トレジャールへの帰還、いざ協会へ!
今回から第五章に突入します。よろしくお願いします。
獣の街、ケモリアの防衛任務を達成した四人。彼女達を乗せた馬車は、ようやくトレジャールの冒険者協会に帰ってきた。
「お客さん!着いたよ、中央都市トレジャール!」
「本当か!?いやー、長かったな!」
「確かに。やはり数日続くと退屈になるものだ。……お代はこれで頼む。」
「おっ。タダでもいいのに、律儀だねぇ。」
オルガが運賃を騎手に渡し、セインと一緒に馬車を降りる。その中ではナッツとスノウがまだ寝ていた。
「起きろ!もう着いたぞ!」
「「はーい。」」
「お疲れ様!また使ってくれよな!」
四人が降りると、馬車はすぐに来た道を戻っていった。
「さあ、入ろうか!」
「「「おー!」」」
「おー!来たか!お帰り!」
「門番さん!お久しぶりです!」
「いやー!随分たくましくなったな!皆成長したようだ!」
「色々あったからな。」
門番に声を掛けられ、スノウとオルガは久しぶりに言葉を交わす。そして門を開けてもらうのだが……。
「そうだ!ここを抜けたらすぐに協会に向かってくれ!寄り道はしないで!さあ、急いだ急いだ!」
「えっ、いや、まずはご飯を食べ」
「駄目だぞ!早く行きなさい!」
「は、はい……。」
門番に急かされ、四人は協会に向かう。
「何かあったんでしょうか?」
「モルモーに色々言われただろ?説教の続きじゃないか?」
「それはありえないだろ。あれだけ言われたんだからもう大丈夫じゃないか?……不安だけど。」
「ごはんごはんー。僕もうおなかペコペコだよ!」
四人は街を通り、遂に協会の入り口に着いた。ナッツはお腹をこすり、他の三人は緊張の面持ちで入り口に立つ。
「何か怖い。オルガさん、先頭お願いします。」
「……ちょっと待て!何で俺なんだ!?」
「街に入る時、さあ行くぞって仕切ってたじゃないですか。」
「お?オルガも説教は怖いのか?」
「煽るな。……分かった、俺が入るよ。」
オルガの後ろに三人が立ち、彼はそのまま門に突入を試みる。勢い良く門を開け、協会に足を踏み入れる。
「オルガさん、早歩き、早歩き!」
「何かある前にすぐ行くぞ!説教なら早く終わらせて、飯で気分転換だ!」
「やっぱり怖いんじゃねぇか!俺も怖いから併走するぜ!」
「よし!セイン、二人で突っ込むぞ!」
ずいずいと進む二人。スノウとナッツは二人を追うが、その過程で異変に気づく。
「変ですね。まだお昼前なのに、誰も居ない。本当に何かあったんでしょうか?」
「どうかな?もし何かあったなら、門番さんは外に居ないよね……?」
やがて四人は協会の受付に辿り着く。そこでは受付担当のクリスが書類に目を通している所だった。彼女は四人に気づくとすぐに笑顔になった。
「お!帰ってきましたね!」
「クリスさん!他の人達はどうしたんですか!」
「スノウさん!いやー、ちょっと困ったことがあってね……。」
「俺達が居ない間に何かあったのか?」
「うーん。何と言うべきか……。」
何故か言葉を濁すクリス。スノウとオルガ、二人と話している時も、しきりにチラチラと、奥の扉を見ているようだった。
「ねークリスさん。あの部屋に何かあるの?」
「えっ!?……いやー!そんな事ないんだけどね!でも、あそこは絶対に入ってはいけませんよ!」
「もしかして……敵襲ですか!皆であそこに何か閉じ込めてるとか!?」
「……えっ!?いやいや、そういうわけでは無いんだよ!ホントホント!」
予想外の事態が起きているのか、クリスは慌てて否定した。しかし四人の顔は一気に不安そうになる。
「……ケモリアでも言われたもんね。僕達は弱いって。」
「今回は殴り込む訳にもいかないな。完全に足手まといになる。」
「ちょっと待っててくれ!今門番さん連れて来るから!オルガ達は避難しててくれ!」
「私も行きます!」
「えっ、あの!?」
セイン達二人が門に走り出し、その場に残った三人。ナッツはクリスの手を引っ張っている。
「早く逃げなきゃ!僕達は安全な所へ!」
「急ぐぞ!敵に見つかったらまずい!」
「何か勘違いしてる!?そういう意味で入っちゃ駄目って言ったわけじゃ……。」
クリスの言い訳も虚しく、彼女は二人に引っ張られ、外に連れ出されてしまった。
「それでこれか。何かあったのか不安になったが、だからちゃんと説明しろと!」
「ハハハ……。この展開は予想外でしょ……。だってまだ準備が……。」
クリスは走ってきた門番に説教を受けていた。それを四人はじっと見ているが、我慢出来なくなったのか、セインが口を開いた。
「なあ、あの中で何かあるのか?入ったらヤバいのか?」
「……あー!もう成り行きに任せるわ!皆、ついてきて!」
「あ、ああ。」
クリスは駆け足で受付に戻り、四人もそれについていく。そして着いたのは、先程の部屋であった。
「何か紛らわしい事しちゃってごめんね?まだ準備出来てないと思ったから、つい……。」
「何の事だ?」
「見てもらった方が早い!さぁ行くわよ!四名様ごあんなーい!」
「うわっ!押さないでよ!」
「危ねえ!バランスが!」
「転ぶ!転んじゃいます!」
後ろからクリスに押されて、部屋になだれ込む三人。オルガは歩いて入ると、そこにあったモノに息を呑んだ。
「こ、これは……。」
四人の目の前に広がった光景、それは……。
「「「「「みんなー!依頼達成、おめでとうー!」」」」」




