら?」
「はい!それで私、友達がたくさん出来たんです!カティも見ましたよね!?それに、昔の友達にも会えたんですよ!他にも……」
「フフッ。良かったじゃない!それなら目標の一つは達成ね!」
「はい!だから!」
笑顔になるへカテリーナ。スノウは彼女を見て、頭を下げた。
「カティ、私にここを教えてくれて、ありがとうございます!カティに会えなかったら、今の私は無かったと思います。」
「私じゃ無いわ。これは貴方が選んだ運命よ。」
「でも!」
「はい!この話はおしまい!続きは今度聞かせてくれないかしら?こういうのは落ち着いて話を聞きたいから、ね?」
「えっ?今から何処かに行くんですか?」
「あー、まあね。マスターとして色々気になる事もあるし。でも大丈夫よ。私は貴方を近くで見守ってるから!」
へカテリーナはスノウの頭をぽんと叩いた。
「もっと強くなりなさい!貴方なら出来るわ!」
「もちろんです!いつか貴方を超えてみせます!」
「ええ!じゃあ、またね!」
するとへカテリーナは風の魔力を纏う。スノウが風の強さに目を閉じ、次に開けると彼女の姿はもう無かった。
「よーし!頑張るぞ!もっと、もっと強くなるんだー!」
◇◇◇
「もう!マネージャーは何処よ!?折角お祝いのスイーツ買ってきたのに!」
ここは冒険者協会。モルモーはフーシャを探して廊下をうろうろとしていた。すると宝物庫への曲がり角で、マスターのへカテリーナの姿を目撃する。
「あれはマスター!?それなら、伝えたい事があるのよ!」
モルモーは急いで廊下を走り、彼女へ声をかけた。
「待って!マスター!」
「!?」
驚いた様子のへカテリーナ。モルモーは追いつくと彼女の両手を握りしめた。
「ちょっ!?どうしたのよ貴方!?」
「ずっと会いたかったの!ようやく言える!貴方のお陰で、スノウさんとまた会えたの!」
「そう……貴方があの子の友達、ね。」
へカテリーナはモルモーの頭をそっと撫でた。
「それは良かったわ。でも、それはあの子と貴方が頑張ったからよ?貴方が強くなってなければ、会うのはまだまだ先だったかもね。だから……。」
「だから?」
「もっと強くなりなさい!あの子に、あの子の友達に何かあった時、守れるように!」
「ええ!私はもっと強くなるわ!」
「……さて、それでは私は失礼するわ。予定が入ってるのよね。」
へカテリーナはモルモーの頭を撫でた後、風の魔力を体に纏う。
「じゃあね!また会えるのを楽しみにしてるわよ!」
そして暴風が吹き荒れ、モルモーが気づいた時には誰も居なくなっていた。
「行ってしまったわね。……よし!お礼も言えたし、マネージャーの所に急がないと!」
「って事がさっきあったのよ。」
「宝物庫に居たフミャか。会わなくて良かったフミャー。マスターはおっかないフミャからね。」
ここはマネージャーの部屋。モルモーはフーシャとタルトを頬張りながら、彼女の勝利を祝っていた。
「ま、それはそれとして、早速始めるわよ!」
「任せてフミャ!」
二人はグラスを取り、ジュースを入れると天高く上げ、乾杯をするのだった。
「モルモーちゃん、これ返すフミャ!ありがとうフミャ!」
「了解よ。役に立って良かったわ。それにしても、あれだけのアーティファクトを使いこなすなんてやっぱり凄いわね。」
「それはマネージャーだからフミャよ!もっと褒めてもいいフミャ!」
魔香器をフーシャから受け取り、モルモーはそれをポケットにしまい込んだ。
「そうそう、ちょっと気になったのだけれど、模擬戦で使ったあのお札って何かしら?」
「あれはβクラスのアーティファクト、瞬転札フミャ!貼り付けた物を念じた場所に瞬間移動させる物フミャ。」
「だからあんな芸当が出来たのね。ホント凄いわ。」
お菓子をつまみながら、二人での時間が過ぎてゆく。するとモルモーは、思い出したかの様にフーシャへ話しかけた。
「でも、観客席の奴ら、好き放題言ってたわよ。あの場は大人しくしてたけど、マネージャーは相当弱く見られてたのね。」
「心配無いフミャ。私は普段から猫被ってるフミャから。」
「猫?」
フーシャはそう言って、頭の帽子を両手で撫でていた。
「この帽子もアーティファクトフミャ。被ってるだけで周りを索敵してくれるフミャ!かわいいしビームも撃てるし、油断してると痛い目みるフミャ!」
「怖いわね……私はマネージャーを舐めないようにしないと!」
「モルモーちゃんがそんな子じゃないのは私がよく知ってるフミャ!さあ、今からいっぱい食べるフミャー。」
「そうね!色々話しながら、のんびりと頂きましょう!」
そして二人は夜遅くまで、部屋の中でくつろぎ続けるのだった。




