卒業試験
「それでは今から、卒業試験を開始するわ。って言っても、今の貴方なら簡単にできると思うけど。」
「試験……遂にこのときが来たんですね。緊張します。」
修行が始まり早くも半年。遂にスノウが卒業する日が来た。カティは彼女を見つめ、自信満々に頷いていた。
「それでは試験内容は!スノウ、左腕の再生をやって頂戴!」
「え?」
何を言っているのか理解出来ないスノウ。一瞬固まってしまった彼女に、カティは理由を説明する。
「私達魔族って、時間をかければ体を再生出来るの。ただ、それには魔力を上手く使えるようにならないといけないのよ。」
「……そうか!つまり、今の私なら!」
「そ!これが出来れば魔力の使い方はバッチリね!早速やってみなさい!」
「分かりました!」
スノウは魔力を纏い、左側に集める。そして再生を試みるのだが、体に変化は無い。
「……どうすれば良いんですかね?」
「……言葉不足だったわ。やり方を知らなきゃ出来ないわよね。実例を見せるわ。」
「は?」
そう言うと、カティは風の刃を手に纏い、自身の腕を斬りつけた。腕には切り傷が出来、出血も起きている。
「何してんですか!?大怪我ですよ!」
「これが実例よ。元々の形を意識しながら魔力を集めるの。そしたらその状態をキープ!戦闘中では逃げながらやった方がいいかもね。」
話してる内に、カティの傷口がみるみる塞がっていく。そして数分後には完全に塞がり、跡も残っていなかった。
「ま、こんな感じね。早速やってみなさい!」
「ええ……。」
スノウは不安そうな顔をしながら、再び魔力を集め始める。まずは左側に魔力を纏い、自分の腕をイメージした。
「元の形を意識しながら……!私の腕は!」
左腕を見ながら魔力を纏うスノウ。やがて彼女の左側に光が集まり……。
「今だ!」
掛け声と共に、左腕が伸びていた。自分の右腕と比べても、違和感は無い。完全な再生に成功したのである。
「出来た……!私にも出来ましたよ!やった!私成長してます!」
「お疲れ様!これにて試験終了。晴れて卒業になるわ。実力者になると一瞬で再生することも出来るけど、今の時点では上出来ね!」
「カティ……。」
「これで初級冒険者としては充分やっていけるでしょう。後は自分次第ね。頑張ってよ!」
「ありがとうございました!私、これからもっと強くなります。そして、いつか貴女を超えて見せるわ!」
「その意気よ!私もずっと上で待ってるから、もしかしたらまた会えるかもね。」
そして翌日、スノウはカティの小屋から外に出る。いよいよ旅立ちの時が来た。
「あっ、これを渡しておくわ。餞別よ。」
そう言ってカティが手渡したのは、蒼い槍である。
「これは?」
「貴方があのダンジョンで見つけた物よ。これは貴方が手にするべきだわ。」
受け取った槍をしまい、スノウはもう一度お辞儀をした。
「本当にありがとうございます。それでは、またいつか!」
「期待してるわよ!じゃあね!」
スノウは外に向かって歩き始めた。これから彼女の冒険が幕を開けるのである。
「絶対に一流の冒険者になってやる!そして、思うように生きていくんだ!」
決意を胸に、スノウはどんどん歩いていくのだった。
「行ったわね。貴方との半年、悪くなかったわよ。」
カティは一人で考え事をしていた。スノウの事ではなく、別の考え事である。
「次はあの子も鍛えないとね。スノウと違って時間があるから、一流になるまで特訓してあげなきゃ。」
これからの事を考えながら、彼女は空を見上げるのだった。




