戦いの後、今回の反省点
「貴方がレオンさんですね。私はモルモー、マネージャーであるフーシャの依頼でここまで来ました。」
「わざわざご丁寧に……。私はレオン、この街の長をしております。早速お願いしますぞ!」
状況確認を始めるモルモー。彼女はまず、レオンに向けてその場で礼を行った後、壊れた門へと歩いて行き、皆もそれに続いていく。
「門の損傷が酷い……。私達が倒した戦車の仕業ね。」
「戦車?それもアーティファクトですかな?」
「ええ。……こちらで修理用の資材と人員は手配させて頂きます。当面は冒険者も派遣して、安全も確保しましょう。怪我人はいますか?」
「ああ!奴らに攻撃されて、怪我人は結構いるぜ。殆どは軽症だが、こんな状態じゃまともに診るのは……。」
「分かりました。回復魔法を使える者も呼びますね。他にも防衛用の武器、食料……必要な物が沢山あるわね……。」
モルモーが頭を掻きながら、必要な物を紙に書き出していく。そして書類を一纏めにし、胸元にしまい込んだ。
「これで必要分の物資はよし……。後程送らせて頂きますね。」
「ありがとうございます。いやー、協会の皆様には足を向けて寝られませんな!」
「喜んでもらえて何よりです。それでは次は……貴方達の処遇についてね。」
続いてモルモーは、冒険者達を呼び、話を始める。
「スノウ、オルガ、ナッツ……そしてセイン。貴方達のお陰でケモリアの街を守る事が出来たわ。本当にありがとう。」
「や、やった!僕達の頑張りが認められたよ!」
「当然だろ!俺達はやり遂げたんだぜ?もっと盛り上がろう!」
「だが……その割にアンタは落ち着き過ぎじゃ無いか?何か不満でもあるのか?」
ナッツとセインは大喜び、一方オルガはモルモーに向けて疑問をぶつけていた。
「それはね……貴方達、このクエストの趣旨を分かっていたのかしら?」
「ケモリアの街の防衛だろ?それは達成出来た。」
「もう一つあったでしょ?貴方達全員無事でいることよ。」
「それも達成出来てるだろ?何が問題なんだ?」
モルモーは一呼吸置いて、四人に向かって話しだした。
「端的に言うわ。貴方達は弱い。それを少し自覚した方が良いわね。」
「……えっ?」
「私は全部見てないからそこまで怒る気はないけど、今回は運が良かっただけ。特にセインとスノウ、貴方達二人は痛感してるんじゃない?」
「「………。」」
口を閉じる二人。モルモーは更に厳しい言葉を掛けていく。
「セイン。貴方はナイフ使いにまるで歯が立たなかったでしょう。私が居たから良かったけど、あれでは最悪全滅よ。もっと腕を磨くことね。」
「あ、ああ……。分かってるよ。今回の事で痛感したわ。俺はまだ未熟だってな。」
「そしてスノウ!貴方は特に酷いわ!自分に使えないアーティファクトで行動不能になる?冗談じゃない!自分の力量も把握出来ないなら、冒険者なんて辞めてしまいなさい!」
「ご、ごめんなさい……。」
「ちょっ、ちょっと待ってくれよ!」
スノウはモルモーに向けて謝罪する。それを見て、セインが口を挟んだ。
「確かにあれはミスだったが、そのおかげでスノウが戦車を攻撃する事が出来たんじゃないか!」
「それは結果論よ。彼女が魔力を吸われて死んでいたら、その攻撃を出来る人は居たかしら?」
「そ、それは……。」
「……まあ、確かに最後は助かったけどね。とにかく、今回の事で実力不足なのが分かったでしょう?今後は貴方達全員、身の丈に合ったクエストをこなして、力をつけることね。」
「そ、それでも!」
突然スノウが声を上げ、それをモルモーがじっと見つめた。
「何よ?私は事実を言っただけよ?」
「それでも……今回は、皆無事で良かったです。」
「……。」
「貴方の言う通り、今回は運が良かっただけです。なら次は……運が良いだけなんて言われない様、もっと強くなってみせます!」
そう言ったスノウの表情を見て、モルモーはどこか安心したような表情をしているのだった。
「……頑張りなさい。これで[上位ランクとしての助言]は終了ね。それでは……。」
モルモーは思いっ切り息を吸って深呼吸をし、もう一度皆を見渡すと……。
「お疲れ様でした!ケモリアの街を守れた、これは皆様が頑張ったからですよ!ありがとうございます!」
満面の笑みで冒険者達へ話しかけるのだった。




