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魔弦の使徒 目指せ一流、魔族少女の冒険者ライフ!  作者: ゆん。
第五章 最強の冒険者

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増える攻撃、伝導玉!

「あちゃー。もう始まってたみたいよ!」


「ウム!ここからは我々も応援に入るとしよう!」


 協会の職員であるクリスとガルスがコロシアムに着いたときには、既にへカテリーナとフーシャが闘いを始めていた。二人はあらかじめ予約していた席に座り、戦況を観察する。


「お?良いんじゃないかな!今の所はマネージャーが押してるわよ!」


「見事なものだ!だが、相手は最強の冒険者。ここまでは遊びの可能性もあるな!」


「確かにね……。油断なんてしないと思うけど、気をつけてもらいたいわね。」



 二人は話しながら、コロシアムの闘いの続きを見るのだった。















 ◇◇◇


「行くわよフーシャ、これが私のアーティファクトよ!」


 へカテリーナがポケットから出したのは小さなカプセル。指でつまみ、それを地面に落とすと煙が立ち込め、中から手のひらサイズの玉が現れた。


「フミャ?さっきの魔力の玉に似てる?でも通じないフミャよ!」


「さあ、どうかしらね?」


 するとへカテリーナは再びポケットに手を入れ、次はカプセルを二つ取り出す。それも地面に落とし、合計三つの玉が彼女の側に集まった。






「行くわよ!伝導玉(でんどうだま)!」


 へカテリーナの指示と同時に、三つの玉は一斉にフーシャの下へ飛んでゆく。フーシャは蹴り落とそうとするが、的が小さく当てる事が出来ない。


「すばしっこいフミャ!当たらないフミャよ!?」


「喰らいなさい!ライトニング!」


「か、雷フミャ!」


 へカテリーナから撃たれたのは巨大な雷。それを見たフーシャは即座に地面を蹴って横方向に転がり避ける。その様子を見たへカテリーナは何故か笑みを浮かべている。


「かかったわね!さっきのお返しよ!」


「フミャ!?」


 雷光が狙ったのはフーシャではなく……伝導玉の方であった。攻撃を受けた伝導玉は一斉に輝き出し、猛烈なスピードでフーシャへと迫る。


「速い!逃げるフミャ!」


「逃さないわよ!撃ちなさい、伝導玉!」


 三つの伝導玉が光り、フーシャに向けて雷光を放つ。それはへカテリーナが撃った物と全く同じ物だった。




「フミャ!?コピーフミャか!?」


「便利でしょ!βクラスのアーティファクト、伝導玉。私の攻撃と同じものを再現して、それで攻撃するの。」


「つ、つまり……本体含めて攻撃の数が四つになるフミャか!?早く撃ち落とすフミャ!……ウインドストーム!」


 再び魔法を放つフーシャ。しかしそれは伝導玉を僅かに揺らしただけで、ダメージにはなっていない。


「次はこれよ!ヘルフレイム!」


 フーシャの足元が急に赤くなり、彼女はそれを避ける。そこから吹き上がるのは炎の柱。するとその柱に伝導玉が突っ込んでゆく。





「ま……またフミャか!?」


「魔力の節約って良いわよねー。どんどん強力な魔法を使えるんですもの。」


 涼しい顔をしているへカテリーナと反対に、フーシャは地面を転がりながら必死に攻撃を回避し続ける。そんな彼女に炎の柱を吹き出す伝導玉が迫っていた。


「ふ、フミャー!?そんなの避けきれないフミャァァァ!?危ないフミャー!」









 ◇◇◇


「凄い!これがカティの戦い方ですか!頑張ってくださーい!」


「物量で押す戦法だね。それも一個一個がとっても強いよ!」


「私には真似出来ません……。これが、マスターの実力……。」


 スノウは喜び、気絶から復活したナッツとリゼは驚愕の表情を浮かべている。圧倒的なへカテリーナの攻め方、それを見て他の観客席でも歓声があがっている。






「流石は協会のトップ!マネージャーなんて目じゃないぜ!」


「しかし、さっきから避けてばっかだな。やはりマネージャーは雑魚だったんだな!」













「アイツら……マネージャーの事を馬鹿にしてるわ。一発殴ってこようかしら?」


「その必要は無いわ。貴方も見れば分かるんじゃない?」


「……アンタ、戻ってきたの?」


「ええ。マネージャーを推す者同士、一緒に応援しない?」




 レイの席の隣にモルモーが座り、二人はポップコーンをつまみながらフーシャを応援をしている。



「今はマネージャーは押されてるわよね?さっきと違って防戦一方よ?」


「確かにそう見えるわよね。でも、実際はマネージャーがマスターを手玉にとってるのよ。」


「……え?」


「慌てて避けてる様に見えて、マネージャーには全部分かってるの。どこに逃げれば安全か、自分の負担にならない場所はどこか、ってね。」


 モルモーの指摘を受け、レイはフーシャの顔に注目する。彼女は一見慌てており、ギリギリで攻撃を避けている。しかし……









「笑ってる……?」


「ええ。彼女には見えてるのよ。」


 一瞬、慌てている顔から笑顔が見えた。そしてまた慌てた顔になり、攻撃を避ける。それも一見ギリギリのようで、「それが分かる」冒険者の目から見れば「最適な場所」へ。



「もしかして、マネージャーは!?」


「魔力が底無しでも……そしてどんな強者にも……必ず隙は出来る!彼女はそれを待ってるのよ!だから心配はいらないわ!」












 ◇◇◇


 雷に炎、二つの攻撃に襲われるフーシャ。彼女は必死に攻撃を避けているが、遂にバランスを崩し、その場に尻餅をついてしまった。


「あっ!?立てないフミャ!?」


「ここで終わりかしら?始めに言った通り、それなりには楽しめたわよ!」


 へカテリーナは伝導玉を飛ばし、フーシャへ接近させる。二つは雷光、一つは劫火の魔力を宿し、彼女を取り囲んだ。



「さあここまでよ!勝利は頂くわ!」


 へカテリーナは伝導玉に指示を出し、三つの玉は一斉にフーシャへ攻撃を放つ。コロシアム一帯に雷撃と炎が巻き起こり、辺りを爆風が包み込んだ。


「お疲れ様。まあ、マネージャーの威厳は保てるんじゃない?私相手に戦えたんだから。」


















「そうフミャね。私相手にここまで戦えるとは、流石マスターフミャね。」


「……!?」


 ハッとしたへカテリーナが後ろを振り向くと、そこには今仕留めたはずのフーシャが立っていた。その足元には伝導玉が三つ、転がっている。


「今の攻撃を!?どうやって!?」


「さぁ、どうやったフミャかねー?でもマスター、それと私をちょっと馬鹿にしている他の人達!これだけは言わせてもらうフミャよ!」


 何故かへカテリーナだけでなく、観客席へも大声でアピールしながら喋るフーシャ。そして、その直後。











「あまり私を舐めない事フミャね。」


「っ!?」


 コロシアムに広がっていたへカテリーナの魔力。それを上書きする程の凄まじい魔力を放つフーシャ。彼女はポケットから槍の形をしたペンダントを取り出し、首にかけた。




「戦いはここからフミャ!マネージャーの本気をお見せするフミャァァァ!」



今回も読んで頂き、ありがとうございます。続きが気になる、面白かったと思って頂ければ幸いです。もしよろしければ、ブックマーク、評価を入れて頂ければ嬉しく思います。

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