それぞれの戦い!街での攻防!
「行くぞ!周りには気をつけろよ!」
「お前もな!失敗は許されないぞ!」
二人のゴブリンが、大穴からケモリアの街に侵入する。まずは周辺の確認。手に棍棒を持ち、周りを軽く見渡すが、敵は居ないようだ。
「いけるな!早速呼ぶか!?」
「ああ!早速……」
「居たぞ!敵だ!始末してやる!」
「「なっ!?」」
二人が引き返そうとした瞬間、隠れていたのか、大穴近くの茂みから騎士が現れた。突然槍を突き立てるが、二人はジャンプし、ギリギリで回避する。騎士はその様子を見て、勝ち誇った顔をしていた。
「やはり侵入してきたか!ここは我らヒューマニアが頂いた!侵入者は全員始末するのだ!」
「ふ、ふざけるな!ここはケモリアの人達の街だ!お前らこそさっさと出ていけ!」
「黙れゴブリン共!そもそもお前達がここを落としていれば、こんな事にはならなかったのだ!これはお前達のせいだ!我々は悪くない!」
「この!お頭の仇だ!お前も倒してやるぞ!」
「おい!待て!」
悪びれもせず暴論を振りかざす騎士に、ゴブリンの一人は軽蔑の目を向けながら武器を構える。飛び掛かろうとした所をもう一人が慌てて止めに入った。
「俺達の目的は皆が安全に入る事だろ!こんな奴相手にしてる場合じゃないぞ!」
「そ、そうだったな……。でもコイツ一人だけだぞ!それなら俺達でも何とか出来る!そっちの方が確実じゃないか?」
「だが……。」
「へっ、雑魚どもが!俺がまとめてバラバラにしてやるぜ!」
騎士が槍で二人に突っ込んでくる。それをゴブリンが棍棒で受け止めるが、体格差からか、すぐに地面に突き飛ばされてしまう。
「迷ってる暇は無いか!先にコイツをやっつけてやる!」
騎士は倒れたゴブリンに槍を突き立てようとするが、もう一人が足元に棍棒を打ち込み、転倒させる。
「ぐっ、こんな攻撃効くかァァァ!」
「それならこれはどうだ!?」
「ギャァァァァァァ!?」
倒れた騎士に向かって二人で棍棒を叩きつける。騎士が立ち上がろうとする度に足を狙い、ひたすら身体中を殴り続けた。
「へぶっ!?お、おのれ……!」
騎士は尚も立ち上がろうとするが、二人で一気に体を叩くと、城壁に吹き飛ばされ気絶してしまった。それを確認し、素早く縄で縛った後、二人は大穴に戻る。
「……お、戻って来たな!様子はどうだった!?」
「一人騎士が居たが、何とかやっつけたぞ!今なら誰も居ない!ここからは一緒に来てくれ!」
ゴブリンの報告を聞き、皆は一気に攻め込むべく、大穴に近づく。
「よし!早く行こう!皆準備はいいか?」
「もちろん!早く行きましょう!」
「私も大丈夫よ!私達の街を取り戻すのよ!」
「私達もお力添え致します!」
「「「おーーー!」」」
「よし……行くぞー!突撃だーーー!」
◇◇◇
「いたぞー!皆殺しにしろ!ここは今日からヒューマニアの物だ!」
「皆逃げろー!街役場に駆け込むんだー!」
スノウ達が大穴に突入する少し前。同じく大穴から街へ侵入した騎士達は、辺りの建物を手当たり次第に破壊し、住人達を襲っていた。
「オラ!目障りなんだよ!」
「嫌ァァァ!誰か、誰か来てー!」
「ハハハ!逃げろ逃げろ!鬼ごっこだぜ!」
街のあちこちで住民を追い回す騎士達。その様子はもはや騎士では無く、ならず者の集まりである。突然の襲撃に逃げ遅れた者もいたが、多くはすぐに役場に駆け込んだ。
役場から離れた民家。騎士達に追い回されていた女性は何とか建物の陰に逃げ込んだ。荒い呼吸をしながら、逃げ遅れた子ども達を抱いて身を潜めている。
「こわいよー!しにたくないよー!」
「おとうさんー!たすけてよー!」
「大丈夫よ!必ず守るから!」
女性は手元に剣を握り締め、外を窺う。ぱっと見た所では、誰も居ないように見えた。
「早く街役場に……!さあ、行くわよ!しっかりついてきてね!」
女性は子ども達を庇いながら街役場に向かう。建物を使い、敵を避けながら進むのだが……。
「みーつけたー!」
「なっ!」
突然騎士達が建物から現れ、女性達を囲む。じりじりと近づきながら、その囲みを狭めていった。
「もはやここまでだな!潔く諦めればいいものを!」
「うるさい!お前らみたいな下衆に屈するものか!」
「だったらここでくたばれ!全員かかれー!」
騎士達が複数人、一気に女性達に襲いかかる。
「このクズ野郎共が!くたばるのはお前らの方だー!」
「ギャァァァ!?」
突如放たれた斬撃が男の胸を直撃し、男は吹き飛ばされ動かなくなった。そして女性を庇うように、一人の冒険者が現れた。
「あ、あなたは……?」
「大丈夫ですか!?無事なら良かった!俺はセイン、冒険者です!」
「さ、さっきのガキだ!殺せー!」
「「ウォーーー!!」」
「さっきとは違うぞ!俺の全力をぶつけてやる!聖なる十字剣解放!」
セインはエックスカリバーを変形させ、敵の集団に目を配る。
(敵は5人か。それなら充分勝てる!)
「行くぞならず者共!ハァァァァァァ!」
セインが魔力を込めると剣が光り輝き、そのサイズを巨大に変化させる。それを天に向けて掲げ、技名を叫んだ。
「輝け!セイントフラッシュ!」
「な、何だこれ……!?ぐっ、目が、目がァァァ!?」
技を叫ぶと同時に、剣から出た光線が騎士にぶつかる。すると騎士が目を押さえ、悲鳴を上げながらのたうち回っている。
「き、貴様!?何をした!?」
「さあ次はお前だ!全員目を塞いで動けなくしてやる!」
次々に光線を騎士に当てるセイン。あっという間に敵は行動不能になり、辺りに転がっていた。
「あ、ありがとうございます!」
「気にしないで!役場まで護衛します!」
セインは女性と子ども達を連れて役場に走る。途中で騎士に見つかる事もあったが、一対一なら簡単に斬り伏せる事が出来る。敵を倒しながら進み、やがて街役場まで辿り着いた。
「さあ中へ!他に逃げ遅れた人は!?」
「ええ、もう居ないはずよ!私が一番遅れてたから。」
「そうか……。中には戦士の皆さんが居ます!そこから動かないで!」
セインはそう言って女性達を役場に押し込むと、再び街中に走り出した。
「好き勝手やらせるものか!全員俺が倒してやる!」
セインは再び剣を取り、街の中に戻って行った。
◇◇◇
「行くぞ!何かあった時には街役場に避難する事になってるんだ!」
「以前の襲撃から避難している人も結構いるから、大丈夫だと思うけど……」
「任せて下さい!私とゴブリンの皆さんで道を開きます!」
「「おー!!」」
「敵よ!皆気をつけて!」
突入したリン達はひたすら街役場を目指す。避難した人達と合流し、守りを万全にするためである。
「役場は俺の仲間達が守ってると思う!早く行かないと!」
「まだいたか!獣人がいたぞー!」
「邪魔だ!さっさと消えろ!」
「ギェーー!」
敵を倒しながら進む一同。スノウは少し離れ、逃げ遅れた人が居ないかを確認しながら進んでいる。
「異常無しです!皆避難出来たんですね!」
「ああ!これで後は、敵を追い出すだけだ!……ん?向こうで誰か戦ってるぞ!」
「急ぎましょう!今なら間に合うはずです!」
スノウが一足早く戦いの場に着くと、そこでは一人の冒険者が剣を振るっている。周りには十人もの騎士が集まり、彼を囲んでいた。
「あの人はセインさん!?待ってて下さい!今助けます!」
スノウは走りながら魔力を手に込め、騎士達に近づく。
「凍結の縛!」
「な!?貴様は!?」
「追撃します!ゴブリンの力を思い知れー!」
彼女が生み出した氷の鎖が、騎士達に巻き付いて動きを封じる。そこを後から来たリン達が殴りつけ、たちまち全員を行動不能にした。
「スノウ!リン!それと……ケモリアの人達だな!無事で良かった!」
「セインさんも!皆は避難したんですよね!?」
「ああ!今は街役場で待機してる!外にいる奴らは俺と他の戦士達でだいたい片付けた!」
「それではこれで一安心ですね。後することは……。」
ドガァァァァァァァン!
「……外の事だな!あの砲撃をしてるやつをどうにかしないと、街が危険な状態のままだ!」
「なら私が行きます!皆さんのお陰で、まだ魔力はたくさん残っていますから!」
「俺も行くぞ!魔力はまだ残ってる!こんな事した酷い奴をぶっ飛ばしてやらなきゃ気が済まない!」
スノウとセインは来た道を戻り、再び外に出ようとする。
「リン!それとそこの戦士さん達!俺達は黒幕を叩くから、皆はここを頼む!」
「ああ!お前達も気をつけろよ!」
「お任せ下さい!ここは必ず死守します!だからお二人も……。」
「はい!気をつけます!それでは行ってきますね!」
そして二人は急いで大穴から外に出て、砲撃の飛んで来た方角へと走って行った。




