ケモリア防衛終了!/謎の来客
合計70話目、今回で4章終了になります。よろしくお願いします。
飲んで騒いでまた飲んで。数日間続いた宴があっという間に終わり、皆は手配された冒険者の到着を待っていた。
「もうすぐだな。そうしたら俺達のクエストも達成になる。後は帰るだけだ。」
「何だか寂しくなりますね……。結構長く居ましたから、不思議な気持ちです。」
「俺はつい最近だが、色々あったもんな。うん。」
「皆そんな顔しないでよ!また来る事は出来るんだから!」
ナッツが三人を励ましつつ、帰路に着く為の馬車を連れて来た。これに乗って協会に帰れば依頼は終了である。
そして協会からの馬車が街の入り口に到着する。馬車から外に出て来た冒険者がレオンに挨拶し、早速荷物を中に運び始める。
「レオンさんですね!こちらは冒険者協会です。手配された資材を届けに来ました。しばらくは我々がここを守ります!」
「ありがとうございます!よろしくお願い致しますぞ!」
「それと冒険者の皆様、今回はお疲れ様です。協会への報告を済ませたら、しばらくはゆっくりと休むと良いでしょう。では、失礼します!」
冒険者達はそう言って、街の中に入っていった。
「来たな。それではそろそろ行こうか。レオン、今回の件は世話になったな。」
「オルガ殿!こちらこそ感謝致しますぞ!それとナッツ!」
「何々?おじさん何か気になる事あった?」
するとレオンはナッツの頭をそっと撫で、体を抱きしめた。
「お、おじさん!?恥ずかしいよ!」
「お前も頑張ったな!これからどんどん精進して、皆様に迷惑をかけないように!それとたまには顔を見せに帰って来てくれると嬉しい。それと……」
「おじさん多いよ!……分かってる。僕はもーっと強くなって、一流冒険者になるんだ!」
「そうだな、応援してるぞ!何かあったら力になるから、いつでも言ってくれ!」
「うん!それじゃ……皆、行こう!」
ナッツが先に馬車に乗り込み、続いて三人も馬車に入る。そして馬車が動く中、スノウは大声でレオンにお礼の言葉をかけるのだった。
「レオンさん!お世話になりましたー!」
「皆様、また来て下され!歓迎いたしますぞー!」
そして四人は馬車に揺られて、協会に向かって行く。
「また皆で来ましょうね!今度は落ち着いて観光でもしたいなー。」
「ああ!その為にも頑張ろうぜ!目指せ一流冒険者、だろ?」
「うん!お金を貯めて、色々買い物したいな!」
「……少し寝させてくれ。ずっと騒いでたから疲れた。」
そう言ってオルガは目を閉じ、うとうとし始める。それを見て三人も……。
「それでは私達も寝るぞー!」
「「おー!」」
馬車に揺られながら、のんびりと帰路に着くのだった。
◇◇◇
「うーん!今日はいい天気フミャね。」
ここは冒険者協会。フーシャは太陽の光に当たりながら、のんびりと窓で日向ぼっこをしていた。すると部屋の扉からノックの音が響く。
「どちら様フミャー?」
「私よ私。入るわね。」
入ってきたのはモルモーである。その両手には騎士を縛った縄が握られていた。
「今回の黒幕、連れて来たわよ。」
「ご苦労さまフミャ。それでは私が話を聞いてあげるフミャ。早速椅子に座るフミャ。」
「了解。それでは私は失礼するわ。色々やりたい事もあるしね。じゃあ、また後で!」
「お疲れ様フミャ!」
モルモーが騎士を引き渡し、部屋を出ていく。フーシャは椅子に二人を座らせると、自分もドシンと椅子に腰掛け、二人を見るのだった。
「さて、始めるフミャ。」
「何だこのガキ?こんなのが協会のマネージャーなのか?」
「大した事なさそうだな!おい!この縄を解け!でないとタダじゃおかないぞ!」
喚き散らす騎士達。それを見たフーシャは二人にそっと近寄った。
「もー。マナーがなってないフミャね。そんなひどい事言ってると……。」
「お?何だやるのか?俺達はヒューマニアの騎士だぜ?」
「その首落ちるわよ?」
「ヒッ、ヒィィィィィ!?」
フーシャから魔力が溢れ、二人を掴み上げる。顔は笑っていたが、その目は笑っていなかった。
「さっさと教えてもらうわよ。本当の黒幕は誰?場合によっては今すぐ死ぬ事になる。」
「わ、分かったよ……黒幕は……み、」
「そこまでです。」
「……誰!?」
フーシャと騎士達三人しか居ないはずのマネージャーの部屋。そこには……エプロンを掛けた女性が一人立っていた。
「その二人、こちらで回収させてもらいますね?」
「……なっ!?」
フーシャが見たのは二人の騎士を抱えた女性だった。騎士達は顔を真っ青にし、その手から逃れようと暴れている。
「た……頼む!助けてくれ!次あそこに行ったら殺されちまうよ!」
「知りません。ミスをしたのですから、相応の罰が必要でしょう?」
「……チッ!」
フーシャは手元に槍を持ち出し、女性目掛けて突き立てる。だが女性は一人を降ろして指先で止め、涼しい顔をしながら二人を抱え直した。
「……人の部屋に入る時はノック位したらどう?無作法じゃない?」
「緊急事態ゆえ仕方なく。それではこの二人はもらっていきます。」
「王都の刺客?失敗した奴の処分……って所かしら?」
「さあ、どうでしょう。それと、ここで殺り合うのは得策では無いかと。部外者に侵入を許すマネージャーでは、評判が落ちますよ?」
槍を握り締め、女性を睨みつけるフーシャ。その目には確かな殺意が込められていた。
「その二人には聞きたい事があるの。渡すわけにはいかないわ。」
「お断りします。それに……流石、ここには粒が揃っている。これ以上は面倒になりそうなので、失礼します。」
「させるか!」
槍を投げつけたフーシャ。しかし、投げた先には誰も居ない。そのまま槍は部屋の壁に突き刺さり、同時に部屋のドアが勢いよく開いた。
「マネージャー!敵襲ですか!?賊はどちらに!?」
「……クリスちゃん。駄目フミャ、逃げられちゃったフミャ。」
入ってきたのは受付担当のクリスである。彼女はすぐに来たつもりだが、敵は既に消えていた。
「すぐに追手を手配します!何なら私が……。」
「いいフミャ。これも想定内フミャ。わざわざここまで来たのだから、黒幕は間違いなくヒューマニア……フミャね。」
「そ、そんな……。ここを潰す気なんでしょうか?」
ヒューマニア……その言葉を聞き震えるクリス。彼女をそっと撫でた後、フーシャはのんびりと日向ぼっこを再開し始めた。
「フミャー。どうフミャかね。でも、私が居るから大丈夫フミャ!クリスちゃんは、受付の仕事に戻って欲しいフミャ。……お願いするフミャ。」
「……は、はい!すぐに戻ります!」
クリスは頭を下げ、受付に戻る。彼女を見送り、日向ぼっこを続けながら、フーシャは一言呟くのだった。
「でも……舐められっぱなしは癪に障るわ。ここは一つ、牽制球でも投げてみようかしら?」
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。次も読んで頂ければ、嬉しく思います。




