全員帰還!!
ここはケモリアの街の外。冒険者達がそれぞれ戦いを始めた頃、ケモリアの長であるレオンは騎士達に囲まれていた。
「見ろよ!アイツが街のリーダーだ!奴を潰せば一気に街を占拠出来るぜ!」
「早くやっちまおう!手柄は俺達のもんだ!」
騎士達は手持ちの銃を構え、一斉に射撃を開始した。しかし……レオンは避ける気配を全く見せていない。
「お?諦めたか?流石にこれだけ人数がいれば、いかに獣王と言えども……。」
「ふう。この獣王をこの程度で止めようなど……舐められたものだ!」
レオンは少しだけ体に魔力を込める。すると飛んで来た銃弾は弾かれ、傷一つつけることは出来なかった。
「な、何だと!?一斉攻撃が効かない!?」
「情けない……。そんな物で私を倒すつもりだったのか?」
攻撃が通じず慌てている騎士達。その様子を見て、レオンは斧に魔力を込める。
「よいか!敵を倒すとは……こういう事を言うのだ!」
レオンは斧を地面に突き刺すと、斧が茶色に輝き出す。するとレオンの体も呼応するように輝き出し、オーラを纏った状態になった。
「では行くぞ……ハァッ!」
「ギャン!?」
「な、何だ!?」
レオンは目にも止まらぬスピードで騎士の頭を掴み、地面に叩きつけた。その横にいた騎士には蹴りをぶつける。するとその騎士の体が弾け飛び、回転しながら木に激突。そのまま気を失ってしまった。
「な、化け物だ!皆逃げろー!」
「先にやったのはそちらだ!全員ここで終わりにしてやろう!」
逃げ出す騎士の体を掴んでは投げ、蹴り、潰す。たった一人の獣人により、数百人もの騎士達はたちまち全滅。気づけば立っていたのはレオン一人になっていた。
「この程度か。しかし随分時間を取られてしまったか!早く戻らねば街が危ない!今行くぞ!」
レオンは倒れた騎士達を無視し、全力で街へと走っていく。
そして街の門に着くと、そこにはオルガとナッツが立っているのだった。
「お二人共!大丈夫でしたかな?」
「レオン!無事だったか!いや、俺達の方は何とかなった。あれを見てくれ。」
「ん?……おお!さすがですな!大したものです!」
オルガの向いている方向をレオンが見ると、沢山の騎士が全員気絶していた。これだけの数を倒した二人を見て、レオンは少し微笑んでいた。
「お見事です!……それでお二人はどうしてここに?」
「うん!僕達今から街に突入するんだけど……門の様子が分からなくて。」
「登って入るでもいいが、待ち伏せがあったらどうにもならない。だから立ち往生してた所だ。」
するとレオンは門の前に立ち、二人を後ろに下げた。彼は斧をしまい、腕を思いっ切り回している。
「よし……なら私が開けましょう!お二人は迎撃の準備を!……ヌォォォ!」
「ああ!さあ、行くぞナッツ君!」
「うん!」
レオンは二人がそれぞれ武器を取るのを確認し、門に手をかける。すると物凄い力で押し始め、門はあっという間に動き出した。そしてすぐに人が通れるくらいの隙間が出来るのだった。
「よし……俺が先に入る。二人は後からついてきてくれ!」
「任せてよ!」
「お願いしますぞ!」
そして拳を構えながら、オルガは隙間に入っていく。
「これって……。」
「……どうやらもう終わっていた様だな。俺達は時間を使いすぎたか。」
「いやはや!皆の頑張りのお陰ですな!これで街の防衛は終了、という事ですぞ!」
三人が門から入って行くと、既に街の中では騎士達が縛られ、街の中央に集められていた。その周りにはケモリアの戦士達とゴブリン軍団、そしてリンが見張りをしながら、皆の帰りを待っていたのだった。
「お!お頭、レオン達が帰って来たぞ!」
「リーダー!怪我は無いか!?」
「ハハッ、ただいま皆!私は大丈夫だ!そっちもどうやら無事に終わった様だな!それと……。」
レオンはリンの方を向き、にっこりと笑った。
「リン殿、それにゴブリンの皆さん、皆と一緒に防衛作戦に協力してくれて、ありがとうございます!」
「い、いえ!当然の事です!迷惑をかけてしまっていたので、私達でお役に立てたのなら……。」
「ねーねー!街の人達はどうしたの?姿が見えないけど?」
「ナッツ!お前も無事だったか!皆は今役場に避難してる。安全が確保出来たら外に出てもらう予定だ。」
「……悪い。スノウとセインの姿が見えないんだが、二人も街役場か?」
「あの二人は街に穴を開けた兵器を壊しに行ったんだ!魔力に余裕があるからって言ってたぞ。」
話を聞いたオルガはナッツに目配せをする。それに気づいたナッツは軽く頷き、そっと背中を押した。
「オルガ!」
「ああ!俺が援護に行く!どの方向だ?」
「反対の門だ。大穴の空いた所から出て行ったぞ。」
オルガはグローブを嵌め直し、外に向かう。ところが……。
「その必要は無いわよ。こっちも終わったから。」
聞き慣れない女性の声。その方向にオルガが目を向けると、スノウとセイン、そしてモルモーがこちらに歩いて来ていた。
「オルガ!ナッツ!大丈夫だったか!?」
「何とかな。セイン、お前達はどうだ?」
「こっちもギリギリだった。俺は全身ボロボロだし、スノウは魔力が殆ど無い。元気なのはこの人くらいさ。」
「私だってキツイわよ。援護に行く前にヤバい奴と戦っていたんだから。それと黒幕、捕まえてきたわよ。」
三人は縛ったジェイを皆の前に放り出した。ジェイは狼狽えながらも強気の姿勢を崩していない。
「へ、へっ!俺を捕まえたからってどうにもならないぜ!今回は沢山の騎士と、強い冒険者が一緒なんだ!そのうちここに攻めて来て、お前らは終わりだ!」
「その騎士達なら俺達で倒した。ここには敵は来ないだろうな。」
「……なっ?」
「その強い冒険者って、ナイフ使いかしら?それなら私が仕留めたわよ?」
「……へっ?」
オルガとモルモーがジェイに報告すると、彼は先程の姿勢が嘘の様に狼狽え、顔を真っ青にしていた。
「……なっ、頼むよ?大人しくしてやるから、殺さないでくれよ?他の奴らはどうなってもいいから!」
「……呆れて物が言えないわね。安心して、殺す気は無いから。でも協会に突き出して、色々聞かせてもらうわよ。」
「そ、そんな……。」
モルモーの言葉に、ジェイは怯え震えるのだった。そして彼女はその場に居る皆に向けて、ある言葉を発するのだった。
「ひとまず落ち着いたかしらね。それでは、状況確認を始めましょうか。」




